(声に出すも何も……ハッキリと言って……って! おい! ――っ!!!)いや、この際どっちでもいいことだ。
声に出ていようがいまいが、そんなことは私の命には関わりない。
鏡に背を向け、隼人くんの鞄を持ってドアの方に向かう。
――あれ?声が聞こえなくなった。さっきまでハッキリと聞こえていた隼人くんの声、それがいきなり聞こえなくなった。
鏡で隼人くんの姿が見えていたことが関係してるのかな?
うーん……理屈はよく分からないけど。
そんなことは今はどうでもいいのだ。
一刻も早く、
私は私の身体の無事を確認しないと!!玄関に立ち、並んでいる靴をざっと見渡した。
四足ほどの靴が並んでいて、スニーカーが二足にハイヒールが一足、後はサンダルが一足。
私は
大きめのスニーカーを履く。
思った通りにスニーカーはこの身体にピッタリなサイズだ。
ドアノブを捻ってドアを開ける。
予想通りに――ドアの外には
全く見知らぬ風景が広がっていた。
玄関から足を一歩外に踏み出し……私は一つ、
あることを思い出した。
「あ! 隼人くん、財布からお金、ちょっと貸してもらうね!」
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