僕は狂っていく~ぼくるい~

創作小説「僕は狂っていく」まとめブログです。 ジャンルは現代モノです。 基本的に「奇妙な話」です。

スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
[ --/--/-- --:-- ] スポンサー広告 | トラックバック(-) | コメント(-)

序章 

昔から何かを壊す事に快感を感じた。
幼いころ砂場で山を作り
完成した後に踏む潰すのが一番好きな遊びだった。
足元に感じるグシャっという
何とも言えない感触。
作る時以上に体の中を駆け巡る達成感

壊す瞬間……それが物を完成させる瞬間だ。

子供の頃からソツ無く生きている。
周囲の顔色を窺い
目立たないように
怒られないように
嫌われないように
自分を隠して生きてきた。
でも、その生き方の中でも
しっかりと自分の中に行き続ける衝動

壊したい……ただ……壊したい!

スポンサーサイト
[ 2007/01/03 18:59 ] 第十二章 壊 | トラックバック(-) | コメント(-)

満足のいく破壊とは 

壊すことは駄目な事
一体誰が決めたのだろう。

自分は、何でも良いから壊したいだけなのに
目の前の物を破壊することは
世の中ではなぜか悪徳に映るのだ。
玩具、ペット、友人、恋人、世間体
身の回りで構築されていく
モノ』と『社会
全て未完成なのだ。
壊れたときに全ては完成する

壊したい……なのに壊せない……

壊す前には完全に造らないといけない
中途半端に出来上がったものを壊すことに意味は無い。
出来上がったものを完全に破壊する
それで初めて『完成』するのだ。
自分が作り上げたものならば
破壊する時の喜びはなおさら大きい。

ドミノを沢山並べて、完成した後に一気に倒す
普通の人に伝えるならば
そんな喜びと言い換えてもいいだろう。

でも……自分はその程度では満足できないのだ

[ 2007/01/03 18:55 ] 第十二章 壊 | トラックバック(-) | コメント(-)

人生の側面 

小学生の頃

趣味はプラモデルを作ること
ランナーから部品を取り外し
キレイにヤスリをかけてから
パテを盛り、色を塗る。
じっくりと時間をかけて
完璧なまでに作り上げ
……一気に……壊す。
ハンマーで粉々にして
粉を灯油缶の中で燃やす。

完成した灰を見ながら満面の笑みを浮かべていた。

中学生の時

美術部に所属、油絵を描いた。
キャンバスに写真と見紛うほどの絵を描き
目の前の人物、景色と寸分も違わぬ作品を作り出す。
完成した絵をペインティングナイフで切り裂き
原型を留めないほどに粉々にする。

「そのデキに納得がいかないの?」
同じ部の人間が聞いてくる。

分かっていない……この粉々になった状態こそが完成なのに。

高校生になる。

また美術部に所属した、今度は彫刻。
木から始まり
樹脂、石と色々なものを削り形にする。
完成すれば……壊す
その繰り返しだ。
完成に手間がかかるほど破壊するときの喜びは増大した

ただ……これだけじゃない。あらゆる物を壊してしまいたいんだ

大学に進学。

建築学科に進んだ。
大きな物を造る技術と壊す技術
両方を存分に学ぶ。
大学院にまで進み
研究室で主催された
海外での巨大ビルのダイナマイトでの破壊
崩れ行くビルの姿を見たときの興奮は
恐らく誰よりも大きいものだった。

傍目には分からない内に……自分は絶頂を向かえていたのだから

[ 2007/01/03 18:50 ] 第十二章 壊 | トラックバック(-) | コメント(-)

天職 

大学院を卒業し大手の建設会社に就職が決まる。

天職であろうと思っていたのに
その考えは甘かった
新しいビルを造る喜びはある
だが、壊せないのだ
古いビルを壊す喜びもある
だが、それは自分が完成させたものではない

造って……壊す……ギリギリのバランスで成り立っている現状

自分の我慢はここでも続くのか。

[ 2007/01/03 18:45 ] 第十二章 壊 | トラックバック(-) | コメント(-)

結婚 

社会人に至るまで
自分もそれなりの恋愛を経験してきた。
いくつかの出会いもあったし別れもあった。
だが、どれもこれも中途半端なもので
所詮は学生の幼い恋愛。
作り上げられたレベルには到達せず
破局を迎えたところで
とても『完成』と呼べるものには至らなかった
だが、自分も肉体的にも精神的にも大人になり
ついに結婚まで至る伴侶が現れる

末長く続けば続くほど良い……壊す時が楽しみになるほどに。

[ 2007/01/03 18:35 ] 第十二章 壊 | トラックバック(-) | コメント(-)

破壊者 

頃合というものがあるのだろう。
結婚してほどなく経ったころ
子供を授かった
これまでに経験したことのない創造
『命を造る』という行為に
胸が大きくときめく。
初めて破壊を忘れて新しい命を育てようを思った

だが、忘れていただけなのだ……自分は筋金入りの破壊者だということを。

[ 2007/01/03 18:30 ] 第十二章 壊 | トラックバック(-) | コメント(-)

人の形の完成 

自分は我慢をしていたのだと思っていた
だが、それは大きな勘違いだったようだ。
我慢をすることで
常に自分を『壊して』いたのだ

病院で見せられたお腹の子供のエコー写真。
人の姿として『完成』していた。
完成した創造物に自分が取らないといけない行動。

その晩……自分のお腹を切り裂き……胎児を破壊した

[ 2007/01/03 18:25 ] 第十二章 壊 | トラックバック(-) | コメント(-)

完成品 

不幸にも一命をとりとめてしまった自分は病院にいた。
お腹の傷は無残にも未完成で終わってしまった自分の象徴に見える。
壊れた』私の行動はマタニティブルーが引き起こした
精神の錯乱状態によるものということになった。
私が壊れた後には『狂った』自分がいたということだ。
破壊』された自分……ならば今の狂った私が『完成品』ということか

夜中、病院の鉄格子を壊して私は家に帰った。

未完成といえども
今までの恋愛の中で一番完成度の高い相手

ベッドに一人で寝ている夫を包丁で刺し殺した

[ 2007/01/03 18:20 ] 第十二章 壊 | トラックバック(-) | コメント(-)

終章~心身の『完成』 

そのまま夫の死体を車のトランクに載せ
会社で利用している採石場に向かう。

コンクリートを作るのに使用する砕石機
ゆうに人が5、6人は入るスペースがある。
夜中、誰も居ない採石場で砕石機のスイッチを入れる。
物を言わなくなった夫の体を抱きかかえ
共に砕石機の中に身を投じる。

痛みではない……全身を駆け巡る最高の充実感

これで……私は……身も心も……『完成』したのだ。

[ 2007/01/03 18:15 ] 第十二章 壊 | トラックバック(-) | コメント(-)
プロフィール

黒矢 一実

Author:黒矢 一実
主に短編小説を書いています。
現在のところ更新は不定期です。
コメントを頂けると非常に嬉しいです。
リンクはフリーです。
リンクされる際にメッセージを一言いただければ嬉しいです。
相互リンクも募集してます。

今このページを見てる人
現在の閲覧者数:
これまでこのページに来てくれた人
メールはこちらに

名前:
メール:
件名:
本文:



上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。