僕は狂っていく~ぼくるい~

創作小説「僕は狂っていく」まとめブログです。 ジャンルは現代モノです。 基本的に「奇妙な話」です。

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序章 

ある晩、私は夢を見た。
真っ白な部屋の中にいるのだ。
家具も、窓も、ドアも無い。
四方を囲む壁だけがある真っ白な部屋。

その部屋の中には……一人の男だけが座っていた。
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[ 2007/02/10 23:59 ] 第十五章 白い部屋 | トラックバック(-) | コメント(-)

 

白い部屋の夢は毎晩続いた。
暖かい布団の中で眠りに就くと――私は白い部屋の中に居るのだ。
白い部屋の中には必ず男が一人だけ居る
いつも同じ男だ。
何をしてくるわけでもない。
何をしているわけでもない。

ただ、男は部屋の中心に座り、私の方をじっと見つめているのだ
[ 2007/02/10 23:58 ] 第十五章 白い部屋 | トラックバック(-) | コメント(-)

時間感覚 

白い部屋の夢はおかしな所で現実的だった。
普通は夢といえば時間の感覚は狂うものだろう
しかし、白い部屋の夢、その中の時間の流れは現実世界と何ら変わることが無いようだった。
いや、時間がどれだけ経っているのか、夢の中の私にそれを計る術はない。
しかし、白い部屋の中でかなり長い時間が経過していると感じる。
私の眠っている時間が、そのまま白い部屋に滞在している時間。

そのような感覚だ
[ 2007/02/10 23:57 ] 第十五章 白い部屋 | トラックバック(-) | コメント(-)

探索 

ある日、と言っても白い部屋に入り始めて三日目のことだ。
私は白い部屋のことを少しだけ探ってみようと思った。
とは言え、その作業も僅かな時間で終わってしまったのだが。
そのくらい、この白い部屋は広くなく。
本当に何も存在しない部屋なのだ。
四畳半ほどの広さの部屋、二メートルほどの高さの天井がある。
四方は真っ白な壁に囲われ、壁は垂直に建っているだけ。

中心の男は、今日も身じろぎ一つせずにじっと私を見つめているだけだった
[ 2007/02/10 23:56 ] 第十五章 白い部屋 | トラックバック(-) | コメント(-)

 

白い部屋の中、中心に座る男が考えることが分かることに気が付いた。
部屋の中心に座り、私を見つめているだけの男が何を考えているのか。
男は……何も考えていないのだ
ただ、部屋の中心に座って、何も考えずに私を見つめているだけなのだ。
その空白のような男の思考が私に伝わる

きっと、私が考えることも男に伝わっている
[ 2007/02/10 23:55 ] 第十五章 白い部屋 | トラックバック(-) | コメント(-)

好物 

私が好きな食べ物はチーズケーキだ。
男が好きな食べ物はステーキらしい。
私が好きな動物はだ。
男が好きな動物はハムスターのようだ。
私はが好きだった。
男はが好きなのだ。

白い部屋の中で、男と私は無言で対話を続ける。
[ 2007/02/10 23:54 ] 第十五章 白い部屋 | トラックバック(-) | コメント(-)

混 

男と私の無言の対話は続いた。
意識しなくても男の考えは伝わってくる。
きっと、男も私の考えることが分かっている。
いや、そんなことを考えるまでも無いのだろう。
既に、部屋の中で私と男の境界線は消えている。
白い部屋の中に居るうちに、私と男は混ざり合っていた。

私はこの男で、男はこの私になっているのだ
[ 2007/02/10 23:53 ] 第十五章 白い部屋 | トラックバック(-) | コメント(-)

警戒 

私は既に白い部屋を探ることは無くなっていた。
同時に、男に対する警戒も無くなっていた。
警戒しても仕方のないことを知ったから
むしろ、警戒していたのは男の方だったようだ。
私はこの白い部屋を前から知っていた。
男はこの部屋のことを知らなかった。

この部屋の主はだったのだ。
[ 2007/02/10 23:53 ] 第十五章 白い部屋 | トラックバック(-) | コメント(-)

目覚 

目が覚めると、そこもまた白い部屋だった。
夢の中の白い部屋との違いは、そこには窓があり、白以外の色もある、ということか。
私はベッドの上に寝ていた。
ベッドの傍らには私の手を握りながら女性が涙を浮かべている。
これは誰だったか?
ああ、思い出した。これは私の母だ。
長い間、どれくらいの時間眠っていたのか分からないが。
眠りすぎて記憶が曖昧になっているようだ

母は、私が目覚めたことをしきりに喜んでいる。
[ 2007/02/10 23:52 ] 第十五章 白い部屋 | トラックバック(-) | コメント(-)

終章 

「お祝いしなくちゃね!」

ベッドの上で寝たままの私に母が嬉しそうに話しかけてくる。

心臓を移植したばかりだから、先生に聞いてからになるけど……何か食べたいものはある?」

そうか……私は心臓移植の手術を受けて、それで入院していたのだった。
母の言葉で、ようやく自分が置かれている状況を思い出した。
母の質問に答えるべく、自分の食べたいものを母に伝える。
食べることが出来るがどうか分からないが、自分の好きな食べ物を思い浮かべる。
頭の中に、食べたい物の候補がいくつか思い浮かぶ。
その中で、私は一番食べたい物の名前を母に告げた。

「私……ステーキが食べたいな……」
[ 2007/02/10 23:51 ] 第十五章 白い部屋 | トラックバック(-) | コメント(-)
プロフィール

黒矢 一実

Author:黒矢 一実
主に短編小説を書いています。
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