僕は狂っていく~ぼくるい~

創作小説「僕は狂っていく」まとめブログです。 ジャンルは現代モノです。 基本的に「奇妙な話」です。

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はじめに 

この作品は以前執筆した『ちぇんじ』の改変Verです。

指摘を受けた点を黒矢なりに改善して書きます。

内容と結末は変わるかもしれないし変わらないかもしれません。

ま、とりあえずいってみましょう。
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[ 2007/02/28 23:59 ] 番外編 Change ~type R~ | トラックバック(-) | コメント(-)

序章 

朝、目が覚めたらオッパイが無くなっていた
いや、元々小さいけどね。無いってほどではない。
でも無いの、私の小さいながらもちゃんとあったはずのオッパイちゃんが。

「へ? あれ?」

慌てて胸の辺りを何度触って確認してみても――。
スカスカ、まっ平ら。
十七歳にもなって『まだ大きくなるのよ!』って信じ続けてて、毎日牛乳も飲んでるし豊胸体操だって……ちょっとサボり気味だけど……三日に一回はやってる。
大きくなる可能性はあるにしても――まさか無くなってるなんて!!

……話がいきなり逸れた。

いきなり何が起こったのか分からなくてパニック状態

慌ててベッドから飛び起きてみたらまるっきり知らない景色が広がっててまたもパニック状態。

下半身を見たら……付いてて……パニック状態も究極モードに突入。

私に何が起こったかって言うとね――『身体が別の人と入れ替わって』いたんだ。
[ 2007/02/28 23:58 ] 番外編 Change ~type R~ | トラックバック(-) | コメント(-)

始まりはいつも突然 

――とりあえず、とりあえず自分の姿を確認しなきゃ!

そう思って部屋の中を見回したんだけど……無いのよ!鏡が!
自分の部屋に鏡が無いなんて信じられない!
この部屋と身体の持ち主を思い切り罵倒したい気持ちを抑えながら目の前にあるドアを開けて鏡を探してみた。
勢いって凄いよね、頭の片隅では『誰かと入れ替わってる』ってことを薄々感じてたんだけどさ、知らない家を歩き回って知らない誰かの家族に会っちゃったらどうしよう?
そんなことはまるで頭の中に無かったわけで

運良くというか、幸いにというか。
鏡のある場所に辿り着くまでは誰にも顔を合わさなかった。
ちょうど玄関からすぐの場所に部屋があって、部屋を出たら玄関に置いてあった姿見の鏡が目に入って――。

「これ……誰?」

鏡に映るその姿は――私とまるっきり同じポーズを取っていた。
『まさか!?』と思って、自分の顔を触ってみると――やはり鏡に映ってる人物も同じく顔を触る。
目の前に映る知らない人の顔――私の顔が一気に蒼ざめる。

「どうなってるのーーーーーーーーっ!?」

おかしなおかしな物語は――こうやって私の絶叫で幕を開けた。
[ 2007/02/28 23:57 ] 番外編 Change ~type R~ | トラックバック(-) | コメント(-)

分かっちゃいるけど止められない! 

朝の静かな光景にやってはいけない事、それはやっぱり大声で叫ぶ行動なワケで。

私の不用意な行動はこの全く見知らぬ家の人間を起こしてしまったワケで……。

「隼人? どうしたの? こんな朝っぱらから――」

玄関から奥に続く廊下の向こうから現れたのは――お母さん?お姉さん?
ジャージ姿で、目の下にクマを作った、ちょっと疲れ気味な表情の女の人だった。
背中の辺りまで伸びた長い髪はその美しい艶とは対照的なハネが所々に見える。
何と言うか……悩みでも抱えて掻き毟った跡のように見える。

もっとパリっとした格好をしていればかなりの美女になるであろうその女性の言葉から、この身体の持ち主の名前が『隼人』ということが分かった。

――って、冷静になってる場合じゃない!!

いきなり知らない人の身体の中に入っちゃってるし!
いきなり見ず知らずの人と対面しちゃってるし!
こんな場合に一体どう行動すれば良いって言うのよ!?

状況をこれ以上複雑にするのは得策じゃない。
とりあえず
――この見ず知らずの『隼人くん』になりきってこの場をしのがないと――って、そんなことできるの?
[ 2007/02/28 23:56 ] 番外編 Change ~type R~ | トラックバック(-) | コメント(-)

いいわけ 

「い、いや。何でもないよ」

この『隼人くん』がどんな口調で喋る人なのか分からないけど。
とりあえず男の子っぽい口調を意識して、この女の人に返事をする。

私の返事を聞いて、女の人は少し訝しげな表情を見せる。
……やっぱり、知らない人の真似をするのは――無理があったかな?

「『何も無い』って、だったら朝から何を叫んでるの?」

眼鏡を少し上げながら、その奥の切れ長の瞳をこちらに向け女性が至極まっとうな質問を私に投げかける。
頭の中でこの場を切り抜けられるような言葉を必死で探してみるものの――

「いや、起きたら……その……顔! 顔がむくんでて!」

そんな意味の分からない返答しか出てこなかったワケで。
[ 2007/02/28 23:55 ] 番外編 Change ~type R~ | トラックバック(-) | コメント(-)

現状確認 

「顔……? 寝ぼけるのは良いけど叫ぶのは止めてよね」

まだ怪訝な表情を見せてはいたものの、女の人は玄関から立ち去ってくれた。
それを見送って、私もすかさずこの身体の持ち主の部屋に戻る。
ずっとこの場所に居ると……また他の家族がやって来るかもしれないし!!

危うかったけど何とかとりあえずの危機は脱することができた……ということもない

私がいきなり『隼人くん』と入れ替わってしまっているこの状況は何ひとつ変わってはいないのだ。
こんな状況に陥ってしまった人間がなすべきこと――いきなりの変化に驚いて絶叫する、という行為は済ませてしまっているわけで。

――こうなってしまった人間はどういう行動を取るべきなのか?

漫画や小説、ドラマなんかでこうなってしまった人の話なんかは読んだことはある。
学校や神社の階段を相手と一緒に転げ落ちてしまったり、誰かの幽霊が身体の中に入ってきたりとパターンは色々ある。

でも……大概は入れ替わったり、身体を乗っ取られたりする相手は――『知り合い』なわけで。
私から見てこの『隼人くん』は――明らかに他人だ!!!
しかも、私が乗っ取られたワケではなくて私が『隼人くん』の身体に入ってしまっている。

果たして……私が『隼人くん』と入れ替わってしまったのか?それとも私がいつの間にやら幽霊になって『隼人くん』の身体を乗っ取ってしまったのか

こうなってしまった人間がなすべきこと――それは『元に戻る方法を探す』ことだ!!
[ 2007/02/28 23:54 ] 番外編 Change ~type R~ | トラックバック(-) | コメント(-)

『隼人くん』 

まだ冷静になりきれない――そりゃあいきなり誰かと入れ替わるなんて珍事に遭遇してしまったのだ。冷静になれなくて当然なのだけど――そんな状態ながらに現状を把握しようと思う。

まず、私が入れ替わったと思われるこの身体の持ち主。
名前は『隼人くん』というらしい。
さっき玄関に来た女の人――見た目だとお姉さんかな?若そうに見えたのでお母さんではないとは思う――がそう呼んでいた。
鏡を覗いた時に見た顔の感じだと……きっと私と変わらないくらいの年齢。
十六歳か十七歳くらいではないかと思う。

肌が白くって、線の細い感じ。
身長は……170cmくらいかな?視線が高いのにちょっと戸惑う。
体型は……細い
ちょっぴり体型を気にするお年頃の私としては羨ましい限り

部屋の壁にはどこかの高校の学生服が掛けられている。
つまりは学生さん……先ほどの年齢の推測はほぼ間違いないだろう。

部屋を軽く見回す。
この『隼人くん』の情報を手に入れるためのブツが何か無いか……と。

――あった!

机の上、学生カバンが置いてある。
黒い、手で持つタイプのよく見かけるようなタイプのカバンだ。
あの中にならば……生徒手帳なりが入っているはずだ。

その生徒手帳に住所なりが書いてあれば良いんだけど……。
まずはこの場所がどこなのか知らないと――自分を探しに行くことすらままならない
[ 2007/02/28 23:53 ] 番外編 Change ~type R~ | トラックバック(-) | コメント(-)

 

机の上にあった学生カバンの中には――財布と生徒手帳が入っていた。
そこから分かったこと。

まず、この身体の持ち主のフルネーム。
大杉 隼人』くん。私と同じ歳、高校二年生だ。
通っているのは緑ヶ丘高校……私が通う高校よりもランクが二つくらい上の高校だ。

そうそう、生徒手帳に住所も書かれていた。
川東市希望が丘3丁目
これには少し安心した。私が住んでいるのと同じ市内だ。
私は川東市の光が丘に住んでいる。希望が丘とは電車で一駅の場所だ。
自分の元の身体を探しに行くのに遠方まで行くという苦労はこれで無くなった。

ただ、『隼人くん』が持っている定期券。
これは使えそうもない。
私の住む光が丘と隼人くんが通う緑ヶ丘高校は電車で逆方向だ。
申し訳ないけど……財布の中のお金を少し借りるしかないだろう。

ここまでを一気に確認し、もう一度部屋の中を見回した。
これから自分の身体を探しに外出しないといけない。
そうすると必要になること――それは着替えだ。

――それが一苦労になるなんてねぇ……。
[ 2007/02/28 23:52 ] 番外編 Change ~type R~ | トラックバック(-) | コメント(-)

身だしなみ 

いや、他人の身体とはいえども外出するからには下着は替えなきゃね……なんて考えた私がバカでした。
ウン、見たこと無かったんだよね。
男の人の裸って。

私ってば一人っ子でさ。
身近な男性ってお父さんくらいなのね。
そんでお父さんも年頃の娘を気遣ってくれてか裸で歩き回ることなんてなかったのよね。

いや――グロいもんですな

着替え終わってから目を瞑れば良かったなんて思いながらも凝視してしまいました。

うん、ナマコだね。ナマコ

……って感慨にふけってる場合じゃなくて!
着替えが終わって鏡をチェック。
他人の身体で出歩くんだから身だしなみはキッチリしとかないと。
元に戻ってこの身体の持ち主に文句を言われるのも嫌だし。

――鏡、鏡は……っと。

そう思ってもう一度部屋の中を。
私はいったい何回この部屋で探し物をしないといけないのだろうか?
なんて思いながらも、先ほどは見つけることが出来なかった鏡を発見。
開き直りとでも言うのだろうか、目が覚めた時よりは冷静になっているようだ。

鏡は部屋のドアの真横にあった。
玄関にあったものよりは少し小さい、それでも姿見の鏡だ。

――ちゃんと普段から身だしなみを気にしてるんだねぇ、感心感心……。

なんて思いながら鏡を覗き込んだとき――私は最大の異変に気が付いた!
[ 2007/02/28 23:51 ] 番外編 Change ~type R~ | トラックバック(-) | コメント(-)

目のかすみには 

最初は――目がかすんでるだけかと思った。
だから、目を二、三回ゴシゴシとこすってみた。

でも……鏡に映ってる私の輪郭はボヤけたままだ

視線をチラっと目の端に寄せてみる。
鏡に映る私の背後に見えているベッドは……ハッキリと見えている。
輪郭がボヤけて見えるということもない。

ならば……なぜ鏡に映る自分の姿だけがボヤけて見えるのだろう?
極度の遠視
いや、それは違う……と思う。
朝に起きてからバタバタとしていたが近くのモノが見えにくいとは感じていなかった。
入れ替わってしまう前の私は眼鏡をかけなければ何も見えないほどの近眼だ。
だから眼鏡をかけていないのに周囲の物がクッキリと見えている、といった違和感は感じていたが……近くのモノが見えていないという感覚は無かった。

だが……明らかに……目の前の鏡に映る私の姿はボヤけている

――?

この、どう考えても理由が分からない現象に戸惑いを覚えつつも、『鏡がおかしいのかな?』と思いつつ鏡の表面にツーっと手を伸ばした――その時だ!


(ようやく気が付いたみたいだな)

私の背後からどこかで聞き覚えのあるような声が響いた。

「え? え!?」

(ここだ、お前の後ろだよ)

声が指し示す方向――背後を振り返ってみたが……誰もいない

――? ? ?

頭の中が『?マーク』でイッパイになっている。
[ 2007/02/28 23:50 ] 番外編 Change ~type R~ | トラックバック(-) | コメント(-)

空耳アワー 

声がした方向――私の背後には誰もいない。
そりゃあ当然の話だろう。
この部屋には朝から誰も入ってきていない。

着替えをしている最中だってドアが開く音もしなかったし、いくら私がこの入れ替わりによって動揺しているとはいえ、さすがに誰かが部屋に入ってくればその音に気が付くだろう。

でも……確かに背後から声は聞こえた!

振り返った体勢のまま、視線を動かして部屋の中を見回す。
……が、やはり誰も居ない。
この部屋の中にいるのは間違いなく私だけのようだ。

――空耳……?

そう思いながら首を鏡の方に戻す。
鏡の中の自分が二重に見えたり、空耳が聞こえたり――入れ替わりが起こってしまった為に私の精神はかなり参ってしまっているようだ――。
と、自分を無理矢理に納得させてみたのだが――。

(おい! 無視してるんじゃない!!)

――って!!!!

また声が聞こえた!!!

やはり空耳ではないらしい。
でも、声の主はドコ?
[ 2007/02/28 23:49 ] 番外編 Change ~type R~ | トラックバック(-) | コメント(-)

ご対面 

声の主の正体――それはスグに分かることになった。

その人は……さきほどからずっと私の目の前にいたのだ。
いや、私が見えていなかっただけで朝からずっと私の傍に居たのだろう

でも……理屈は分からないけど。
見える……うん、見える。

その人は、声の主は――鏡の中に居た!!

(ここだ、ここ!)

鏡の中に二重に映っている私。
そのもう一人の私が――コチラに向かって手を振っていた。

「え……? ええ……? えええええええ!?」

鏡に映った自分が別人になってしまっていたときと同じ……いや、それ以上かも知れない。
とにかく……他の人が来てしまわないように叫び声を出さないように必死に堪えるしかできない

(ふう、驚くなよ。……って言っても無理かもしれないけど)

鏡に映るもう一人の私……いや、本物の『隼人くん』が私に向かって鏡の中から話しかけていたのだ。
[ 2007/02/28 23:48 ] 番外編 Change ~type R~ | トラックバック(-) | コメント(-)

想定外 

驚きすぎで……上の口を下の口がくっつかない。
ロクに言葉も出せない――そんな状態だ。

そんな私を鏡の中に映る『もう一人の隼人くん』は自分の頬をポリポリと掻きながら見つめている。

そんな『隼人くん』を指差しながら金魚みたいに口をパクパク動かすことしかできない
鏡に映る自分は顔が真っ青になっている。
血の気は全て引いているわ、上手く呼吸は出来なくて酸欠状態だわで……。

(とりあえず……なんだ)

口を震わせて「あわわわわ」くらいしか言えない私に向かって隼人くんが語りかけてくる。
これは……これって……!!
入れ替わりという超常現象を現在体験している私だ。
何が起こっても不思議じゃない……。

――つまり……この目の前にいる隼人くんは……!!

「ゆ、幽霊!!!!!」

(違う!! そうなんだけど違う!! 俺は死んでない!!)

――幽霊からツッコミを受けるのは想定外で。

[ 2007/02/28 23:47 ] 番外編 Change ~type R~ | トラックバック(-) | コメント(-)

夢or現実? 

(落ち着け! とりあえず落ち着いて俺の話を聞け!!)

鏡の中に映る、幽霊だけど幽霊じゃないと自称する隼人くんが叫ぶ。
誰か来るかもしれないという心配さえなければ私もいっそ大声で叫びたい。
叫んだ上で気を失ってしまいたい。

こんな超常現象のバーゲンセールのような状態に……なぜ私が巻き込まれなきゃいけないんだ?

恨み言のような思いが頭の片隅をかすめる。
その恨み言のような思いが、ほんのちょっとだけ私を冷静に戻した
ひょっとして、やっぱり夢なんじゃないかなぁ――なんて自分に都合の良いように考えてみる。

(……ん?)

私の様子を窺っていた隼人くんが疑問の声を上げた。
きっと、私がいきなり自分の右手を水平に伸ばしたからだろう。

これが現実であろうと、夢であろうと――『これは夢じゃないか?』と疑った人間が取る行動は……これしかない!!

バシーンッ!!!!!

思いっきり自分(身体は隼人くんのものですが)の頬を引っ叩いた。

「――ったぁーーーーーい!!!!!」

いや、どうにも現実だったようで。
男の子の身体で叩いたおかげか、物凄く痛かったワケで。

そんな私の姿を――隼人くんは呆然とした表情で見ているワケで。
[ 2007/02/28 23:46 ] 番外編 Change ~type R~ | トラックバック(-) | コメント(-)

疑問 

(……何をやってるんだ? お前は?)

思いっきり、呆れたような表情で。
とびっきりの冷たい口調で。

この状況がやはり現実であると思い知らされた私に追い討ちをかけるように隼人くんが聞いてきた。

「いや……だったら良いなぁ……って」

まだヒリヒリを通り越してビリビリする頬を擦りながら隼人くんに答える。
もう目の前にいるのが幽霊でも幻でもいいよ
入れ替わった恨みで私を呪い殺すならばいっそ殺してくれ!!
知らない人と入れ替わるハメになるわ、その人の幽霊がいきなり出てくるわ。
もう散々だ。

「……って、アレ? アレレ??」
(今度は何だ?)

いきなり疑問が湧いた。
というか、気が付いた

「え? 幽霊? 持ち主? え? アレ?」
(だから何だっていうんだ?)

私は自分の身体から出ていて――目の前にいる隼人くんの身体に入っているわけで
……ということは、隼人くんは私の身体に入っているはずで
でも……目の前には隼人くんの幽霊がいて

「――なんでココにいるの!?」

……隼人くんの中身がここにいるのは計算が合わないよね?
[ 2007/02/28 23:45 ] 番外編 Change ~type R~ | トラックバック(-) | コメント(-)

冷たい視線 

「へ……えーと、アナタは隼人くんよね?」

(うん、見たまんまだな)

そうだ、鏡に映っている外見を……そのまま信用するならば。
私の目の前に居るのは間違いなく隼人くんの中身だ。
じゃあ……私の身体の中身はどうなっているんだ!?

私は隼人くんの中に入ってしまっていて、隼人くんはこうして目の前にいる。
この身体は隼人くんのものだからして――私が隼人くんを追い出してしまった形なわけで。

「えーと……もう一つ、質問いいかな?」

(この際だ、何でも聞いてみれば良い)

う……なんだかとても投げやりな。
自分で頬を叩いた姿を見せてしまって以降、冷たい視線が途切れないのがツライとこで。
まあ、その冷たい視線のおかげで若干冷静になれているのだけど。

正直、この質問を投げかけてみて、隼人くんから答えが出るとは思えない。

でも……一応聞いてみておかないとなぁ。
また冷たい答えが返ってきそうだなぁ。
心が折れてしまいそうだなぁ。

――おし!元の身体に戻るためだ!多少の気まずさは置いておこう!
[ 2007/02/28 23:44 ] 番外編 Change ~type R~ | トラックバック(-) | コメント(-)

やっぱり 

(ん? 早くしろ)

少し考えて黙ってしまった私を隼人くんが急かしてくる。
幽霊のクセに……くそう。

この隼人くん。
外見は線の細い美少年タイプのようなのに――性格は極めてキツそうだ
言葉の端々にトガったような口調が見え隠れしており、どう表現すれば良いだろうか?

――何というか……もの凄く『オレ様』なのだ。

いや、嫌いではない。
嫌いではないというか、自分が中に入ってしまっていなかったり、幽霊でさえなければ直球ド真ん中くらいのタイプだ。

もしも元にきっちりと戻れた暁にはぜひとも結婚を前提にお付き合いを……と、話が大幅にズレてしまった。

きっと――建設的な答えは期待できないとは分かっているけど。
とりあえず質問できる相手は隼人くんしかいない。

「えっとね、私の身体の中には誰が入ってるの?」

(え? どういう意味だ?)

――やっぱり解るはずもなかったね。
[ 2007/02/28 23:43 ] 番外編 Change ~type R~ | トラックバック(-) | コメント(-)

空き家 

(お前の身体の……? どういう意味だ?)

「う……やっぱり……」

予想はしていたけど、やっぱり隼人くんも私の身体のことについては何も知らない……か。
いや、入れ替わりだと思っていたから私の身体の中には隼人くんが入っているものだとばかり思ってた。
でも、こうやって隼人くんの幽霊が目の前にいるわけで。

――うーん、それじゃあ私の身体はどうなっているんだろう?

ますます急いで自分の身体の無事を確認しないといけない状況になってきたような気がする。

だってさ、隼人くんの身体には私が入っていて、隼人くんの中身は目の前に居て――つまり、私の身体は現在空き家になってしまっているということじゃない?
空き家になっているということは……俄然ヤバイ!!!

隼人くんの幽霊に驚いている場合じゃない!
一刻も早く私の身体を確認しないと――ひょっとしたら死んでしまってるかもしれないじゃない!!
もし身体が死んでしまっているとなれば元に戻るどころではなくなってしまう

[ 2007/02/28 23:42 ] 番外編 Change ~type R~ | トラックバック(-) | コメント(-)

心の声 

「は、話は後で!!」

(え!? 勝手に進めるなよ!)

隼人くんのツッコミはまっとうだとは思うけど時間の余裕がない。
ヘタすれば私が戻るべき身体が死んでいるかもしれないのだ。
ゆっくりと現状を把握するのは身体の無事を確認してからでも遅くはない!

キチンと服を着ていることを確認して一気に部屋から駆け出す。

(ちょ! ちょっと待て! 待てって!!)

身だしなみを確認している間、隼人くんが話しかけてくるのだが……ゆっくり話す余裕なんてない!

「何!? 話があるなら勝手に話しかけて!!」

こっちは自分の生命がかかっているのだ。
身体を乗っ取ってしまった文句やらを聞いてあげる余裕なんて存在しない。
第一、私が元の身体に戻れなかったら、この目の前にいる隼人くんの幽霊だってこの身体に戻れないはずだ。

――お互いにゆっくり話をしてる場合じゃないでしょ!!

口に出してしまうと話がこじれそうなので心の中で叫んでみる
この隼人くんの幽霊、少ししか会話をしていないがかなり強気な性格っぽい。
売り言葉に買い言葉になってしまわないように、口に出す言葉は少し選んでみた。
鏡の前で口論している場合じゃない!

(何だよ!? 『お互いにゆっくり話をしてる場合じゃない』って!?)

――あれ?私、声に出してた?
[ 2007/02/28 23:41 ] 番外編 Change ~type R~ | トラックバック(-) | コメント(-)

旅立ち 

(声に出すも何も……ハッキリと言って……って! おい! ――っ!!!)

いや、この際どっちでもいいことだ。
声に出ていようがいまいが、そんなことは私の命には関わりない。
鏡に背を向け、隼人くんの鞄を持ってドアの方に向かう。

――あれ?声が聞こえなくなった。

さっきまでハッキリと聞こえていた隼人くんの声、それがいきなり聞こえなくなった。
鏡で隼人くんの姿が見えていたことが関係してるのかな?
うーん……理屈はよく分からないけど。
そんなことは今はどうでもいいのだ。
一刻も早く、私は私の身体の無事を確認しないと!!

玄関に立ち、並んでいる靴をざっと見渡した。
四足ほどの靴が並んでいて、スニーカーが二足にハイヒールが一足、後はサンダルが一足。
私は大きめのスニーカーを履く。
思った通りにスニーカーはこの身体にピッタリなサイズだ。

ドアノブを捻ってドアを開ける。
予想通りに――ドアの外には全く見知らぬ風景が広がっていた。

玄関から足を一歩外に踏み出し……私は一つ、あることを思い出した。

「あ! 隼人くん、財布からお金、ちょっと貸してもらうね!」
[ 2007/02/28 23:40 ] 番外編 Change ~type R~ | トラックバック(-) | コメント(-)

一つ曲がり角、一つ間違えて 

自分の身体の生命が危機であるという気持ちに勢い込んで飛び出した見知らぬ土地は――思ったよりも手強い
いやいや……駅までの道が全く分からないのだ

そんでもって、道行く人に駅までの道を聞いてみようか、なんて思ってはみたものの、だ。

――もし隼人くんの知り合いに声をかけてしまったらどうしよう?

なんて心配が思い浮かんでしまって声をかけるどころじゃなくて。
そんなこんなで広い大通りにでも向かおうなんて思いながら道を探して歩きに歩いたんだけどさ。
どこをどう歩いてしまったんだか分からないんだけど――入り組んだ細い道に迷い込んで現在に至るわけです

うーん、何がどうなってこんな道に来たんだかね?
自分なりに一刻も早く自分の身体に会いに行こうという気持ちを最優先に行動してだね。
全く見知らぬ土地ということも考慮した上で……野生のカンを頼りに歩いたら――こんな場所に出てしまったというね……。

ハイ……あっさりと道に迷いました
いや、我ながらありえないとは思うよ。
時計を見てみれば隼人くんの家を出てからまだ十五分しか経ってないわけでさ。
そんな短時間で元の場所に戻ることさえ不可能なくらいに道に迷うとは――。

この状況、マジでどうしたら良いのでしょうか?
すでに道を聞こうにも人通りさえ無いような裏路地に迷い込んでしまったようで……。
[ 2007/02/28 23:39 ] 番外編 Change ~type R~ | トラックバック(-) | コメント(-)

的外れな野生のカン 

まるで見知らぬ裏道をトボトボと歩く。
全く知らない道なので本気で当ても無く、という言葉がピッタリだ。
見事に私を裏切る結果になった野生のカンにはなるべく頼ることなく――ただ、細い路地を避けて歩くだけなのだが。
それでも目的地である駅に近づけているという感覚はまるで無い

――出来るだけ急いだ方が良いんだけどね……。

自分で自分に『何をやってんだか』という気疲れによって、小さなため息を一つ吐き出してその場に立ち止まった。
本当に少しでも早く自分の身体の無事を確認しなければいけないのに。
何で……いきなり大通りから横道に入ってしまったのだろうか?

隼人くんが住んでいるマンションから出て、その入り口は少し大き目の通りに面していたのだ。
今さらこんな事を言っても仕方ないとは思うが――恐らくその道を歩いていれば駅にたどり着けたのではないだろうか?
なのに……その時、私は『この道を通れば近い』と直感的に感じてしまったのだ。

そして……その直感が見事に外れたおかげで裏道をトボトボと歩くハメになったワケで。

(おい! 何で休憩なんだよ!)

――!!

思案に暮れる私にいきなりキレの良いツッコミの声が入った。
ハッっと気が付くと――道に捨てられたガラス板に私と透けてる隼人くんの姿が映っていた
どうやら自分でも気が付かないうちにそのガラスが視界に入っていたらしい。

――助かった!!

これで隼人くんに道を聞ける!!
[ 2007/02/28 23:38 ] 番外編 Change ~type R~ | トラックバック(-) | コメント(-)

以心伝心 

(『助かった!』じゃない! 急に部屋から飛び出したと思ったら俺のことを無視し続けて……)

ん?何だかいきなり怒ってる?
いや、無視し続けてたつもりは無いんだけど……ひょっとしてずっと私に話しかけ続けていたのだろうか
声も何も聞こえてはいなかったんだけど――ひょっとしてこうやって隼人くんの姿が見えている時だけしか私には隼人くんの声が聞こえない、ということなのだろうか?

「えーと……とりあえず、無視してたわけじゃないよ?」

言い訳しても仕方ない。
隼人くんの怒りを鎮めるために、とりあえず無視していたつもりは無かったことを伝える。
……が、この言葉は少しだけ隼人くんの怒りの炎に油を注いでしまったようだった

(無視してただろ! こっちが何を話しかけても『あれ? 声が聞こえなくなった』とか)

あれ?声に出してたかな?

(『隼人くんの知り合いに声をかけてしまったらどうしよう?』とか!)

ん?独り言になってた?

(その度にこっちは『無視すんな!』とか『あれは知り合いじゃねーよ!』とか叫んでたのに……)

隼人くんはコブシを握り締めてプルプルと震えている。

――うーん、こんなにアツい幽霊も珍しい。
[ 2007/02/28 23:37 ] 番外編 Change ~type R~ | トラックバック(-) | コメント(-)

聞こえる声、聞こえない声 

(だからっ! 幽霊じゃねえよっ!!!)

ここで小気味の良いツッコミが隼人くんから一つ入った。
と、同時に――私は確信した

隼人くんは……私の考えていることが聞こえている

思っていることが分かる、とは微妙に違うようだ。
頭の中できっちりとした言葉になった、感情とは異なる思考……そんなものが隼人くんには聞こえるようだ。

――ふむ、だから『無視された』になるわけね。

(ん? 何がだよ? つーか無視してたのは事実じゃねえか!)

やはり、私の考えは概ね当たっているようだ。
心の中の呟きのようなものが……口に出さなくても隼人くんには聞こえているようだ。
まあ、隼人くんには口に出しているか否かの区別がついていないようだけど
これは……便利なような不便なような。
口に出さなくても意思の疎通が出来るということは便利だ。
しかし――迂闊なことは考えられないぞ

こうやって考えることが……どの部分が心の呟きとなって隼人くんに聞こえるか分かったものではない。

しかも、部屋からここまでの様子を鑑みるに、私の心の呟きまで含めた言葉は隼人くんには常時聞こえていても、隼人くんが話す声は――どうやらこうやって隼人くんの姿が映っている時にしか私に聞こえないようだ。

これは――非常に不便な……。
[ 2007/02/28 23:36 ] 番外編 Change ~type R~ | トラックバック(-) | コメント(-)

近道 

(んでよ、何が不便とかは知らんが――いつまで休憩するんだ?)

あ!!
そうだった!!
思いもかけない新発見に忘れてしまうトコだったけど……急がないといけないんだった!

「休憩してたんじゃないのよ! 道! 道を教えて!! 駅までの!!」

幽霊に道を教えてもらうという非常識はとりあえず置いておいて。
絶対に安全パイ、声をかけても絶対に自分の身が危うくならないのは――この目の前にいる隼人くんくらいなものなのだ。
駅までたどり着けることが出来れば、後は自分の住んでる場所まで行くのはそう難しいことではない。

(道? 何を言ってるんだ? お前は)

――へ?

隼人くんが呆れたような顔で私を見ている。
いや、そんな呆れたような表情で見なくても……。
私にとっては全く見知らぬ土地なわけで。
いかに近い駅に住んでるとは言っても、さすがに自分が用の無い駅の周辺の地理を理解してるワケもないわけで……。

道に迷っても仕方ないじゃんね?

「し、仕方ないでしょ!? まるっきり知らない場所なんだもん!」

さすがにバカにされた、と思い紅潮する顔を自認しながら隼人くんに言い返す。
……が、隼人くんの次の言葉に……私が唖然とするハメになる。

(だから、何で今さら道を尋ねてるわけ?)

隼人くんの言葉の意図をイマイチ掴めず、何も返せない私を見ながら隼人くんがスッと指を細道の先にある曲がり角に向けた。

(あの角を曲がれば駅。 何で目的地の手前で休憩してんの?)
[ 2007/02/28 23:35 ] 番外編 Change ~type R~ | トラックバック(-) | コメント(-)

ナイス勘!! 

「え? あの……先なの?」

いや、自分でも間抜けな話だとは思う。
急がないといけない、って思い切り意気込んで家を出発して。
近道だと思った道が思った以上に細く曲がりくねった道で。
迷ったと思って途方に暮れて。
立ち尽くしてしまた場所が――まさか目的地の手前だったとは。

隼人くんは呆気にとられる私をまるで小動物でも見るような目で呆れながら眺めている。

――うう、そんな目で見ないで……。

(……本当に道に迷ってたのか?)

本当に信じられない』――そんな顔だ。
だって、自分の野生のカンを頼りに歩いたんだもん。
駅の気配は感じることは出来ないし、大体さ、駅の近くなのに何でこんなに人の気配の無い道なのよ!

一応コクンと小さく首を縦に振って隼人くんに肯定の意思を示す。
隼人くんは両手を広げ、首を横に捻って呆れるような、驚いたような、そんなゼスチャーを見せた。

(ズンズンと近道へ進んで行くから……てっきり道も分かってると思い込んでたよ)

――へ?ち、近道ぃ!?

私の思ったことが聞こえたのだろう。
隼人くんが大きく頭を縦に振る。

道に迷った――そう思い込んでいたが、どうやら私は無意識に『正しい道』を進んでいたらしい

――ナイス!ナイスだ!野生のカン!!
[ 2007/02/28 23:34 ] 番外編 Change ~type R~ | トラックバック(-) | コメント(-)

おさらい 

電車に乗るまでの流れは存外スムーズなものだった。
駅前という人が集まる場所、本当に隼人くんの知り合いに会ってしまうのではないか、そんな心配は杞憂に終わる。

駅前に向かう前、道端に捨てられたガラス板に映る隼人くんに再度『お金、貸してね』と確認を取った。

(ち……仕方ねえな)

渋々ながらお金を貸しておいてくれることを承諾してくれた隼人くん。
財布の中からお金を借りて希望が丘駅から一区間、私の住む光が丘駅までの切符を買った。
改札を通り、電車を待つ間――私はできるだけ考え事をしながら待つことにした

隼人くんが私の考えていることが聞こえるならば――これまで思いついたことをわざわざ説明する手間が省ける――そう思ったからだ。

エスカレーターに乗り、ホームへ着く。
時刻表をチェックすると次の電車の到着まであと五分といったところだった。
白線に沿って並び電車を待つ。

ここまでで私に分かっていること――。

――目が覚めたらいきなり隼人くんの中に入ってて。
――鏡やガラス越しでないと隼人くんの姿は見えなくて。
――隼人くんの姿が見えてないと私に隼人くんの声は聞こえなくて。
――私の考えていることは隼人くんに聞こえているみたいで。


えっと……後は何があったかな?

――私は隼人くんの中に入ってる。
――でも隼人くんの魂(?)は目の前に居るわけで。
――じゃあ、私の身体はどうなってるの?
――中身が空っぽっていうことじゃないかな?


う、だから隼人くんとの話をそこそこに切り上げて慌てて外へ向かったわけで。
私の身体が空っぽになってるってことは……もしも死んでるとか勘違いされたりしたら大変じゃない?
というか、魂が抜け出てるということは本当に身体は死んでしまっているのではないかという最悪の事態まで想像してしまう。
そうでないことを祈るしかないのだけれど……とにかく一刻も早く自分の身体の無事を確認しないといけない。

そんな事を考えているうちに――電車がホームに到着した。
[ 2007/02/28 23:33 ] 番外編 Change ~type R~ | トラックバック(-) | コメント(-)

テレパシー……のようなもの 

電車の中、座席は空いていてたのだが――私は敢えてドアの横に立つ
その方が窓ガラスと自然な形で向かい合わせになることが出来るからだ

プシューという音と共にドアが閉まり、私の目の前に窓ガラスが来る。
その窓ガラスには隼人くんの身体に入った私が映り、その背後には隼人くんの霊の姿が透けて映っている。

――大体は理解してくれたかな?

隼人くんに問いかけるように、心の中で思う。
心の中で思うぶんには電車の中の他の乗客に怪しまれることもない。
隼人くんの声にしたって私以外の誰にも聞こえることはないだろう。
誰に邪魔されることもなく隼人くんの姿が見える場所でさえあればこうやって会話が出来る。
不便なこともあるが……こういう部分では便利なものだ。

(まあ……大体はな)

私の問いかけに隼人くんがそう答える。
隼人くんもいきなり私に身体を乗っ取られて分からないことだらけなのだろうけど、それは私だって同じことなのだ。
原因が分からない以上、元の身体に戻る方法も分からない。
しかも――私の元の身体が無事なのどうかの保障さえないのだ

戻る身体が無くなってしまう、そんな状況になってしまえば元に戻るという話さえ成り立たなくなってしまう。
まずは私の身体の無事を確認して、その上でこうなった原因を探ることと、元に戻る方法を探るしかないと思う。

(そんでよ、今からドコに向かうんだ?)

――私の家!

(お前の家に行ったら、その、お前の身体の無事を確認できるのか?)

――え?……たぶん。

隼人くんに問われて初めて気が付いた
そういえば……私って隼人くんの姿だっけ。
私の家に向かうは良いんだけど……どうやって私の身体に会えば良いんだろうか?
[ 2007/02/28 23:32 ] 番外編 Change ~type R~ | トラックバック(-) | コメント(-)

ビューティフルサンデー 

さて、本当にどうやって私の身体の無事を確認すれば良いのだろうか?
私の記憶が確かならば、というか前の日に眠って起きたら入れ替わっていたという感覚が正しければ今日は日曜日……のはずだ。

――今日って『日曜日』だよね?

念のためにキレの良いツッコミを特技とする相方に確認をとる。
幽霊という姿をとっている、自分以上に現実離れした人間に物事を確認しなければいけない自分が少し悲しい。

(ん? 日曜だけど、どうかしたか?)

うん、一応その辺りの記憶は間違っていないようだ。
朝から電車に乗っている人も少ないし、電車が来た時間も日曜ダイヤの通りだし。
状況から類推すれば日曜ということは間違いないけれど、人に確認できるならそれが一番安心できる確認方法だと思うわけで。

――日曜……か。

自分の普段の行動に照らし合わせれば、日曜のこの時間には多分起きている。
少しだけいつもより長く寝てはいるけれど、そろそろ起き出してトーストをかじりながら日曜朝のワイドショーでものんびり観ているくらいの時間だ。

え?いい歳した女子高生がそんな生活で良いのかって?
仕方ないでしょうが……日曜だと言ってもデートをする彼氏が居るわけでなし
と、とにかく……だ。
私の身体が現在どうなっているか分からない。
隼人くんの霊がココに居るってことは空き家になっている可能性が高いということだし、もしそうならばまだ起き出してこない私を心配して家族の誰かが私の様子を見に行ってしまいかねない時間でもある。

家の外から私の部屋を覗くという方法が確実かもしれないけど……何だかそれは変質者チックで嫌な気もする。
が、そんなワガママを言ってる場合でもないし……。

――ねえ、隼人くん。ちょっとくらいなら、私の家のご近所さんに変質者に間違われても平気かな?

(平気なわけないだろうがっ!!)

ですよねー。
[ 2007/02/28 23:31 ] 番外編 Change ~type R~ | トラックバック(-) | コメント(-)

思案に暮れる 

(んで、どうすんだよ?)

隼人くんの冷たい視線に、追い立てるような質問の声。
『どうする?』とは、もちろん私がこのまま私の家に行って――どうやって私の身体の無事を確認するか、ということだ。

いや、全然考えてなかった。
もし、最悪の予想が当たり私の身体が空き家状態になっているのならば……私の身体の無事なんて確認しようがない
このまま家に行ったところで顔を合わす方法が無いのだ。

やはり――ここは一つ隼人くんに変質者の汚名をあえて着ていただくしか……。

(やらないから! やらせないからな!!)

ああ、また心の声が漏れてしまったようで。
かと言って、どうも良い方法は思い出せない。
このまま自分の身体の無事を確認する方法もないまま、とりあえずで家に向かっても良いものか……。

(――あのよ)

思わぬ行き詰まりに思考が固まりかけの私に隼人くんが話しかけてくる。

――え?

このまま思案に暮れていても名案も浮かびそうもない。
とりあえず隼人くんの言葉に耳を傾けてみようと思う。
話しかけの口調からして、隼人くんからも何か話したいことがあるみたいだし。

(一つ聞きたいんだけどよ)

はいはい、何でしょう?
口にも、心の声にも出さずに、首を少し傾けて隼人くんの言葉に応える。

(お前ってよ、携帯とかも持ってないのか?)

――あっ!!

そういえば、そういう文明の利器もありましたよね!
[ 2007/02/28 23:30 ] 番外編 Change ~type R~ | トラックバック(-) | コメント(-)
プロフィール

黒矢 一実

Author:黒矢 一実
主に短編小説を書いています。
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