僕は狂っていく~ぼくるい~

創作小説「僕は狂っていく」まとめブログです。 ジャンルは現代モノです。 基本的に「奇妙な話」です。

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序章 

『住み込み歓迎!ホームヘルパーさん募集!』

都会に考えなしに出てきて住む所を見つける前に滞在費が尽きそうだった私にとって、
この求人情報は渡りに船だった。

即電話をかけてその日のうちに面接。
その場で話はまとまり私は仕事と住む場所を両方手に入れることに成功した。

職場は作家をやっているという雇い主の仕事場。
少し他の住宅から離れた場所に建っている一軒家。
周囲は林になっているのに四方を白い大きな塀に囲まれていた。

――ちょっと変わった外観。

「どこかの会社が保養所として作った家を買い取って流用したんだよ」

この家の外観に驚いた顔を見せた私に対する先生の説明。
なるほど、と納得。
作家ってそんなに儲かるのかなぁ、というのが素直な感想。

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[ 2007/01/04 23:59 ] 第十四章 サブリミナル | トラックバック(-) | コメント(-)

ラクな仕事 

ホームヘルパーといっても仕事はかなり楽なものだった。
先生が来るのは午後3時から午後9時まで
その間に食事の準備をして、合間にコーヒーを運んで
先生が帰ったら仕事部屋を軽く掃除して。

それだけでお給料を貰えてなおかつ食費も住居費もタダ。
本当に天国のような職場だ。

そして、夕方に窓から見える風景が美しい。
2階のテラスから外を眺めると
外の白い塀に夕日が反射して綺麗な薄紅に染まる
その後ろに林の緑色が映える。

この職場で私の楽しみの一つだ

「前の人がいきなりいなくなっちゃってね」
この求人がかかった理由だそうだ。
1年ほど勤めてくれていた前任者が何も言わずに
急に出て行ってしまい、そのまま音信不通になったらしい。

先生はいたって普通な人だし、何か不満でもあったのかな?
ここの仕事が性にあっている私としては理解できない心情だ。

閑静な住宅街のさらにその奥
穏やかな暮らしって形容がぴったり。
雇われの身ではあるけど……ちょっとしたセレブ気分よ?

[ 2007/01/04 23:57 ] 第十四章 サブリミナル | トラックバック(-) | コメント(-)

関係 

ここに来てからというもの
時間がゆっくり流れてるように感じる。
先生と過ごす緩やかな時間。
そんな中で、私は先生に惹かれてしまったようだ。
一緒にとる夕食、仕事の合間に運ぶコーヒー
先生の顔を見る度に胸がときめく

私の趣味な顔じゃないから……最初はそう思っていたんだけどな。

妻子がある先生が相手でも
毎日二人っきりになる時間が多ければ
男と女の関係になるのに
それほどの時間は必要としなかった。
なぜだろう……全てを急に捧げたくなったのだ。

まるで……自分の意識とは無関係

雇われてる人間の弱味とか
住む場所が無くなるからとか
そういうのじゃない。
先生に迫ったのは私なのだから。
先生は私に何も求めない。
私が常に求めてしまうから。
先生は何も拒まない。
私が何を求めても。

私が求めているのは……私の意志に反したことばかり

先生は何も要求しない。
でも私は先生の要求どおりに動いてる。
きっと……今の私が望むことは
先生が望んでいること。

私は先生に狂っている

[ 2007/01/04 23:55 ] 第十四章 サブリミナル | トラックバック(-) | コメント(-)

スキスキスキ 

家から出たくない。
先生と一秒でも長く居たいから。
でも矛盾してる。
先生の生活は壊したくない。
きっと先生が私を望むから
私は先生を好きになったのだ。
自分でも何を言ってるのか分からない。
でも脳髄の奥で誰かが命令する。

『あなたの隣人を深く愛しなさい』と

私は先生を好きです。
私は先生が好きです。
私が先生を好きです。
私も先生が好きです。
私は……私は……私は……私は……
ワタシハセンセイガスキ
ワタシハセンセイスキスキスキスキスキ

なんで……?
他の選択肢は無いの?……センセイガスキ

私は深く静かに狂っていく

[ 2007/01/04 23:53 ] 第十四章 サブリミナル | トラックバック(-) | コメント(-)

用済み 

先生の態度が少し冷たくなった。……センセイスキ
お金も貯まったし……辞め時なのかな?
私の体を求めなくなった。
飽きられたのかな?
悲しくは無い。
悔しくも無い。
だって……もともと好きじゃなかったはずだから……センセイスキ

さっき求人誌の会社から電話があった
そろそろ私クビになるのかな?……オマエハヨウズミダ

お気に入りのテラスに立って夕日の景色を眺める。
もう少しでここともおさらばになるんだろうな。
先生はあんまり好きになれなかったけど
この場所は大好きだ。……オマエハモウイラナイ
さて、また住む場所から探しなおしだな。
久しぶりに外に出なきゃ。

センセイスキオマエハヨウズミオマエハイラナイ

頭の中の声が日に日に大きくなっていく

[ 2007/01/04 23:51 ] 第十四章 サブリミナル | トラックバック(-) | コメント(-)

自殺 

ある朝、私は先生が来る前に家を出た。
行く先は決めてない。
出て行かなきゃ
そう強烈に思ったのだ
出て行って……ドコカデシネ
足が自然とある場所に向かう……メイワクカカラナイヨウニシネ
深い森の中
大きな木……ココナラメイワクガカカラナイカラシネ
何気なく購入したロープ……クビヲククッテシネ
そのロープを首に掛ける……クビヲツッテシネ
いやだ……シネ
死にたくないよ……シネ
もっと生きていたいよ……シネ
逆らえない……頭に響く声に逆らえない

強く命令されるように……私は踏み台を蹴る……ソノママシネ

頭の中の声がうるさい……シネ

[ 2007/01/04 23:49 ] 第十四章 サブリミナル | トラックバック(-) | コメント(-)

終章~種明かし~ 

夕日が照らし出すテラス。
そのテラスに立つ女性。
目に映る景色は夕日に照らされた白い壁、背後に映える緑の林。

注意深く見ても分からない。
人には目に見えるものは限度があるから。
目に見えないから潜在意識に焼き付いてしまうのに

夕日に照らされた壁
人ではない視力を持っていればこんな文字が読めるだろう
『コノイエノジュウニンヲアイセヨ』

月日とともに光線の具合で変わる壁のメッセージ
見えない故に自分の意識と思い従ってしまう絶対的な指令

1年後の壁には見えない地図と共にこんなメッセージが示される
『オマエハヨウズミダ コノバショデメイワクガカカラナイヨウニ ジサツセヨ』

[ 2007/01/04 23:30 ] 第十四章 サブリミナル | トラックバック(-) | コメント(-)
プロフィール

黒矢 一実

Author:黒矢 一実
主に短編小説を書いています。
現在のところ更新は不定期です。
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