僕は狂っていく~ぼくるい~

創作小説「僕は狂っていく」まとめブログです。 ジャンルは現代モノです。 基本的に「奇妙な話」です。

スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
[ --/--/-- --:-- ] スポンサー広告 | トラックバック(-) | コメント(-)

序章 

祖父が死んだ。
75歳、平均寿命よりは少し短いくらいか。
初孫だったこともあってか俺を可愛がってくれた。
周囲からは溺愛しすぎだなんて言われてたっけ。
祖父ちゃんとの思い出をたぐると
必ず思い出すのが河川敷で見た花火大会。
すごく綺麗だった。

葬式までは凄く慌しい日々に感じる
親父もお袋も祖母ちゃんも色んな人に電話したり
葬儀会社と話し合ったりバタバタしてた。
故人への悲しみを少しでも薄くするために
わざと忙しくなるようにこんな儀式を昔の人は考えたのかも知れない。

もう一度…花火…見たかったな…

火葬場で燃やされる祖父ちゃんの遺体
煙突から出る煙を見ながら
なんとなくそう思った。
…涙は不思議と流れてこなかった。

スポンサーサイト
[ 2007/01/31 22:59 ] 第二章  炎 | トラックバック(-) | コメント(-)

目覚め 

祖父ちゃんが死んでしばらくして
花火を一人でやってみた。
ちょうど家の裏にある物置に去年の残りがあった。
幸いシケってはいなかった。
シュー パチパチ
色とりどりの火花を撒き散らし、輝き燃えていく花火
ああ…綺麗だな…
しかし、その時俺は気が付いてしまった。
漠然と、でもハッキリと…

この火じゃ物足りないんだ


もっと大きい火が見たい
物足りない理由を突き止めるのは簡単だった。
大きい火を見るにはどうしたらいいか?
この答えも簡単。
もっと大きい物を燃やせば良い。
しかし、不用意に放火なんてすれば捕まってしまう。
そんな事は幼児にだって分かる簡単なことだ。
捕まらずに大きな火が見れる場所。
ふいに祖父ちゃんの火葬のシーンが頭に浮かんだ。
そうか、火が燃えてもおかしくない場所で燃やせばいい。
場所は物置の横にある焼却炉
あとは何を燃やそうか?

俺は自分の興奮を抑え切れないでいる。


焼却炉の限界があった。
入る大きさに限界があるのだ。
最初は雑誌、生ゴミ、物置にしまってあったヌイグルミ
少しずつ燃やす物は大きくなっていき
眺める炎も少しずつ大きくなる。
炎の大きさと比例して大きくなる俺の快感。
使われていない物置のガラクタがどんどん燃やされていく。
大きな物はノコギリで切って放り込む、何でも燃やす。
燃える、炎が揺れる、パチッと火花を飛ばす
その炎の動きの、大きさの一つ一つが俺を魅了し、満足させる。
だが至福の時は短い
焼却炉に入る物量が限界を迎えた時
炎の大きさが限界を迎えてしまった時
俺はまた満足できなくなっていた。

この物足りなさを埋めるには一体どうすればいい?


[ 2007/01/31 22:58 ] 第二章  炎 | トラックバック(-) | コメント(-)

動き 

名案というものはいつだって突然やってくる。
不満を紛らわすために手にとった「ねずみ花火
こんな所に大きなヒントが隠されているとは。
火花は小さい、しかし僅かながらに興奮を覚える。
なぜか?
動きだ、焼却炉の中の炎も動く
しかし、それは動きというより揺らめき
俺の中のくすぶりを満足させられる代物では無い。

動く炎、躍動する炎が見たい
新たに得られるであろう次の興奮に

俺の心は沸き立っていた。

動く炎、標的はあっさりと見つかった。
お袋の飼っているハムスター
元々はかつて俺が飼ってくれとせがんだものだ
しかし俺の興味はすぐに薄れてしまい、今ではお袋がコイツら世話をしている。
コイツらは放っておけば勝手に増える。
2、3匹くらい居なくなってもどうせ誰も気が付かない。
まさに絶好の標的、本当の意味で「ねずみ花火」って訳だ。
まずは実験だ。
ケージの中から小さ目のハムスターを1匹捕まえる
部屋に金タライを用意して中に放す。
表面がツルツルしてるので中からは逃げられないようだ。
万が一逃げ出して部屋に引火すれば大事だ
慎重に、慎重に、細心の注意をはらって計画を進める。
物置に置いてあった灯油をハムスターにふりかける。
濡れた感覚が嫌なのだろう、ネズミはにわかに暴れだした。
良い感じだ…沢山動き回ってくれよ…

いよいよ火を着ける。動く炎よ、俺を満足させてくれ。

「ねずみ花火」は楽しい
文字通り躍動する炎といったところだ。
偽者とは言え「ねずみ花火」を作った奴の気持ちが良く分かる。
この楽しさを知っているのなら
偽者でも作って気持ちを紛らわせないと狂ってしまうだろう。
ネズミの大きさは中くらいのものが最適だ。
大きすぎると炎は大きくなるが動きが鈍い。
小さいのは炎の迫力は薄い。
中くらい、贅沢を言えば少し痩せ気味なヤツが良い。
ソイツを金タライの中に放り込んでカッターナイフで傷を付ける。
こうやっておけば痛みで暴れるのが大きくなるので見応えが増える。
灯油よりはガソリンの方が燃える割合も激しいようだ。
弾けるように着火する瞬間がたまらない。
また、カッターで傷つけた部分が痛いようで狂ったように暴れてくれる。
タライに入れて、傷を付ける。
ここからは時間との勝負になる。
血が出すぎるとコイツらはすぐ死んでしまう。
炎の芸術を楽しむ時間が減ってしまう。
部屋のカーテンを閉め、薄暗い部屋
丸い、まるでサーカスのリングを彷彿させるような円の中
命の限り燃え続ける「ねずみ花火」

もっと走り回れ!もっと鳴け!もっと俺を満足させてくれ!


ネズミどもの数が減ってきた。
何でも無いときにはいくらでも増えるクセに…使えないヤツらだ。
刺激を求めすぎて複数でやったのが悪かったのか
目に見えて減ってやがる。
まあいい…少し飽きてきたところだ。
人間ってのはすぐに刺激に飽きて新たな刺激を求める
まったくもって厄介なものだ。

もう少し、大きな炎がいいな…

俺に新しい欲望が生まれてしまったようだ。

[ 2007/01/31 22:57 ] 第二章  炎 | トラックバック(-) | コメント(-)

欲望の肥大 

「ねずみ花火」は少しオヤスミです。
ちょうど良いのを見つけた
近所の公園、猫を異様に可愛がってるバアさんがいて
野良猫を大量に餌付けしてる。
公園の真横にはずっと工事が中断されてる現場があって
俺の崇高な実験にはおあつらえ向きな場所になっている。
家の外での初めての実験になる。
人に見られないように、実験道具をどうやって運ぶか、猫が暴れすぎたらヤバイな…
実行に移すまでは幾つかハードルがあるようだ。
慎重に…快楽を得るためには…慎重さが必要だ…

俺は狂い始めてる。

決行は明日のお昼。
みんな昼飯を食べに帰ってて公園に人がいない。
工事現場も確認した。更地にしてバリケードが張ってあるだけ。もったいねえ。
ちょうど抜け穴のようなバリケードの綻びも見つけた。
浮浪者が寝泊りしてるような形跡も無かった。
警備員もシステムも無いようだ。
猫どもをおびき寄せるのは残飯でいけるようだ。
ババアに飼いならされてるようで野生の警戒心が薄い。
子猫なら簡単に運べそうだ。
捕まえて工事現場に連れて来たらまずは後ろ足2本の腱を切ることにした。
これなら暴れても工事現場の外に逃げ出さないで済む。
その後、水筒に詰めた灯油をかける。
ガソリンではどれくらい燃え方が強くなるか予測が付かない。
道具は今日のうちにあらかた工事現場に運び込んだ。
カッターナイフ、水筒、死体を埋めるスコップ…
どれも工事現場では何ら違和感の無い物ばかり。

いよいよ明日だ、この高揚感を何に例えればいいだろう?

実験は大成功!
子猫の捕獲はスムーズに進んだ。
それどころか子猫を追いかけてきた親猫まで捕獲に成功
嬉しい誤算とはこの事だ。
追いかけてきた親猫の頭をスコップで一殴り。
一発で動かなくなったので殺してしまったか?と思ったが
確認すると息がある。親猫が失神している隙に子猫の腱を切る
切ろうとすると暴れる。手に多少の擦り傷を作りながらも腱を切り裂く。
フギャーーーーーーーーーーーー!!!と叫び声が響く
少し脚を引きずっているが動いている。火を付けても良い動きはしてくれそうだ。
続いて親猫の腱を切るこちらは失神していることもあり作業自体は非常に楽なものだ。
片方の腱を切った瞬間、子猫より大きな叫び声が響く。
痛みにより親猫の意識が戻ったようだ。
わざわざ意識が回復するのを待つ手間が省けた。
腱を切られた痛みでロクに抵抗できない親猫の残りの腱を切る。
当初の計画からずれるが子猫の動きから見れば
四肢の腱を切っても十分に動けそうだ。
万全を期して親猫、子猫ともに四肢の腱を切ることにした。

続いて水筒の中の灯油をかける。
1匹なら十分な量を想定して持ってきたのだが
2匹となると少々不安があった。
しかし、案ずるより産むが易しだ。
水筒の中身は空になってしまったが2匹ともたっぷり灯油まみれだ
腱の傷が染みるのだろう、2匹とも良く暴れてくれた。
これで良く燃えることだろう。
家から持ってきたチャッカマンを握る、いよいよ点灯式だ。

美しい、芸術的な炎を俺に見せてくれ!


ここは順番を間違えてしまった気がする。
最初に子猫に火を付けてしまったのだ。
燃え盛る子猫を見て脚がマトモに動かないはずの親猫が子猫に駆け寄った。
自分も灯油まみれなのに、馬鹿なヤツだ。所詮は畜生だな。
結果良ければ全て良しとしよう。親猫にも子猫の火が引火した。
どちらも動きが硬直したのは一瞬だった。
生身に火が付いた熱さは静止など許さない。
美しい…ただ美しいとしか表現しようのない光景が広がった。
地面にその場で円を描くように悶える2匹の猫
大きな炎とそれより少し小さな炎、揺らぐ炎の大きさも彩りを添える。
「ねずみ花火」など問題にならない、こちらは本物、向こうはオモチャに見える。

大成功だ!期待以上の興奮に俺の全身は鳥肌がたっていた。

猫は楽しい。
近隣の人も迷惑してるであろう野良猫の大群を駆除もできる。
俺の楽しみを満たした上に社会的にも奉仕できてる。
コレってスゴイよな。さすがに大っぴらには出来ないので自画自賛です。
猫は楽しい、犬に比べると攻撃力も劣ってる。
特にあそこの猫は警戒心が薄い。猫ババァのおかげで野生じゃない。野良だけど。
毎日やると目立つかもしれないと思ったので週に1回で抑えてる。
これはちょっとしたストレスだ。
でもストレスを感じた後の開放、カタルシスっていうのか?
これは最高だ。快感が何倍にも感じられる。
今の所悩みは猫はネズミほど増えないってことだ。
いずれ資源は尽きてしまうのではないか?
まあ、しばらくはその心配も無いだろう。
でも、限りある資源は大切にね。

俺は正義の味方?かも知れない。



悪い知らせです。
さっきテレビのワイドショーで例の工事現場が映ってました。
証拠を残すような事はしていませんし、道具も全部引き揚げてきてます。
猫の焼死体が多量に発見された。
動物愛護の条例違反で警察が捜査。
そんな感じの事をテレビでは言っている。
目撃証言みたいなのも流れてる
現場付近で何度も目撃された黒い乗用車
不審な30台前半とみられる眼鏡をかけた男性
それを聞いた時の俺の顔は多分笑ってたんじゃないかと思う。

全く見当外れだよ。

警察は目撃証言を元にした似顔絵なんてのも公開してる。
ご苦労さん。

とりあえず猫はしばらく断念だ、ネズミだけでは我慢できないだろう。

何か代わりになるものは無いか…?

[ 2007/01/31 22:56 ] 第二章  炎 | トラックバック(-) | コメント(-)

不満 

猫の代用品が見つかった。
いや、代用品と呼ぶべきか新しい芸術と呼ぶべきか
ソレは街中に溢れ返っているものです。
猫よりも大きいものです。
残念なことは、生物ではありません
燃えているときに炎は踊らないでしょう。
それが残念です。本当に残念です。
新たなターゲット…それは自動車です。
街中で平気で路上駐車して
運転手は車から長時間離れている。
俺に狙ってくれって言ってるようなものです。

さあ、ストレス解消くらいはさせてくれるよな?

車は楽なものだった。
周りに人さえいないことを確認できれば
あとは作業をするだけ。
炎は大きい、とくに燃料タンクに引火すれば
間近で眺めるのが危険なほど素晴らしい炎を上げてくれる。
しかし不満な点がある。
じっくり眺められないのだ。
爆発音が響き人が集まってしまう。
動物と違って炎に動きが少ない燃え始め
この時はじっくり眺めていられる。
でも大きくなりかけの退屈な炎だ。
いよいよ本番、エンジンから燃料タンクに引火すると
派手な美しい芸術が現れるその時
俺はその場から離れないといけない。
コトは慎重に運ばなければいけない。
慎重さを無くした時点で俺はこの快楽を楽しめなくなるのだ。
目撃されるのは絶対に駄目だ。
だから、すぐ傍にある美しい炎を置いて
俺は遠くからその炎を眺めないといけない。

こんなストレスは体に悪い…

俺は狂ってる、炎の魅力に狂った俺を何が満足させるんだ!

[ 2007/01/31 22:49 ] 第二章  炎 | トラックバック(-) | コメント(-)

覚醒 

車には早くも飽きてきてしまっている
ネズミの相手も不味い飯でも食わないよりマシ程度だ。
でもあんまり気落ちはしていない。
俺の本当にやりたい事が分かったから。
何でこんな簡単なことに気が付かなかったのかな?
例えて言うなら肉を思いっきり食いたいのに
豆腐を食って満足できないな、ってボヤいてるようなモンだ。
俺の狂気はいつ目が覚めたのか
答えはそこにあった。

祖父ちゃんの死んだとき、火葬場の煙を見た時だ

次は人間、俺の本当のターゲット

[ 2007/01/31 22:48 ] 第二章  炎 | トラックバック(-) | コメント(-)

留 

ターゲットが人間となれば狙う獲物は限られてくる。
子供か老人だ。
より確実、安全な道を選ぶならターゲットは限られてくる。
今回の獲物に決定したのは「老人」
かと言って街中を歩く老人をいきなり燃やすことなど不可能だ。
俺はその場で捕まってしまう。
狙うのはホームレス
出来れば公園や駅に住んでいるヤツは避けたい。
高速道路や、川の橋の下に住んでるような
集団から孤立したようなヤツが良い。
次の作戦実行までは時間がかかりそうだ。
でも、これでやっと本当の充実感、満足感が得られるんだ。

ご褒美が大きいほど物事はやりがいがある

[ 2007/01/31 22:45 ] 第二章  炎 | トラックバック(-) | コメント(-)

浮かれる  

時間がかかってしまった。
だが興奮が収まらない!

見つけた!ターーーーゲット見ぃぃぃいいいいつけた!!!

家からチャリで20分の距離
河川敷にかかる鉄道の橋
そのたもとに
いましたよ!い・ま・し・た・よ!!
ほーむれすが!勿論ターゲットの条件にぴったり老人です!
ヨボヨボ!かろうじて生きてるんじゃないの?って位の老人!
しかも!しかもしかもしかも!!!
お・ん・な!!!!!!!!
棺桶に片足突っ込んでるバーサンですよ!!!

念の為1週間ほど様子を見てみました。
バッチリです! 一人です! 仲間もいなーい!
社会的に抹殺されてる人間です。
これから俺がするのは人助け!
ツライ人生の幕を下ろす俺はさしずめエンジェルちゃんです!

人生においてこんなに浮かれることってないよ? な?

[ 2007/01/31 22:40 ] 第二章  炎 | トラックバック(-) | コメント(-)

~計画~ 

浮かれてる気分を引き締めます。
確実に、慎重にが信条です。
計画を立ててみました。
まず決行時間ですが深夜。時間は当日まで分かりません。
家族が全員寝静まってから出動です。
これは都合の良い日が来るまで何日でも待ちます。
安全を重んじるためには我慢も必要です。
当日の携行品はリュックの中に鉈
物置で見つけました。少し錆びていたけど
今は砥ぎ直してピカピカです。
カッターでは人は切れないかもって不安があったのでこれは心強い武器になります。
水筒にガソリン、猫で実験済みです。
揮発性の強い分、灯油に比べて一気に燃やせる。
動物を殺る時よりもスピードが要求されるのでこれも重要なファクター。
そして我が相棒のチャッカマン!
これを忘れたらメインイベントが成り立たないですよね。

実行計画は動物と異なります。
狙うのは脚じゃなく首、特に喉
本当は生きたままが理想なんだけど
叫ばれたら厄介です。
最初に死んでもらいます
即死じゃなければいいな…
衰弱したところにガソリンをかけて着火
まだ生きていればもがく所を見られますが
この際です、贅沢は言いません。
とにかく、人が燃えているところが見たいんです。
早く決行出来る日が来ないかな?

[ 2007/01/19 19:25 ] 第二章  炎 | トラックバック(-) | コメント(-)

~出陣~ 

長かった…そんなに日は経っていないが
待つという行為にこんなにもどかしさを覚えたのは初めてかもしれない。
時刻は現在深夜2時
親父が珍しく早く帰宅し、お袋も12時には寝た様子。
祖母ちゃんはもっと早く寝ていることだろう。
念には念を入れて2時間待った。
しかし、運は俺に味方している。
今宵は新月、暗闇は俺の味方だ。
愛用のチャリンコに跨り、いざ決戦の地へ!

道中、流れ星を見た。願いは一つ、「無事成功しますように

[ 2007/01/19 19:19 ] 第二章  炎 | トラックバック(-) | コメント(-)

~殺~ 

目的地に到着、辺りは静まり返っている。
ホームレスのババアはご在宅のようだ。
少し離れた場所に自転車を止める。
気付かれないように、そーっと、そーっと近付く。
息を潜めて、草の根にさえ細心の注意を払う。
長いような、短いような、感覚の狂った時間は過ぎ
俺はバアサンの元へと到着した。
手に持った鉈を振り上げたその時だった、
人の気配に気が付いたのか、バアサンが目を覚ました。
(しまった・・・!!)しかし、もう遅い!
バアサンが「ん…?こ…ど!!!……」
これだけ言った時には俺の鉈がバアサンの喉を切り払っていた。
(残念、死んじまったか…)
俺の最高のシナリオは残念ながら外れた。
バアサンは喉から血を噴出すとピクンッ!と一回痙攣を起こし
そのまま息絶えたようだった

後は計画通りだった。人通りも無い河川敷
橋の下でバアサンにガソリンをかけて燃やす。
バアサンの死体は勢い良く燃え上がった。
バアサンの血がたっぷり染み付いたゴザのような敷物も一緒に燃やす。
死体は燃やすと虫が死ぬときのように
手足が体の前に方に引き寄せられてくる。
火葬までしたんだ、感謝してくれよ?)
俺は心の中でバアサンに告げる。

1時間ほどで死体は骨と灰になった。
骨はその場で砕き灰と一緒に川に流した。

[ 2007/01/19 19:18 ] 第二章  炎 | トラックバック(-) | コメント(-)

~苛~ 

家に着いたのは5時前になっていた。
祖母ちゃんが起きてないかと不安になりながらも
こっそり家に入った。
朝、何も聞かれなかったのできっと寝ていたのだろう。
さて、大きな目標を果たした俺。
炎は確かに綺麗だった。
今まで見た中でも一番のデキだったと自負している。
でも、何か、まだ、物足りない…
今日は炎を見たくない。
俺はケージの中のハムスターに
今日はツイてたな…」
と声をかけ、もう一度ベッドに潜り込んだ。

目が覚めたのが11時過ぎ。
リビングの向かうと相変わらずお袋はPCにかじりつきだ。
ネット廃人って言葉はコイツのためにあるんじゃないか?
俺は半ばあきれながらも「おはよう」」と声をかけておいた。
お袋はこっちを振り返りもせずに「おはよう」と返して
キーボードを叩きながら「昼ごはん食べたら今日もまた外に行くの?」
と聞いてきた。俺は今日の行動など決めていなかったので
「決めてない」とだけ答えておいた。

昨日、大きな目標を達成したはずなのに
まだ、満足していない

理由が分からない、俺はイラついていた。

[ 2007/01/19 19:17 ] 第二章  炎 | トラックバック(-) | コメント(-)

~原点~ 

外へは行かなかった。
ハムスターも燃やしていない。
何の気力も沸かないまま昼飯を食う。
部屋に戻ってベッドに寝転んだまま。
そのまま晩飯の時間
テレビのニュースではホームレスのババアの死体が発見されてないことを確認した。
晩飯を食い終わってまたベッドに寝転んでいると
外からドン!ドン!パーン!という音が聞こえた。
窓を見ると空がやや色付いている。
(花火か・・・)
火は見たい気分…じゃないな
でも、何となく、自分でも分からないが、何となく
花火を見なければいけない
そんな気分に押されて俺は庭先に出た。

ドーン!ヒューッ!パーーーン!!!
庭先に出た俺を迎えたのは東の空を一面彩る花火だった。

(あ………)
声に出ていたかも知れない
(祖父ちゃん………)
俺の中にフラッシュバックのように甦る記憶
祖父ちゃんが死ぬ前一緒に見た花火

今も隣に祖父ちゃんがいるような…
祖父ちゃんは隣で微笑んでいた
生前と同じ、穏やかな、包み込んでくれるような表情で…

そうか…これが…俺の求めていたものだったのか…

[ 2007/01/19 19:16 ] 第二章  炎 | トラックバック(-) | コメント(-)

~理解~ 

花火はいつの間にか終わっていた。
祖父ちゃんはまだ隣にいる。
俺は祖父ちゃんの顔を覗き込んでみた。
祖父ちゃんの顔は…もう微笑んではいなかった。
淋しげな、厳しい表情をして俺を見ていた。
分かってるよ…祖父ちゃん…)
心の中で祖父ちゃんに話しかける。

幻の祖父ちゃんは頷いたかと思うと
俺の視界から消えていった…

俺には後一つだけ…やらないといけないことがある

[ 2007/01/19 19:15 ] 第二章  炎 | トラックバック(-) | コメント(-)

~炎~ 

部屋に入り準備を整える。
今回だけは慎重さはあまり必要ない。
勝手知ったる我が家だ。

深夜1時
親父もお袋も祖母ちゃんも熟睡している。

自分の部屋から台所、廊下、居間へとガソリンを流して歩く。
居間へ到着し居間の机の上に座る。

(みんな、悪いな。こんな出来損ないの俺を育てた責任もあるんだぜ?)

俺はガソリンに点火した。

火はガソリンを伝い一気に家も燃やした。

親父とお袋、それに祖母ちゃんの部屋は勝手口の近くにある。
案外、運さえ良ければ助かるかもな…

目の前に広がる大量の炎

あんなに見たくて堪らなかったはずなのに
正直、今はどうでもいい

ああ…熱いな…・・・・・・・

[ 2007/01/19 19:10 ] 第二章  炎 | トラックバック(-) | コメント(-)

エピローグ~朝のニュース~ 

テレビでは朝のニュースが流れている

昨日未明○○市××町の民家で火事がありました。
火事は民家一棟を全焼した後、消防によって消し止められました。
周囲の民家への延焼は出ていません。

なおこの火事により民家の主人 日高 和夫さん(35歳)が重体
祖母の てるさん(70歳)も軽度の火傷を負っています。
また逃げ遅れたとみられる妻 美奈さん(33歳) 長男 隆志くん(4歳)
遺体で発見されました。

この火事は居間からの出火が原因と見られており
消防、警察では事件・事故の両面から捜査をしていく方針です。
朝のニュースでした。

世界は変わらない日常を続けていく。

[ 2007/01/19 19:01 ] 第二章  炎 | トラックバック(-) | コメント(-)

第二章専用コメント欄 

第二章のコメントはこちらへどうぞ



[ 2007/01/19 19:00 ] 第二章  炎 | トラックバック(-) | CM(8)
プロフィール

黒矢 一実

Author:黒矢 一実
主に短編小説を書いています。
現在のところ更新は不定期です。
コメントを頂けると非常に嬉しいです。
リンクはフリーです。
リンクされる際にメッセージを一言いただければ嬉しいです。
相互リンクも募集してます。

今このページを見てる人
現在の閲覧者数:
これまでこのページに来てくれた人
メールはこちらに

名前:
メール:
件名:
本文:



上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。