僕は狂っていく~ぼくるい~

創作小説「僕は狂っていく」まとめブログです。 ジャンルは現代モノです。 基本的に「奇妙な話」です。

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携帯 

置手紙は何回も続いた。
今まで俺が天体観測にあててた時間
・・・それが俺が瞳にわけてあげられる時間に変わった。
瞳は心配してるようだけど
大丈夫だよ。
お前は・・・何も心配するな。

今日の置手紙に書いてあった一言

ね?仁の携帯・・・少し使っていいかな・・・?

いいよ、って返事してやるつもりだけど
ドコか連絡するのかな?・・・マコトさんにかな?

瞳からの置手紙

仁へ☆

携帯借りたよぉ!ありがと☆
データフォルダの一番最初の写真をみてね♪

仁のことだ~い好き!
                hitomi☆

手紙の横に置いてある携帯を取り
写真を見る
・・・俺じゃない俺・・・瞳が写っている。
無邪気に笑ってピースサインをしている。

はは・・・妹がいたらこんな感じかな?

狂った俺が生み出した女の子・・・
・・・俺のもう一つの人格なのか・・・?
でも、それにしては俺の知らない部分が多すぎる。

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[ 2007/01/12 19:40 ] 第七章~認識~ | トラックバック(-) | コメント(-)

再会 

6月に入っても
俺はまだトシの部屋には行っていない。
その間、何度か電話はかかってきているが
「たまには顔見せろよ?」
とか「気兼ねすることないんだぞ」みたいな
こちらを心配しているような様子だった。
きっと・・・マコトさんから俺の話を聞いたんだろう。
強引な様子が無いトシは少し調子が狂う。

瞳と俺の関係は・・・相変わらず。
変わったことと言えば・・・文通が交換日記に変わった。
ノートを買ってきて。
俺がその日にあったことを書く。
瞳が隣のページに感想を書く。

そんな感じ。
後は交換日記で分かったことが少しずつ・・・

はっきりしたことは・・・俺が女装してなくても
瞳は存在してるし、消える気配は無い。
俺に瞳を消す気がないからかも知れないが。

俺と違う価値観を持っていて
全くの別人格であるということ。
それぐらいしか分かっていない。

瞳が言うには
強引に体のコントロールを手にすることはできないらしい。
俺の意識に・・・隙間のようなものがある時に
瞳が表に出られるのだそうだ。
例えば寝ているとき、ショックを受けたとき、・・・射精したとき・・・
そんな時に瞳が表に出ると
俺は眠ってしまう。
今まで、瞳が起こすまで俺が自発的に起きたことは無いそうだ。

瞳は俺の逃避が生み出した人格なのか・・・?

7月に入ってトシに会ってみたくなった。
何だか良く分からないけど・・・こんなオカシナ悩みなら
トシは頼りになるような気がする・・・根拠はないけど。
瞳も賛成してくれている。
トシにだったら打ち明けてもいいんじゃないか
そんな所で2人の意見は一致した。
いきなり尋ねて留守だと何なので
とりあえず電話してみることにした。

「仁?仁?仁かぁ!?どした?何かあったか!?ん?ん?」
・・・のっけからテンション高いなぁ・・・
相談するのが少し心配になってきた。

[ 2007/01/12 19:37 ] 第七章~認識~ | トラックバック(-) | コメント(-)

話 

「そりゃあ・・・2重人格ってヤツじゃないか?」
ウン、俺もそうだと思うんだけど・・・
「でも互いに認識しあってる多重人格ってのもな・・・」

トシが言うには多重人格っていうのは
人格同士がお互いを認めることはめったに無いそうだ。
主人格(この場合は俺)が分裂した人格を認めると
ほとんどの場合は分裂した人格は統合されて
症状が無くなるんだそうだ。

今の俺と瞳のような関係は何か多重人格と呼ぶには不自然なんだそうだ。

「とりあえず・・・瞳の方の話も聞かせてもらっていいか?」
トシは完全に精神科の医者みたいになってる。
・・・やっぱり変なところで頼りになるな・・・
俺が少し感心したところで

「でさ!女装してくれるよな?な?な?」
・・・見直して損したような気がする。
「アンッ!」
とりあえずトシをグーで一発殴ってから・・・瞳と入れ替わった。

「えと・・・はじめ・・・ましてぇ・・・」
なんかめっちゃ照れる・・・
「お・・・おう、マコトから一応聞いてたんだけどな」
トシも照れてるよ、アハハ・・・バレちゃうとぎこちないねぇ★
「で・・・だ。完全に女の子なワケか・・・?」
コクン、と私が頷く。トシだってさんざん見てきたじゃん・・・
「でも・・・性癖はバイみたいだよ。トシと一緒だね♪」
トシがプルプル震えてる・・・これってヤバイ雰囲気?
「・・・・・・・・・マジか?」
ポツリと聞いてくる。恥ずかしいけどマジだもん。
て言うか私との会話・・・何かの解決に結びつくの?
「じゃあああああああああ!!!!俺と!!!!マコトだけやったってズルくね?」
キタ!猛烈ハイテンション!!
でも・・・ちゃんと言っておいてあげないとね・・・
「あの・・・トシ?今さ・・・仁・・・起きて聞いてるよ?」

この一言を聞いて、空気が抜けた風船みたいにトシが崩れ落ちた。

「うん・・・仁が寝てるときにゆっくりね・・・瞳ちゃん・・・」
抜け殻になってる・・・仁がそんなに怖いのかな?
うん・・・話を続けなきゃ。
「えっと・・・私に話しって何ですか?」
話が進まないと仁がイライラするのが伝わってきて私もちょっと怖い(汗)
トシが気を取り直すように聞いてくる
「お・・・おう・・・いや、今ので少し答えになったんだが・・・」
ん?答え?何を聞こうとしてたのかな?
「つまり、記憶の共有はできてるんだな?」
共有?仁と私の記憶が一緒ってことかな?
「えっと・・・『部屋』の中で起きてるときは・・・」
『部屋』っていうのは表に出てないときにいる
頭の中の場所。
控え室みたいだから、私も仁も最近はそこのことを『部屋』って呼んでる。

「そうか・・・控え室もあるんだな・・・」
トシは何か考え込んでる・・・ちぇ・・・トシとしたかったなぁ・・・

・・・仁にバレたらすっごく怒られそうだ。

トシの説明はこうだった。

専門じゃないから断定はできないがな、と前置きした上で。
普通は主人格に分裂した人格を認めさせ
統合してしまうのが分裂症の治療法なんだそうだ。
ところが俺は瞳の存在を認識しておきながら
全然統合に向かっていない。
俺の瞳を消したくないって言う意識が統合させないようにしてるのかな?
その質問には
まだちょっと材料が足りない、もう少し待ってくれ。
との事だった。

トシは何か思うところがあるらしい。

[ 2007/01/12 19:36 ] 第七章~認識~ | トラックバック(-) | コメント(-)

気遣い 

最近姉ちゃんが夜になると誰かと電話してる。
彼氏でもできたのか?
まあ、年頃だしな自覚もできれば彼氏の一人や二人いてもおかしくない。
さっき聞こえた声では
「え?言わせるの?・・・愛してるよ!・・・恥ずかしいなぁ、もぉ~♪」
いや、聞いてて恥ずかしいのはコッチだ!
しかも共学高で彼女がいない俺なのに
女子高の姉ちゃんに・・・なんでだー!
こんな不安定なときにさらに不安定にさせてくれるなよ・・・姉ちゃん。

今日の交換日記:瞳からの返事

期末テスト頑張ってね!
私が代わってあげれるなら代わってあげたいよ↓
それと・・・仁、最近欲求不満になってない?
昨日交代してもらったときに・・・その・・・男の子が・・・ごにょごにょ・・・
とりあえず仁が自分でちゃんと処理してあげてね?

PS:オカズにはコレを使うと良いのだー♪ →

矢印の横には・・・伊藤さんの写真が置いてあった

バカヤロ!

[ 2007/01/12 19:34 ] 第七章~認識~ | トラックバック(-) | コメント(-)

質問 

夏休みに入った。
試験の結果は・・・置いておこう・・・

とりあえず、またトシの部屋に良く行くようになった。
瞳も出してあげないと・・・可哀想だし。
交換日記には気にしないでって書いてるけど
やっぱり気になるもんなぁ・・・
3日に1回くらいは解放してあげようと思う。

マコトさんにも会った。
「ごめんね・・・隠してて・・・」
バツが悪そうに謝ってくれたが・・・気にしてないよ。

むしろ・・・たぶん・・・マコトさんがいなかったら
ずっと瞳に気が付かないままだったし。

瞳も俺もマコトさんには感謝してるよ!

「ん?うん、今日も帰るのは夜かな。うん、ご飯はいらない。じゃあねー♪」
メイク中だけど、マコトさんが電話してる。
仁も起きてるみたい。
最近は私が出ても起きてること多くなったね。
そのウチに心の中で会話できるようになったりしないかな?

「ね?今の相手って誰?」
ちょっとマコトさんの私生活に興味が湧いて
思わず質問してしまった。

「え?ああ、妹よ。」
へー、妹がいたんだ、美人なんだろうなぁ
「帰り時間気にしてたみたいだから、恋人でも来るんじゃないの・・・」
メイクに集中してるマコトさん、思ったことをそのまんま返事してる。

「恋人っていえばさぁ・・・」
マコトさんからの質問
「仁くんに恋人ができたら・・・瞳ちゃんはどうするの?」

・・・目が点になった。考えたこと無かったから。

[ 2007/01/12 19:33 ] 第七章~認識~ | トラックバック(-) | コメント(-)

ありふれない日常 

ん~、考えるのは止め!
せっかく仁がくれた時間だもん、有意義に使わなきゃね☆
最近外に出てなかったからとりあえずトシのマンションの近所のコンビニへ

店内で色々買ってたらカワイイ男の子幼稚園くらいかな?
お母さんと一緒にお買い物してる。
何かじーーーーーっと見てるなぁ・・・何だろ?
ライター?ダメよ!危ないわ!
と、思っていたらヒーローが印刷されてるライターね。
ダメよ?ボク?ライターは大人になってからね!

あらら・・・ライターに火をつけちゃった
ちゃんと止めてあげないとね。
「ボクー、ダメだよ?ちゃんと元の場所に戻そうね?」
男の子ちょっと残念そうな顔しながら
「うん・・・」
可愛いなぁ・・・素直がイチバンだね!

「隆志~!帰るわよ~!」
お母さんに呼ばれて男の子は帰っていった。
あ~私もあんな子供を産みたいなぁ・・・

いや、一生無理なことは分かってるんだけどさ・・・

久しぶりのお出かけでテンション上がったんだな。
日記がすごいテンション上がってる。

仁!今日はありがとー!
スッゴクすっごく楽しかった♪
今日コンビニで見た男の子憶えてる?
可愛かったねー☆私もあんな子が欲しいな!
仁に・・彼女でも見つけてもらうかな?
なんちゃって☆
私に気を使わずに彼女作っていいからね?

あと・・・一つだけワガママ言っていいかな・・・?
私も・・・女の子になってみたいんだ。
仁がダメだったら・・・いいからさ。

ここで日記が終わってる。
消しゴムで「トシと・・・」と書いて消した跡がある。

俺は・・・男とSEXする。
する事になる。する時期は・・・相手次第。

[ 2007/01/12 19:30 ] 第七章~認識~ | トラックバック(-) | コメント(-)

デート 

トシに相談してみた。
瞳と・・・SEXしてくれるかどうか。
トシの返事は明快だった。

「ん?オレがダメなわけないだろ?」
うん、そういうヤツだって分かってた。
「でもさ?多分痛いぜ?」
うん・・・それも覚悟してる・・・つもりだ。

「じゃあさ、いつする?いつでもいいぜ?」
ちょっと心の準備をするから・・・いいかな?

「じゃあよ、する当日にオレとデートしないか?」
トシにしては・・・まともな提案・・・かな?


デートは花火の日になった。
朝から俺が女装して、瞳とトシが普通にデートするんだそうだ。

で、トシからの要望は、
「仁、頼みがあるんだけどな。デート中はお前寝ててくんないか?」
お前・・・何する気だよ・・・?
いや、SEXしてくれって頼んだのも俺なんだけどさ・・・
なんて言うか・・・その・・・可愛い妹のため
そんな感じなんだよな。

覚悟は決めた!
痔も・・・覚悟したぞ!
瞳!頑張って来い!

[ 2007/01/12 19:29 ] 第七章~認識~ | トラックバック(-) | コメント(-)

瞳の覚悟 

仁・・・ありがと・・・
本当は仁としたかったんだけど
無理だもんね・・・
痔にならないように・・・頑張る。

私は・・・

花火の日。
朝、起きた時から私は私だった。
仁が気を使ってくれたんだね。
本当にありがとう。
家を出る前にお姉さんを見た。
仁に・・・私にソックリだね。ビックリした。

トシのマンションに行くと
ビシッと決めた格好で出迎えてくれた。
こんな私のために・・・みんなありがとうね。
マコトさんも待っててくれて。
お化粧も洋服もすっごく可愛くしてくれた。

「とうとう覚悟決めたんだね・・・瞳ちゃん」
マコトさんにはバレてるみたい。
「うん・・・決めちゃった♪」
明るく答える私。

だって・・・仁が決めてくれた覚悟だもん・・・私も答えなくっちゃ・・・

「じゃあデートすっか!」
トシの車に乗ってお出かけ。
行く先は内緒なんだって。

「最初で最後のデートだからな・・・楽しもうぜ!」
トシにもバレちゃってるじゃん・・・
「でさ・・・仁は寝てるのか?」
トシが聞いてくる。
仁は・・・寝てるみたい。朝からずっと・・・
「そうか、ちゃんと言いつけを守ったってわけだ」
「気をきかせてくれてるんだと・・・思うよ」
「ま、瞳ちゃんも鈍いヤツに惚れちまったってわけだな」
くっくっくっ、とトシが笑う。
何だ・・・全部お見通しだなぁ・・・
「で、鈍チンのお願いはどうする?お姫様」
あらら、そこも見破られてるのね・・・
「分かってるんでしょ・・・意地悪・・・」

トシってこうやって人の困る顔を見るのが好きなんだな・・・

[ 2007/01/12 19:27 ] 第七章~認識~ | トラックバック(-) | コメント(-)

終了 

はぁ・・・楽しかった。
お食事して、買い物して、景色見て・・・♪
デートっていいよね・・・
これが相手が・・・いや、言っちゃいけないね★

これで思い残すことは・・・ほとんど無いかな?

トシとのエッチは・・・内緒♪

さて、帰ろうかトシ・・・仁に体返さないとね♪

[ 2007/01/12 19:26 ] 第七章~認識~ | トラックバック(-) | コメント(-)

違和感 

「・・・おい、起きろよ」

トシの声で目が覚めた。
ここは・・・トシの部屋か。
今日、一日ずっと貸してやるつもりだったのに
相変わらず変なところで気を使う奴だな・・・
デート・・・楽しかったか?
ちゃんと望みは果たせたか?
聞いてやりたいけど、話せないのがもどかしいな。

今日の日記の内容が楽しみだ。

今の格好は、ちゃんと俺の服
顔も・・・メイクは落としてるみたいだな。
デートの中断ってワケではなさそうだ。

せっかくなんだから、もっと楽しんだら良かったのに。

寝起きの頭でそんなことをぼんやり考えてたら
トシがコーヒーを入れて持ってきてくれた。

コーヒーを飲みながら、今日のデートのことでも聞くかな?
と、思っていたらトシの方から話しかけてきた。

「今日は・・・ありがとうだってよ」
あはは、わざわざトシに言付けなくても良いのに。
よっぽど楽しかったんだな。
今日の日記がますます楽しみになる。

「んでよ・・・今から花火、見に行かないか?」
ん・・・まだそんな時間か。

時計はまだ夕方の6時・・・花火の開始までは1時間あるな。

河原までの道を2人で歩く
会話は・・・あんまり無い。
話すことが特に無いと言えばそこまでなんだけど。

「瞳が・・・見たいって言ったからな」
トシがぽつりとつぶやく。
そっか、じゃあ河原で代わってあげてもいいな・・・
そんな事を考えながら歩く・・・

河原が見えてきた。
すごい人だかりだ。
見れる場所・・・あるかな?
そう考えてたら・・・急にトシが手をつないできた。

え・・・?と思ったが
どうやらあまり他意は無いようだ。
人込みではぐれないように・・・そんなとこだろう。
もし・・・学校の知り合いとかに見られてたら
後で説明がめんどくさいな・・・
そんなくらいにしか思わない。
トシは人込みを突っ切ってガンガン進んで行く。
こういう時はトシのような性格の人は便利だ。

そこそこ見晴らしの良さそうな場所に着く。
立ち見だが、ここなら良く見えそうだ。
花火が始まったら瞳を起こしてやるか。
そんな事を考えていた。

「ちょっと、待っといてくれ」
そう言いながらトシが元の方向に戻って行く。
「すぐに戻ってくるから、そこの場所とっといてくれ!」
少し離れたところでトシの声が聞こえた。

そうだ、今の間に瞳と代わっておいてもいいかな?
デートの続きみたいで、さらに喜んでくれるだろう。
我ながら名案だ。
早速、呼びかけてみるが・・・反応がない。

[ 2007/01/12 19:25 ] 第七章~認識~ | トラックバック(-) | コメント(-)

花火 

何回呼びかけてみても
瞳からの反応は無かった。

そうこうしている間にトシが戻ってきた。
手にはコップとホッドドッグが2つ。
「花火があがったら、飲もうや」
コップとホッドドッグが置かれた
発泡スチロールの皿を地面に置く。

「あのよ・・・仁・・・」
トシが話しかけてくる。
今日のトシのテンションは・・・低い。
デートで何かあったのかな?

「オレはさ、仁も瞳も・・・両方好きだ」
いきなり・・・どうした?
「でもよ・・・ちょっとだけ。ちょーっとだけなんだが」
ひゅ~っという花火の打ち上げ音が聞こえる
トシの話は続いている・・・
「瞳のことを・・・今はひいきしたい気分なんだ」

ドーーーーーン!!!!!

一発目の花火が上がった
・・・と同時に、俺はトシにいきなり殴られた。

何が起こったか理解できてない。
ジンジンする頬
目の前にはさっきトシが買ってきたコップとホットドッグ
上を見上げると拳を振り切ったポーズのトシ・・・

周囲では
「ケンカか?」
「何?どうしたの?」
「怖い~ね」
「もっとやれ!」
などの野次馬のような声が聞こえる

間違いなく・・・俺はトシに殴られたようだ。
「さて・・・立てるか?」
トシが俺に手を差し伸べてくる。
なんで・・・殴られたんだ?ますますワケが分からない・・・

[ 2007/01/12 19:23 ] 第七章~認識~ | トラックバック(-) | コメント(-)

理不尽 

俺とトシは今、並んで座りながら花火を眺めている。
さっき俺が殴られた拍子に周囲に1メートルほどの空間ができて
今だに空間が埋まっていないからだ。

・・・危ない奴らと思われてるんだろうな・・・

実際に危ないじゃないか・・・いきなり殴るって
常識的にありえないぞ!
まだ・・・痛いし

「・・・まだ・・・痛むか?」
コップを俺に差し出しながらトシが聞いてくる
「ん・・・けっこう・・・痛い」
コップに口を付ける・・・苦い・・・ビールだ。
「悪かったな・・・」
トシが謝りながら自分もビールを飲む。

・・・理由が・・・分からない
瞳が出てこないのと・・・何か関係があるのか?

「瞳・・・出てこないだろ?」
唐突にトシが聞いてくる。
やっぱり・・・何か知ってるのか?
「あのバカ・・・お別れくらい言えばいいのに・・・」

お別れ・・・何のことだ?
「ま・・・分からない・・・か、鈍いよなぁ・・・そこが可愛いんだけどさ・・・」
頭の中が『?』で埋まる
「まぁ・・・おいおい話してやるよ・・・今は・・・花火・・・見ようぜ」
全くワケが分からない。
何だ?今、話してくれ!
・・・と言おうとして、トシの顔を見た時
俺は何も言えなくなった。

トシが・・・涙を流していたから。

結局、花火の間
俺たちは何も話さなかった。
チビチビとビールを飲んで
花火をひたすら眺めていた・・・

最後の連発花火の最中
「そろそろ帰るか・・・」
トシの一言で家路につく。

「もし・・・本人に会えたら・・・教えてくれ」
別れ際にトシの言った言葉・・・
本人とは・・・瞳のことだろう・・・

どうした?なんで出てこないんだ?
トシの言葉・・・お別れってどういうことだ?
何度呼びかけても・・・結果は同じ、瞳は出てこなかった。

家に帰り、ベッドで瞳のことを考えていると
玄関から姉ちゃんの呼ぶ声がした
顔を見せた瞬間・・・俺は卍固めの体勢になっていた・・・
「仁?今日手をつないでいたのは・・・誰なのかしら?
お姉さまに白状なさい!さあ!吐け!吐くんだ!!!!!」

殴られるわ、卍かけられるわ、瞳はどこかに消えてるわ・・・
今日ほど理不尽って言葉の意味を思い知らされた日は・・・無い

[ 2007/01/12 19:21 ] 第七章~認識~ | トラックバック(-) | コメント(-)

最後の・・・ 

ベッドに寝転んでいると・・・いつの間にか眠ってたのか・・・?

少し見慣れない風景・・・夢か・・・?
薄いピンク色の壁・・・窓は無いな・・・隅にベッドが一つ・・・
「ヤッホー!仁、やっと会えたね♪」
そこには・・・瞳がいた。
「これが本当の私だよ☆美少女でしょ?驚いた?」
ここで見る瞳は・・・俺の女装とは・・・何か違って
「お姉さんに似てるでしょ?」
確かに似てる・・・けど
「美人系よりは可愛い系なんだけどね、って自分で言うなよ★」
そうだな・・・聞きたいことが・・・あったんだ。
「うん・・・私も・・・仁に言いたいことが・・・あるんだ」

どうして・・・いきなり・・・消えるんだ?
「ゴメンね、仁のこと・・・好きだから」
答えになってないよ!俺も・・・瞳が・・・好きだ
「アハハ・・・ありがと☆でも、仁はもう女の子にならなくて・・・いいでしょ?」
それは・・・俺の中の願望じゃないんだ・・・確かに
「だからね、私は自分で出ないように・・・するんだ」
でも!瞳が表に出るためだったら・・・女の格好しても・・・いいのに
「それじゃダメだよ、仁」
俺は・・・俺は・・・俺は・・・狂って・・・
「狂ってなんかないよ♪」

瞳が諭すように言う

「狂ってるのは・・・きっと・・・私。だから・・・お別れ・・・言わせて?」
お前・・・俺のために・・・消えるのが怖くないのか?
「仁のためだもん♪」
俺は・・・
「それで・・・最後のお願い・・・良いかな?」

[ 2007/01/12 19:19 ] 第七章~認識~ | TB(0) | CM(0)

ひとつ 

最後の・・・お願い?
「うん・・・私の処女・・・もらってくれる?」
え?と思うと同時に
瞳は一糸まとわぬ姿になっていた・・・
「一番好きな人に・・・もらって欲しいんだ・・・」
一番・・・好きな・・・人・・・

俺に言えるのは一つだけ・・・

最後なんて・・・言わないでくれ・・・

気が付くと・・・俺も裸になっていた。
部屋の隅にあったベッドに瞳が横たわる。
一糸纏わぬ姿のままで
腕で胸を隠している。
「恥ずかしいな・・・仁のお姉さんみたいに・・・大きかったら良かったんだけど」
俺の頭の中の住人なんだからその辺りは大きくすれば良かったのに
そう思いながらも自分の考えに違和感を持つ。

いや・・・今は何も考えないでおこう。
ただ・・・瞳と・・・自分の思いを叶えよう・・・

「バカ・・・大きさなんて・・・関係ないさ」
そう言いながら瞳にキスをして
腕を除ける・・・瞳の胸が露わになった。
まだ発達途中といった感じの小さなふくらみ。
先端に薄いピンクの乳首・・・ここにいる瞳はれっきとした女の子だった。

夢の中の出来事のはずだが・・・何もかもがリアルに感じる
白い肌・・・その肌に触れると
しっとり汗ばんでいるのが判る。
熱くなっている瞳の体・・・
触れている部分から体温が伝わってくる。

俺が瞳の触れる度・・・瞳の口から声が漏れる・・・

「アッ・・・ん・・・仁・・・来て・・・」

手を触れると・・・そこはしっかり濡れている・・・
いよいよ・・・俺と瞳は一つになる・・・

[ 2007/01/12 19:17 ] 第七章~認識~ | トラックバック(-) | コメント(-)

感涙 

瞳の濡れた部分に・・・自分の物をあてがう・・・一気に入れる
ヌルッとした感触があって、俺のモノは抵抗無く瞳の中に入る・・・

「あんっ♪・・・やっと一つになれたね」
瞳の顔を見る・・・頬に一筋の涙がこぼれていた・・・
「いつからだったのかな・・・?・・・私の夢・・・叶ったよ☆」
瞳が微笑む・・・嬉しいような、悲しいような・・・そんな、泣き笑いの顔
「痛く・・・ないか?」
夢の中・・・頭では分かっているが、つい聞いてしまう
「ううん、大丈夫♪・・・夢の中だと、こういう時は得だね」
あはは、同じ事を考えていたようだ・・・
「動かすよ・・・?」
瞳がコクンと頷く・・・
少し締め付けるような肉の感触・・・
そんな感触の中・・・俺はゆっくり腰を動かす

瞳の感触を一つ一つ・・・じっくりと確かめるように

[ 2007/01/12 19:15 ] 第七章~認識~ | TB(0) | CM(0)

別れ 

時間の感覚さえも狂った夢の中
俺と瞳は何度もお互いを求め合った・・・
お互いの「もう一人の自分」
足りない「何か」・・・
それを埋めようとするように・・・

いずれ・・・本当に一つになれることを・・・互いに信じて・・・

窓の無い部屋での交わり・・・

このまま・・・瞳と一緒に居れるのなら・・・俺は・・・狂っていてもいい

永遠に続いて欲しい時間・・・
それでも終わりはやってくる・・・

「そろそろ・・・行くね」
俯き気味に・・・瞳がポツリと呟く
「行くな・・・よ」
俺は声を振り絞るように・・・答える
そんな俺の答えに瞳はプルプルと首を横に振る

「・・・ダメだよ・・・仁・・・おかしくなっちゃう・・・もん」
瞳の言葉の最後は声が震えていた・・・
泣いている・・・
でも、その泣いている瞳を・・・抱きしめられない

俺の体が・・・動けないでいた・・・

「じゃあ・・・ね」
泣きながら笑顔を作る瞳
「ダメ・・・だ」
声を振り絞る・・・もう・・・声を出すのが精一杯になっている
「元気で・・・いてね・・・?」
別れの言葉を続ける・・・
「彼女も・・・ちゃんと見つけてね?私のこと・・・気にしちゃダメだよ?」
・・・もう・・・声も出ない・・・俺の顔を涙が伝っているのが分かる・・・
「いつでも・・・一緒にいるから・・・」
瞳の顔にも涙が溢れている・・・せめて・・・抱きしめたい・・・
「それと・・・」
瞳が俺の胸に顔を埋める・・・
「私のことを・・・ちゃんと忘れるんだよ・・・」
そう言いながらそっと・・・キスをする
キスされた瞬間・・・俺の体が動いた
瞳を離すまいと抱きしめようとした瞬間・・・

目の前から・・・すでに瞳が消えていた・・・

[ 2007/01/12 19:13 ] 第七章~認識~ | トラックバック(-) | コメント(-)

終章 

目が覚めると・・・俺は泣いていた。
窓の外は・・・もう朝だった。
机の上に置いてある鏡を見る
「うわ・・・ひでえ顔・・・」
思わず呟くほど・・・目は真っ赤だ・・・
今日は・・・外に出れないな
そんな事を考える。
何か・・・すごく・・・悲しい事があったような気がする。
ハッキリと分からないけど・・・胸に大きな穴が開いたような・・・
でも、忘れてあげないといけない・・・大事な何か
でも・・・でも・・・でも・・・俺は

「忘れるわけないだろ・・・」
何かに向かって・・・俺は呟く・・・

俺は・・・まだ・・・狂っていたかった・・・

トシには電話をした。
一応・・・約束だからな。
「そうか・・・」
そうつぶやいて、しばらくトシは黙った。
「その気持ちを・・・大事にしてやれよ」
「うん・・・」
瞳が残していった約束・・・それを守ることが何より大事な気がした。
忘れることは・・・きっとできないよ。

いつか・・・また会える日を・・・信じて・・・

感傷に浸っていたら・・・トシが話しかけてくる

「で・・・だ、仁?」
「ん?」
「お前・・・最近掃除のバイトサボってね?」
・・・・・・・え?まだ続いてたの?
「てめぇ・・・伊藤さんにバラすぞ?」
「それって・・・トシが寂しいから掃除って言ってない?」
「・・・・・う!」
「図星かよ・・・」
「う・・・うるせえ!バイト代減らすぞ!」
「前から思ってたんだけど・・・あの額じゃエンコーみたいだよ?」
「う・・・!とりあえず!週3回は来いよ!寂しいんだから!」

俺の狂った日常は・・・まだ続きそうだ。

[ 2007/01/12 19:11 ] 第七章~認識~ | トラックバック(-) | コメント(-)
プロフィール

黒矢 一実

Author:黒矢 一実
主に短編小説を書いています。
現在のところ更新は不定期です。
コメントを頂けると非常に嬉しいです。
リンクはフリーです。
リンクされる際にメッセージを一言いただければ嬉しいです。
相互リンクも募集してます。

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