僕は狂っていく~ぼくるい~

創作小説「僕は狂っていく」まとめブログです。 ジャンルは現代モノです。 基本的に「奇妙な話」です。

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序章 

時が経つのは早いもので
人は色んなことを忘れるようにできているらしい。
俺の生活も以前と変わらない平凡な日常の中に埋もれていった

まあ、高額掃除夫のバイトはまだ続いているから
その辺りは普通の高校生とは言い難い。

とにもかくにも、俺は普通に高校生活を満喫している。
恋愛面を除いて……ではあるが
「何か」を思い出すと……まだ胸がチクリと痛いけど。

大事な「何か」を失った夏から……もう2年が過ぎようとしている……

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[ 2007/01/11 23:59 ] 第七章~二人~ | トラックバック(-) | コメント(-)

変わるもの、変わらないもの 

高校3年になって変わったこと
それはやはり受験生になってしまったことだろう。
1年の夏の騒動で落ちた成績は
秋には一気に回復していた。

理由は……トシだ。

ああ見えてトシはかなり頭が良い。
地元では有名な国立大学……恐らく日本でも有数な名門の大学卒業。
しかも、教え方がやたらと上手い。
夏休みの間に教えてもらったことで成績は上位まで回復し

掃除のバイトの後に教えてもらう勉強のおかげか
2年の最初には俺の成績は校内でも3本の指に入ってしまっていた。

教え方は上手いんだが
しかし、トシの教え方は上手いのだが難点がある

例えば……数学の公式を習う時なんだが
「な?な?分かるだろ?じゃあこの問題が解けたらチューな?な?」
もちろんわざと間違えてキスは阻止するんだが
本気で教え方の上手さがハンパじゃない。

この2年間で勉強に苦労した覚えが全く無いくらいだ。

もうひとつのトシの問題は……バイト代だ。
確かにトシの部屋を掃除しに行っている。
その対価としてバイト代を頂くのは良いと思う
しかし……その額が問題だと思うのだ。
相変わらず1回の掃除で……2万は入っている。
トシに苦情を言っても、この額は変わらなかった

もしもの時のために机の引き出しに貯金しているが
さすがに……金銭感覚が狂いそうだ。

[ 2007/01/11 23:58 ] 第七章~二人~ | トラックバック(-) | コメント(-)

失恋と変化 

もう一つ変わったこともある。
姉ちゃんが東京の大学に進学し家を出た。
大学に行けたこと自体が驚きだったのだが
もっと驚いたのが……東京での同居人が伊藤さんだったことだ。

こんなに身近に接点があったのを全く知らず
2人の友達関係は中学の時から6年に渡っていたとは……
正直このことを知った時には
「何か」を失ったときと同等のショックを受けた。

姉という強力な接点があったのにも関わらず……何やってたんだ、俺……orz

ともあれ、知った時点で伊藤さんも東京に行くことを同時に知ったわけで
……強烈な失恋だった。

ショックはそれだけじゃ無かった。
トシの部屋でマコトさんと会話してた時のことだ。
「ウチの妹、東京の大学に行くのよ~」
へえ……似たような話もあるもんだな……と思った矢先
「ほう、彩香ちゃんドコの大学に受かったんだ?」
トシが聞いた。
……へ?……彩香ちゃん……?
「話の腰を折って悪いんだけど……マコトさんの名字って……?」
マコトさんが答える。
「へ?教えてなかった?伊藤 よ」
!!!!!!!!!!!!!
……ま、まさか……そんな……
「マコトさんの妹って……!?」
「あれ?トシ、まだ教えてなかったの?」

仏滅と天中殺が同時に来たようなショックを受けた

そんな感じで2年の月日は流れ
トシやマコトさんとの関係は変わらない。

そういえば、チカさんが女装を止めたとマコトさんから教えられた。
理由は……「王子様が現れたのよぉ♪」と語っていたらしい。
王子様が現れたんだったら……女装が続いてしまうのでは?
と思ったが深く追求はしないでおいた。
チカさんにも幸せになってもらいたいもんだ。

俺はと言えば……強烈すぎる失恋を2回経験した後は
大して浮いた話も無く、俺が恋愛を避けていたこともあるが
トシの攻撃をかわす毎日が続いている以外は特に何も無い日々だ。

あ……たまにマコトさんに相手をしてもらってる
口だけなんだけどね。
これ以上は大切な人としなさいね♪って
まぁ……マコトさんは初体験の相手ってことで……
俺も性欲はある健康な男子ってことで……
マコトさんが伊藤さんのお姉さんって知った後は
もう……口で表せない程の興奮を憶えたものだ

何だか……俺も大人になったもんだよなぁ

[ 2007/01/11 23:57 ] 第七章~二人~ | トラックバック(-) | コメント(-)

美容院 

駅前の美容室へ行った時のことだ。
まあ鬱陶しくない程度に切るか……
隣の席の会話が聞こえる。
「え?こんなに切っていいんですか……?」
隣の席を見ると少し大人しそうな女の子
背中くらいまであるロングヘアー、似合ってるのに
ショートヘアーにでもするのかな?
まぁ、それでも似合いそうだけど……と思っていたら
それどころじゃないよ、あれじゃほぼスポーツ刈だ!

髪を切りに来ると毎回この事を思い出す
それだけ強烈な印象に残る出来事だった。

受験生でも髪は伸びる。
最低限の身だしなみとして
小奇麗な格好はしておきたい
というか、ヘタにロングにしたら
トシの劣化版みたいになりそうなのでマメに髪を切っている。

[ 2007/01/11 23:56 ] 第七章~二人~ | トラックバック(-) | コメント(-)

再開~はじめまして~ 

月、日曜なのに模試だ。
しかも……昨日の晩トシに付き合わされて
夜中の3時まで宇宙について語られた
おかげで……現在強烈に遅刻間際だよ!
帰りにマンションに寄って絶対にぶん殴ってやる!

模試の会場はウチの高校
とにかくダッシュ!ダッシュ!ダッシュ!
猛烈な勢いで走る!
走る!走る!はし~るっ!!!
ドンッ!!!

しまった……誰かにぶつかった……

視線の先に女の子が倒れてる……見覚え……あるような?

慌てすぎた……でも慌てないと間に合わなかったんだよ!
ぶつかった女の子……地面に尻餅をついている
大人しそうな顔つきで……なかなか可愛い
Tシャツの上に薄いパーカーを羽織って、細いGパン、スニーカー
……髪の毛がセミロングで無かったら男と間違いそうな格好だ……

ん?……髪の毛……あー!思い出した!
美容院で見たあの子だ!
おおーまた髪の毛伸びてきたんだねぇ
やっぱり女の子っぽい髪型のほうが似合ってるよ、うん!

……ってそんな事考えてる場合じゃなくて!
女の子の鞄の中身散乱させてしまってるよ!

[ 2007/01/11 23:55 ] 第七章~二人~ | トラックバック(-) | コメント(-)

ぶっきらぼう 

「ご、ゴメン!大丈夫?」
慌てて道に散乱した物を拾う。
「どっか打った?」
女の子は無言だ……
「……あの、大丈夫?」
もう一回聞いてみる
「足……ひねった」
あう……ぶっきらぼうな答え方、怒ってるかな?

「ああ……ごめんね、歩けるかな?手を貸そうか?」
俺がうろたえながら聞くと
足をさすりながら女の子が答える
「いや……大丈夫だ。君、急いでるんじゃないのか?」
ああー!そうだった!!模試が!

でも怪我をしたっぽい女の子を放っておけないし……どうする?俺!?

「どうした?行かないのか?」
女の子が聞いてくる。

でもなぁ~……
「怪我してるんじゃ……ない?」
怪我させてたらこのまま行けるわけないんだよ~。

「なんだ、そんなことか」
再びぶっきらぼうな答え方。
怒ってるんじゃなくて、元々こんな喋り方っぽいな……
「これ、私の携帯番号だ」
道に落ちてる携帯を拾って俺に携帯を見せてくる
ディスプレイには携帯の番号が表示されている。
「何かあったらかけてきてくれ、今は急いでるんだろ?」
促されるままに自分の携帯に女の子の番号を登録する

「いや……本当にゴメン!」
もう謝る言葉しか思いつかない……
「謝ってばっかりだね、君。それより本当に時間……大丈夫なのか?」
時計を見る……やっばーーーーーーーーーい!!!!! 完全に遅刻だ。
「僕はいいから、早く行けよ」
そういう女の子にもう一回謝る
「ゴメン!後で電話させてもらうから!」
そう言う俺に片手でヒラヒラと手を振る女の子……早く行きなよ、そんな感じに

とりあえず……模試会場に向かってダッシュを再開した。

[ 2007/01/11 23:54 ] 第七章~二人~ | トラックバック(-) | コメント(-)

忘れてた 

模試には15分遅れで到着……何とか試験会場に入れてもらえた。
席に着いて1時間目の国語のテストに取り掛かる

……コンディションは最悪だな。
苦労しながらも何とか解答欄を埋めていく。

全て解答を終えたのは終了3分前。
見直しをする時間すら無かった。

……そういや、あの女の子……怪我大丈夫だったのかな?
一瞬ぼんやり考えた時
終了のチャイムが鳴り響く。
女の子のことを考えていたのも一瞬で消えてしまった。

2時間目、3時間目のテストは何とか落ち着きを取り戻し
順調に午前の科目を終了した。

昼ご飯を食べに食堂へ。
日曜でも今日は模試があるということで解放されている。
……とここで重要なことに気が付いた。

……財布が……無い。
落としたかな?どこで?……朝に女の子とぶつかった時か!
え……?女の子……?
あーーー!女の子!!電話するの忘れてたーーーーー!!!

[ 2007/01/11 23:53 ] 第七章~二人~ | トラックバック(-) | コメント(-)

電話 

慌てて携帯を取り出す。
電話帳に登録されている名前の無い番号
(あ……そういや名前も聞いてなかったな)
思いながら『発信』ボタンを押す

発信音が鳴る……なんか、緊張するな……

コールが5回目で女の子は電話に出た。
「もしもし?」
うーん、声は女の子だけどやっぱりぶっきらぼうだ
「あ……朝の者ですけど……」
ああ、君か。どうしたんだ?」

「あの……怪我、大丈夫でした?」
「ん?ああ、そんなことか。かすり傷くらいなもんだね」
少しホッとする。
「そうですか……良かった」
「ああ、そうだ」
「はい??やっぱり何かありました?」
なんか俺……挙動不審な人みたいだ……

「君さ、財布落とさなかったか?」
やっぱりー!落としてたんだ!
「は、ハイ!落としました!」
「そうか、やっぱり君の財布か……落として困ってるんじゃないか?」
ハイ……すっごく困ってます
「はい、出来たら受け取りに行きたいんですけど……」
「うん、そうしてもらえると助かる」

こうして俺と女の子は
模試が終わったら駅前のハンバーガー屋で待ち合わせすることになった。

……あ!また名前聞くの忘れてた!……しかも財布が無いから昼飯抜きだ……

[ 2007/01/11 23:52 ] 第七章~二人~ | トラックバック(-) | コメント(-)

おっちょこちょい 

空腹に絶えてなんとか模試は終了
お腹が鳴る度にこちらを見る隣の人の視線がつらかった……

とりあえず、財布を返してもらうために駅前へ。
お礼とお詫びがてらにご馳走しますので……すまん、女の子
約束の時間の10分前には駅前に到着
金も無いのでハンバーガーショップの前で待とう……と思ってたら
すでに店の前に女の子がいました。
あぁ……女神様に見える

「あの……すいません」
女の子に声をかける
「ああ、君か。早かったんだな」
「あの……待ちました?」
「いや、別に。じゃあこれ、財布。もう落とすなよ」
俺に財布を渡すと足早に立ち去ろうとする女の子

「え?あ……ちょっと待って!

思わず叫んでしまった……振り返る女の子……と周囲の人たち
「ん?何か用かな?」
怪訝な表情で女の子が聞いてくる……
「あの……お礼させて……くれません?」
ああ……周囲の人の視線が痛い……

このおっちょこちょいぶり……我が姉を想像する
きっと遠い東京の空の下で今頃くしゃみをしてるのでしょう……

[ 2007/01/11 23:51 ] 第七章~二人~ | トラックバック(-) | コメント(-)

緊張 

「別にかまわないよ」
そう言う女の子をなんとか無理矢理に説得し店内へ

……俺、必死でナンパしてるみたいだな……

女の子に欲しい物を聞く
「あ、コーヒーだけでいいよ」
は~い、コーヒーですねぇ♪
せめて……俺だけでもテンションを上げないと……正直ツライぞ
コーヒーと自分のテリヤキバーガーセットを注文し
席に戻る。
ここは出来たてを持ってきてくれるのが良い。

席の向かいには……無表情で座ってる女の子
ここから……品物が来るまで……会話をするのが大変そうだな
自分から誘っておいて……そんな事を考えてしまう

[ 2007/01/11 23:50 ] 第七章~二人~ | トラックバック(-) | コメント(-)

自己紹介 

「あの……」
「ん?」
表情が無い顔でこちらを見る女の子……なんか威圧感がある
「財布……ありがとうございました」
「ああ、ぶつかった時に落ちたんだろう。拾っておいて良かったよ」
うう……そっけない、ってか会話が続かない!
ハイテンションの神様ことトシ!
今だけ俺の中に降臨してくれ!
他に話題は……そうだ!名前!名前を聞こう!

「あの……今さらなんだけど、名前……なんていうのかな?」
うーん、我ながら脈絡の無いタイミングで聞いてしまった。
ほら……無表情の中にも「?」って雰囲気……
「名前?僕の?」
「うん……聞いて無かったなぁと思ってさ……」
加賀美
「カガミさんね、名字は?」
加賀美 瞳

うわ……俺めっちゃ失礼な奴だ……
普通無いだろ……カガミって名前、どんだけテンパってんだよ

「君の名前は?」
ちょっと慌てた……この子……加賀美さん
他人に興味を抱かないタイプに見えたので
自分の名前を聞かれるとは思って無かった

「あ、岩瀬……岩瀬 仁です」
「ふーん、岩瀬くん……ね」

その時、頼んでいた商品がテーブルに来た。
……あまりの緊張に空腹を忘れてたぞ。
とりあえずテリヤキバーガーにかぶりつく

……緊張のあまりに味がしない

[ 2007/01/11 23:49 ] 第七章~二人~ | トラックバック(-) | コメント(-)

打ち解け 

とりあえず一気にテリヤキを食った俺
一緒に頼んだホットウーロン茶をすすりながら
加賀美さんを見る。
無表情ではあるが……なかなか可愛い
好みの厳しい俺が言うんだから間違いない。

絶対にこの無愛想さで損をしてるタイプだよな……

加賀美さんが俺の視線に気が付いてコーヒーをテーブルに置いた
「ん?顔に何かついてるか?」
しまった……マジマジ見すぎた
「あ……いや」
「すまんね……身だしなみは……苦手なんだよ」
フッと表情が陰る
「いや!そうじゃないよ!
その……なんていうか……見とれてたって言うか……あー!俺、何言ってるんだろう」
思わず頭を抱えてしまう、すると……

「ふっ……ははははは」
加賀美さんが笑い出した……少し男っぽい笑い方だけど……笑うとさらに可愛いく見える

「え?……いや、どうしたの?」
いきなりの笑いに戸惑う俺
「はは……すまない。君の表情があまりに変わるから、ついおかしくなってね」

……少し打ち解けた……かな?

[ 2007/01/11 23:48 ] 第七章~二人~ | トラックバック(-) | コメント(-)

精一杯 

俺がウーロン茶を飲み終わると

「そろそろ出ようか」

加賀美さんがそう言う。
確かに……これ以上引き止める理由が無いな……
もう少し……話してみたいような気がするけど
そんな事を思っていた時だった

「君は……本当に表情が良く変わるな
加賀美さんが俺の顔を見ながら言う
「一度……ゆっくり話してみたいな」
少し……微笑んだような気がする

「あの……!」
緊張しっぱなしの中、俺は勇気を振り絞る
「また……電話しても……いいかな?」
加賀美さんは「へ?」と言う表情になる
やっぱり……ダメか……思ったとき

「好きに……すればいいさ」
まるで……仕方ない奴だ……そんな表情だったけど

俺にはそれが加賀美さんの精一杯の好意に感じた。

[ 2007/01/11 23:47 ] 第七章~二人~ | トラックバック(-) | コメント(-)

名前 

「なんでだろう?君とはもっと……話してみたい気がする。初めてかもな
別れ際に、加賀美さんがそう言った。
俺も……同じことを思った。
可愛いからという理由じゃない
そんな……単純な理由じゃない……
何か……おかしな言い方かも知れないけど……似た匂いを感じた

「いつでもかけてくればいい、今は暇してるからな」
そう言いながら加賀美さんは帰っていった。
加賀美さんが立ち去った後……俺はその場で携帯に加賀美さんの名前を入力する。

加賀美……

その名前に胸がまたチクっと痛む……2年
まだ……忘れていない

[ 2007/01/11 23:46 ] 第七章~二人~ | トラックバック(-) | コメント(-)

対話と緊張 

加賀美さんに電話したのはあれから4日後。
トシの家に勉強を教えてもらいに行く日ではなかったので時間をもてあました。
勉強をする気分でも無い。
それならば……と電話をかけてみる。

だけど、一番正直なところ……また会話が続かないのではと言う不安で
電話をかけようとするがかけれない、そんな日が4日ほど続いていた。

コールが3回……加賀美さんが電話に出た。
「もしもし、何だい?岩瀬くん」
いきなりの言葉がこれだった。
名乗る前から分かってたのか?
「もしもし?岩瀬くんじゃないのか?」
あ、そうか、番号の表示で分かったんだな。かなりあせってるな、俺。
しまった!つい話すのを忘れてしまっていた。
「ああああ。ごめん!岩瀬です。夜にごめんね」
「ああ、かまわない。前にも言ったが、たいていは暇にしてる」
相変わらずのそっけない口調だが、ここでひるんでは会話が続かない
「その……話がしたくてさ」
……我ながら気の利かない言葉だ、どうも加賀美さん相手だと緊張してしまう。
「そうか、僕も待ってたんだ」
え?待ってたって……俺の電話を?
「もしもし?岩瀬くん?」
しまった、また言葉を失ってしまっていた。
「あ、ごめん。待ってたって言うからさ」
「迷惑……だったか?」
少し不安気な声のように聞こえた……まさかね?
「いや!嬉しいけど……正直とまどった」

電話の加賀美さんは少し話しやすいような……気がする

[ 2007/01/11 23:45 ] 第七章~二人~ | トラックバック(-) | コメント(-)

加賀美さん 

話した……といっても15分くらいなものだが
加賀美さんと話すと緊張してしまって
15分が1,2時間くらいに感じてしまう
決してつまらない訳じゃないんだが……

電話の内容は自己紹介みたいなものだった。
思えばお互い何も知らない同士だったわけで。

加賀美さんは同じ市内に住んでる19歳
年上だったんだな。落ち着いてる理由が少し分かった。
ウチの19歳と同じ年とは思えない落ち着きだ

1年ほどちょっとした事情があり
学校にも行かず、働いてもいないそうだ。
「まあ、リハビリみたいなものだよ
加賀美さんは理由を聞いた俺にそう答えた。

病気か……怪我でもしてたのかな?
深くは追求できずにその話題は終わった。

[ 2007/01/11 23:44 ] 第七章~二人~ | トラックバック(-) | コメント(-)

理由 

明日、加賀美さんが電話してもいいかな?と聞いてきた。
つい即答で
「もちろん!」
と答えてしまった

電話の向こうで加賀美さんが
「あはは。君は本当に色々と表情が変わるね
と笑っていた。
うん……たぶん赤面してたと思う。

俺はなぜか加賀美さんに惹かれている……
以前感じた「同じ匂い」それがひっかかっている。
加賀美さんが俺と喋ってみたい理由は……一体何だろう?

[ 2007/01/11 23:43 ] 第七章~二人~ | トラックバック(-) | コメント(-)

鋭い 

「じゃあ明日8時にかけさせてもらうよ」
その言葉通り、8時ジャストに電話がかかってきた
本当に時間に正確だな、正座して待ってた俺も良い勝負だと思うが。

今日トシの部屋に行った時に
「今日は用事があるから勉強はパスするね」
と言ったら
「女だな?」
と即答された……鋭い。

トシ曰く、昔はそうでも無かったが
最近の俺は表情が良くでているらしい。
自分では変わって無いと思うんだが。
そう言えば加賀美さんも
「君は表情が色々変わるな」
と、言っていた。

とりあえず掃除を手早く終わらして
実際に膝にすがりついたトシを蹴飛ばし
8時には全ての雑事を片付けるように準備して待っていた。

[ 2007/01/11 23:42 ] 第七章~二人~ | トラックバック(-) | コメント(-)

饒舌 

コール1回目で出てしまった。
「も……もしもし!」
「ああ、岩瀬くん。早いね
あ……やっぱり勘付かれたか
「い……いや……待ってました」
つい正直に白状してしまう。
「あはは、楽しい奴だな。君は」
今日の加賀美さんは心なしか朗らかな気がする。

その予感は正しかった……気がする

今日の加賀美さんは昨日以上に饒舌だった。
好きな本、音楽、食べ物
他の人といつも話すように会話ができた。

その気軽さがさせたのだろうか……気になる質問をした
「加賀美さんは……どうして俺と話してみたいと思ったのかな?」

「うーん……」
いつも物事をハッキリ言う加賀美さんが言葉に詰まった。
「……僕は、実は他人が苦手でね」
なんか……分かるような気がする。
「とりわけ男性が苦手で喋ることすらままならない」

[ 2007/01/11 23:41 ] 第七章~二人~ | トラックバック(-) | コメント(-)

心の中の異性 

「でも、俺も一応は男だよ……?」

本当に我ながら気の利かない言葉しか浮かばない
「うん、そこなんだ」
加賀美さんが続ける。
「君に……悪いんだが……女性を感じてね
何か胸を穿たれたような気分になった……俺の中の……女性……
この人に……全てを見透かされたような……
「ああ……気を悪くしたかい?すまない」
「あ……イヤ、そうじゃないんだよ」
とりあえず否定するのが精一杯だった。

1分ほどの沈黙が流れた後、加賀美さんが切り出す
「いけないな、もうこんな時間だ。長電話させてしまってすまない
時計を見ると時刻は10時を回っていた。
「あ!ゴメン!加賀美さんからかけてきてくれたのに長電話して!」
本当に鈍感なのかも知れない……orz

「いや、気にしないでくれ。そうは聞こえないかもしれないが、僕は楽しいんだから」
また、予期せぬ言葉に頭が真っ白になりそうになる。
「それじゃあ、切るよ。」
加賀美さんが電話を切ろうとする、俺は慌てて
「加賀美さん!明日は俺からかけるよ!」 思わず引き止めてしまった。
「わかった、おやすみ」
加賀美さんはそれだけ言うと電話を切った。

……俺の中の女性……大切な「何か」……

[ 2007/01/11 23:40 ] 第七章~二人~ | トラックバック(-) | コメント(-)

仕返し 

翌日も電話したのは8時ちょうど
今日は加賀美さんもワンコールで電話に出た。
「あ、岩瀬です」
なんだか他人行儀かな?と思いつつも電話に出た加賀美さんに話しかける
「やあ、昨日の岩瀬くんを真似してみたよ」
……加賀美さんはいつも俺の予想の斜め上を行くような気がする。

「ん?どうかしたかい?」
……不覚にも萌えてしまって声が出ませんでした
最初に無愛想だったのは……人見知りだったのか?

「いや……加賀美さんがそういう事言うのは……意外だったんで」
またも正直に言ってしまう……加賀美さん相手だと調子が狂うな
何か隠し事をしてはいけない……そんな気分になる。
気分と言うより、隠し事をしても見透かされてしまうような
そんな雰囲気を感じるのだ。

「あははは、今日は気分が良くてね
確かに、機嫌が良さそうだ。
「あ、ひょっとして昨日の電話とか……調子悪かった?」

そうだ、1年前からリハビリのような生活と言ってたんだから
それくらいは俺の方が気を遣うべきだった

[ 2007/01/11 23:39 ] 第七章~二人~ | トラックバック(-) | コメント(-)

花畑 

しかし、今日の加賀美さんは優しかった
「いや、岩瀬くんと話してるから調子が良いと思うんだ」
あれ……?視界が……水で……

「き、今日はなんか嬉しい事を言ってくれるね……」
「おかしいかな……?僕がこんなことを言うと……」

何か……今日の加賀美さんはいつもと微妙に違う。

「いや……気を悪くしないでね」
前置きをして、つい正直な気持ちを言ってしまう。
「昨日の加賀美さんの言葉じゃないけど
……俺は加賀美さんが……その……男性のように思えたから」

[ 2007/01/11 23:38 ] 第七章~二人~ | トラックバック(-) | コメント(-)

大胆 

少しの沈黙……
「あはは、昨日の仕返しをされてしまったね」
加賀美さんの笑いが沈黙を消した。
怒っては……無いみたいだな。
でも、この後……加賀美さんは大胆な発言をする。

「岩瀬くん、その……君さえ良ければなんだが……」
加賀美さんの発言にいつもの切れが無い……

「うん、良ければ……何かな?」

つい発言を急かしてしまう俺、本当に気が利かない……でも続きが気になる
加賀美さんが、少し話しにくそうに続けた。

「その……僕とデートしてみてくれないか?」

その時、俺の頭は真っ白……ではなく蝶の舞うお花畑になっていた。

[ 2007/01/11 23:37 ] 第七章~二人~ | トラックバック(-) | コメント(-)

浮かれる気持ち 

デートは日曜に決まった。
電話も……明日も明後日も交互でかけようってことになった。
なんか……恋人同士みたいじゃない?
思った以上に浮かれている自分に驚く。

問題は……明日のトシの部屋でどう言い訳するかだな。
加賀美さんは気を遣ってくれたのか
「明日はもう少し遅い時間にかけてもいいけど?」
と聞いてくれたが
あまり遅くなっても申し訳がないので
1時間ずらして9時にしてもらうことにした。

でも……トシの部屋での勉強が終わるのが大体8時半……
急いで帰ってきて……9時になるんだよなぁ……

さあ、いかにして「コーヒー飲もうぜ!な?な?な!?」攻撃を乗り切るか?

[ 2007/01/11 23:36 ] 第七章~二人~ | トラックバック(-) | コメント(-)

相談 

午後9時、俺は無事に部屋にいた。

掃除も終わり、勉強している最中のことだ。
問題集を解いている俺にトシが言った
「仁……恋してるだろ?」
あまりにいきなりでテーブルにつんのめってしまった。
「え?え?えええええええ!?」

「やっぱり図星か……」
図星って……?どうしてそんなこと分かるんだ?
「いや、恋っていうかさ……気になるって言うか」

この気持ちを恋と呼べるのだろうか?
トシに相談してみるのも……この際いいかもしれない。

「少し……相談に乗ってくれるかな?」
俺はトシに加賀美さんのことを話した。

自分の気持ちをありのままに……今の2人の関係を
そして

彼女が俺の中に女性を見たという事
俺が彼女の中に男性を見た事……

[ 2007/01/11 23:34 ] 第七章~二人~ | トラックバック(-) | コメント(-)

社会復帰 

「ふむ、気になる年上のお姉さんね……」

トシがコーヒーをすすりながら俺の話をまとめる。
気になる年上のお姉さん……的確な表現かもしれない

「ま、お前の中の女性って表現は鋭いかもな」
そう、それを見抜かれたことは俺を一番驚かせた

「でも、その……加賀美さんだっけか?
その子の中の男性ってのは……実物を見ないと分からないよな」

……やっぱり、トシでも分からないか。

「でさ……今日、加賀美さんと電話する約束してるんだけど……」
一番重要なところだ……引き止められるか?
そう思いチラっとトシの顔を見る。

トシはニヤッとした顔をして、くっくっくっと笑った後こう言った。
「いいんじゃねえか?
仁の社会復帰のためのリハビリってことで
早く帰って、電話の準備しろよ?」

……引き止められずに済んだ
……って、あれ?社会復帰?俺って社会からハミ出してるのか?

[ 2007/01/11 23:31 ] 第七章~二人~ | トラックバック(-) | コメント(-)

豊富 

加賀美さんからの電話はいつも通り、9時ジャスト。
俺がワンコールでとってしまうのもいつも通り。
「岩瀬くん、相変わらず早いね」
開口一番の加賀美さんの言葉。
「一日で、この時間が一番待ち遠しいからね」
俺の正直な気持ちだ。加賀美さんには、ついつい素直になってしまう。
「そうか、僕もだよ」
加賀美さんは良くも悪くもストレートな人かも知れない
ここ数日の電話で、俺はそう思うようになってきた。

今日の電話の内容は日曜のデートについて。
どこに行くのか、何時に待ち合わせるのか。
本当は男の俺が決めておいた方が良いのだろうけど……
いかんせん加賀美さんの趣味とかが全然分からない。
本人と話して決めた方がお互いに楽しいデートになると……思う。

「僕の行きたい所……ね」
加賀美さんが考え込んでしまった。
優柔不断そうには思えないけど……

「いや、すまない。デートなんて初めてなものだからね
それは意外、あんなに可愛いのに
「あはは、謝らなくてもいいよ。俺もほとんど経験ないからさ」
「ほお、意外だね。岩瀬くんはきっと経験豊富と思っていたよ
俺が……経験豊富?
……ある意味では間違いじゃないんだけど……
2年前に失恋して以来……恋に臆病なんです。

「とりあえず……岩瀬くんに任せても……良いかな?」
加賀美さんに言われては断れない
「分かったよ、じゃあ明日までに考えておくね」

あまり長話もいけないと思い、今日の電話はここで終了。

……さて、情報誌でも買ってデートコースを考えなきゃなぁ

[ 2007/01/11 23:29 ] 第七章~二人~ | トラックバック(-) | コメント(-)

妄想 

今日は俺の方から電話。
加賀美さんが……電話に出ない。
いや、まだ10コールくらいなものなんだけど
……いつもすぐに出る加賀美さんにしては珍しい
1分ほど経過……まだ出ない。
仕方ない……少し間を置いてかけ直すか。

20分後、加賀美さんから折り返しの電話がかかってきた。
何か用事でもしてたのかな?
ひょっとして……お風呂?
加賀美さんの入浴シーンを想像する……
あ!そんな場合じゃなくて電話出なきゃ!

「もしもし!」
慌てていたため声が裏返ってしまった
「あはははは、さっきはすまないね。電話をくれてたみたいで」
俺の慌てた様子に笑いながら答える加賀美さん
「いや、こちらこそ……慌てちゃって」
「いや、いいんだよ。それで……明日なんだが、僕はどうすれば良い?」

俺は加賀美さんに明日の待ち合わせの場所と時間を伝える。
デートコースは内緒ということにしておいた。

「楽しみにしてるよ」
加賀美さんはそう言って電話を切った。

明日のデート……上手くいきますように

[ 2007/01/11 23:27 ] 第七章~二人~ | トラックバック(-) | コメント(-)

待ち合わせ 

待ち合わせは朝の9時、場所は駅の改札。
いつもより早く起きる。
シャワーを浴びて、髪型をセット……
念入りに歯を磨いて
ヨシ!バッチリだ!
ん?鏡の中の俺が一瞬ウィンクしたような……?
ヤバイ、緊張で幻覚が見える……

気を取り直して、いざ!出発!
駅前には15分前に着いた。
加賀美さんは……まさか……まだ、来てないよな?

…………うん、いない。

彼女の性格からして30分前にでも到着してそうだもんなぁ
でも、絶対に9時ジャストにはここにいるはず!
これは予感というより確信に近い

と、加賀美さんが来る前に切符を買っておこう……
券売機にお金を入れて……と
誰かが肩を叩いた

[ 2007/01/11 23:25 ] 第七章~二人~ | トラックバック(-) | コメント(-)

衝撃 

「岩瀬くん、早いじゃないか」
加賀美さんの声
まだ……15分前なのに……やっぱり時間を正確に守るなぁ
そう思いながら、俺はそっと振り返る。

そこにはちゃんとした『女の子』の格好をした加賀美さんが立っていた。

うわあああああああああああああああああああああ!!!!!!
俺の心の中の叫びです。
一部は声に出てしまったかも……
そこに立っていたのはいつもと全然違う加賀美さん。

いつもなら無造作な髪は
両サイドで三つ編みにされ後ろに束ねられている。
顔も……化粧してる。
軽くファンデーションを塗って
頬には薄いピンクのチーク、唇も薄いピンクのリップにグロス
……本人の顔を生かした良いメイクだ。
マコトさんにメイクを習った俺が言うんだから間違いない。

服装も淡い水色のワンピース、その上に薄手の白いカーディガンを羽織っている。
こないだのTシャツ、Gパンも似合っていたが……
こっちの方が断然可愛い

そんな加賀美さんを見て思わず固まってしまう俺
かなり良い意味でショックを受けた……

「どうした?岩瀬くん。僕の格好……やっぱりおかしいかい?」
加賀美さんの顔が少し不安気になった
ブンブンブンブン!!!慌てて顔を横に振る俺

……神様……俺、今から本当にこんな可愛い子とデートしてもいいんですか?

[ 2007/01/11 23:21 ] 第七章~二人~ | トラックバック(-) | コメント(-)
プロフィール

黒矢 一実

Author:黒矢 一実
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