僕は狂っていく~ぼくるい~

創作小説「僕は狂っていく」まとめブログです。 ジャンルは現代モノです。 基本的に「奇妙な話」です。

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前日 

12月23日、プレゼントを買いに街へ。

何が良いか、非常に悩んだ末に選んだ商品は『指輪』
少し意味深になるかも……でもいいか。
少し奮発して、純金のピカピカの指輪

顔が映り込むくらいピカピカだ

瞳さん……喜んでくれるといいな

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[ 2007/01/11 22:15 ] 第七章~回帰編~ | トラックバック(-) | コメント(-)

イブ 

24日、クリスマスイブ

夕方、待ち合わせ場所は駅前。
人で溢れている。

そう言えば、お泊りはしないとハッキリ否定された。
今日も、明日もデートするって意味だったようだ。
それでも嬉しいんだが
舞い上がった自分がスゴク恥ずかしい……

現在待ち合わせ時間の15分まえ……そろそろ……
「待たせたかな?」
時計の文字盤に目を移した俺に話かけてくる声

「ううん、今きたとこだよ」
視線を前に移し、そう答える。
目の前には……笑顔の瞳さん

俺たちは、新しく思い出を作っていく……一つずつ……丁寧に

待ち合わせ後
そのままファミレスへ。
どこかのレストランを予約しようと思ったんだけど
「高校生なんだから、贅沢はダメだぞ」
先に瞳さんに釘を刺されてしまった。

俺たちは普段からお金のかからないデートをすることが多い
お金なら俺が出すから大丈夫と言っても
瞳さんは絶対に引かない。

ファミレスといってもやはりイブだ。
店内はそれなりに混雑していた。
30分ほど待たされた後
ウェイターに案内された禁煙席。
コートを脱ぎ席に着く。

注文を一通り終えたところで
プレゼントの交換になった。

[ 2007/01/11 22:12 ] 第七章~回帰編~ | トラックバック(-) | コメント(-)

手作り 

瞳さんが紙袋を俺に渡す
茶色の包装も無い紙袋
この素気なさが瞳さんらしくて思わず微笑んでしまう。

俺も瞳さんに
昨日買った指輪を渡す
箱に入れられ、ピンクの水玉模様の包装紙でラッピングされたもの。

「なんか、仁が用意したものの方が……僕より女の子っぽいな
瞳さんが眉間にシワを寄せる
その仕草がなんとも可愛い。

「開けていいかな?」
瞳さんに聞く
「あ、開けていいけど……笑うなよ……?」

紙袋を開ける
中には……マフラーが入っていた
所々……毛糸が飛び出た
すこし……作りが荒い……?
これってひょっとして……

「は、母に習って作ったんだが……すまない、不器用で……」

瞳さん、耳まで真っ赤になってる。
やっぱり手編み!

この世で一番嬉しいプレゼントは
好きな人の手作りのものだと思う。
作った人の心がこもっていればいるほど

「ありがとう、大事にするよ」
瞳さんにお礼を言う。
「う、うん……使ってもらえると……嬉しい」
瞳さんは俯いて真っ赤なままだ。

「俺のも……開けてみてくれるかな?」
瞳さんが包装紙に手をかける

……喜んでくれるといいな

[ 2007/01/11 22:09 ] 第七章~回帰編~ | トラックバック(-) | コメント(-)

異変 

瞳さんが包みを開ける
中には指輪用の化粧箱……
箱を開ける……
「わあ……」
少し小さい感歎の声……
「いいのか……?高いんじゃないのか?」
予想通りの質問
「いいんだよ……瞳さんに……貰ってほしい、付けてくれるかな?」

こくりと頷いて……細い指に指輪をはめる
「嬉しいよ……」
食い入るように指輪を見つめる瞳さん

じっと……じっと……見ている

……!?何か様子がおかしい!

指輪を見つめる瞳さん
視線が……指輪から外れない

……目の……焦点が合ってない?
「……だ?お……は……れだ?」
何かつぶやいている
これは……?これは……?一体?
「瞳さん!」
ファミレスの中にも関わらず大きな声をあげる
周囲の席の視線は俺に集まったがそんなことに構ってられない
明らかに様子がおかしいぞ!

瞳さんの横に立ち肩を揺する
「瞳さん?瞳さん!?」
まだ視線は指輪に行ったままだ
「お前……だ?お前は……れだ?」

何を?何を呟いて?……何が起こっている!?

落ち着け!俺!
瞳さんの力になるんだろ!?
何とか自分を落ち着かせようとする。
瞳さんは何を呟いて……?
瞳さんの口に耳を寄せる
小さな声で何か囁いている……
「お前……誰だ?お前は誰だ?お前は誰だ?」

お前は……誰だ?

瞳さんは明らかに指輪に映る自分にそう語りかけている
事態はまだ飲み込めない、でも……止めなきゃ!
俺は瞳さんの指から指輪を抜き取る
そしてもう一度肩を揺すって瞳さんの名前を呼ぶ
「瞳さん!瞳さん!?……瞳!!!!!」
瞬間、瞳さんの目に焦点が戻る

「あれ?仁……?僕は……私は……一体?」
そう言うと……瞳さんは……意識を失った。

[ 2007/01/11 22:06 ] 第七章~回帰編~ | トラックバック(-) | コメント(-)

雪 

瞳さんの意識は1,2分で戻った。
戻った瞬間
このファミレスの店長と名乗る小太りな男が席に来て
「他のお客様の迷惑となりますので……退店していただけませんか?」
と、へばりついたようなニヤケ顔で出て行くように促される。

俺たちは店を出て近くにあった植え込みの淵に座る。
瞳さんは……あれからまだ一言も話さない。
俺も……聞かない……聞けない。

「もう……大丈夫になったと思ってたんだが」
ポツリと瞳さんが口を開く。
「見られてしまったね……」
俯いたままの瞳さん……
「ああやって……僕は……以前の僕は崩壊して……狂った僕が生まれたんだ」

また……無言が続く
「こんな女……普通じゃない女……仁の……前から……」
その先は……言わせたらダメだ!
「瞳さん!」
名前だけ呼んで、先ほど外した指輪を箱に入れて
もう一度、瞳さんに手渡す。

「俺に……力になれないかも知れないけど……傍にいたい」
それだけしか言えないまま……箱を握らせた瞳さんの手を離せない
そのまま……瞳さんは……声を出さず……俯いたまま涙を流していた。

頬に冷たい感触……雪がちらついている
雪よ……俺たちの……俺たちの狂った過去も……白く染めてくれ……

[ 2007/01/11 22:00 ] 第七章~回帰編~ | トラックバック(-) | コメント(-)

離さない、離れない 

泣いている瞳さんを……抱きしめた
寒い……心まで冷えないように……そんな気持ちで
力を込めて、強く……ただ強く

「仁……痛いよ」
瞳さんが俺の胸の中で呟く
「あ、ゴメン!」
慌てて瞳さんを離す
一歩下がった俺の胸に、もう一度瞳さんが軽く頭を預けてくる
「ごめんね、取り乱して」
俺はもう一度瞳さんを抱きしめる

優しく……でも……離さない……離れないように

少し抱きしめあった後、自分から瞳さんが離れる
「ん、もう大丈夫」
瞳さんの顔はさっぱりしたものになっていた。
「ああ、雪だね。どうりで冷えるわけだ」
いつもの調子、無理をしてるようにも見える。
「どこか、店に入ろうか?さっき食べてないからお腹空いたでしょ?」
俺も何とかいつもの調子で話そうと試みる
「んー、ワガママ言ってもいいかな?」
瞳さんが俺のコートのスソをつまみながら続ける
「もし、仁が寒くないなら……外で2人でいたい」
「うん……」

俺は近くのコンビニに行き肉マンと温かい飲み物を2本買った

[ 2007/01/11 21:57 ] 第七章~回帰編~ | トラックバック(-) | コメント(-)

サンタへの願い 

植え込みのところに戻ると
瞳さんは立ち上がったまま手を肩の辺りまで上げて
手の平で雪を集めているように見える……

俺が戻ってきたのに気が付いて
こっちに駆け寄ってくる。
「お待たせ」
「あはは、戻って来なかったらどうしようかと思った

瞳さんも不安なんだ……
「そんなわけないじゃん」
レモンティーと肉マンを瞳さんに差し出す
「……温かいね」

……2人で座って、肉マンを食べた。

肉マンを食べて、それから瞳さんを家に送った。

玄関前で瞳さんが俺に抱きついてくる
それから……キスをせがむ仕草
そっと……でも、長い……キスをした。

「仁……これ大事にするね」
瞳さんはダッフルコートのポケットから
俺の渡した指輪の箱を取り出し小さく振りながらそう言った。

「それで、明日なんだけど……」
瞳さんの言葉がつまる、俺が先回りして言葉を止める
「明日も楽しみにしてるよ!」
出来る限り……とびっきりの笑顔で

「……うん。今日はありがとう、おやすみ」
「おやすみ、瞳さん」

帰り道、空に向かって呟いた
サンタさん……瞳さんに……素敵なプレゼント……頼むよ

[ 2007/01/11 21:54 ] 第七章~回帰編~ | トラックバック(-) | コメント(-)

ごめんねメール 

家に着いて携帯を見ると、メールが届いていた。

From:瞳さん
Subject:今日は

今日はごめんね。
明日なんだけど、私の家に来てくれないかな?
できたら朝から。

返事待ってます。

俺もすぐにメールを返す

To:瞳さん
Subject:こちらこそ

こちらこそ今日はごめんね。
明日、分かりました。
9時くらいでいいかな?

これで送信、やっぱり外で出歩く気分じゃないんだろうな

30秒くらいでまたメールが来た。

From:瞳さん
Subject:Reこちらこそ



これだけだった。
でも、これだけでも……充分だと思った。

[ 2007/01/11 21:51 ] 第七章~回帰編~ | トラックバック(-) | コメント(-)

神の見えざる手 

なかなか寝付けない
やはり……今日のことが気にかかる

瞳さんの……あの姿
俺とは、分かっていたことだが
全く違う狂い方。

そして、その場にいながら何もできなかった俺。

頭の中で何回もリピートされる
何も出来なかった俺

明日も……デートできるはずなのに
瞳さんとの間で、埋まったと思っていた距離
その距離が少し広がってしまったような気がした。

寝転びながら手を上に伸ばす
手の平を広げて自分の手をじっと見る……

何か……自分を……思い切り引っ叩きたい衝動……

パァーーーーンッ!!!

思い切りすごい音が部屋中に響く
うぇ!?なんだこの強さ?
まるで自分の意思じゃなく叩かれたような力の強さで
自分を引っ叩いてしまった。

でも、なんかスッキリした。
明日に備えて、悩むのはやめてさっさと寝よう!

(ったく、世話やけるんだから)

そんな声で目が覚めた。
……自分の寝言で目が覚めた?
時計を見ると朝の8時!!!

慌ててシャワーを浴びて準備を済ませる
速攻で家を飛び出た。

瞳さんの家に着いたのは5分前……なんとか間に合ったよ

[ 2007/01/11 21:48 ] 第七章~回帰編~ | トラックバック(-) | コメント(-)

お母さん 

家の前で息を整えて時間を潰す
5分経過……ちょうど9時
呼び鈴を鳴らす……
「はい?」
インターホンからの声、瞳さんじゃないな?
「あ!母さん!私が出るよ!」後ろから瞳さんの声が聞こえる

なるほど、これがのお母さんか。
「ごめん、少し待って」
インターホンから瞳さんの声が聞こえ
程なくドアが開く
ドアを開けて出てきた瞳さんの格好は
ヒラヒラのミニスカートトレーナー

遠くへお出かけの格好では無い。
やっぱり近場でお話かな?
さて、この辺りの公園は……と
そう思っていたら

「さ、仁。お待たせ。どうぞ上がって
へ?家に来てくれって……待ち合わせが家って意味じゃなかったの?

家に上がるとお母さんが立っていた
「あ、はじめまして」
挨拶をするとこっちに向かってくる
いきなり手を握られた
「あなたが仁くんね!瞳から良く話はきいてるわ!
これからも瞳のことお願い!お願いね!」

え?すごく熱烈歓迎?

「母さん、いいから、恥ずかしいから!」
瞳さんがお母さんを俺から引き離す。
「もうちょっとお話したいのに……」
お母さんがそう言いながら奥の方へ引っ込む
なんか、瞳さんのお母さんと思えないほどの愉快さというか……

[ 2007/01/11 21:45 ] 第七章~回帰編~ | トラックバック(-) | コメント(-)

部屋 

「さ、こっち」
階段を上がってすぐのドアの部屋に通される。
「ここ、私の部屋。さ、座って」

こざっぱりとした……綺麗な部屋

「ごめんね、おかしな母さんで」
瞳さんも座りながら俺に謝る
「いや、楽しい……お母さんだよね」
「仁のこと話だけで凄く気に入っちゃってるんだ」
うーん、どんな話をしてるのか……気になるな。
「さっきも……少し母さんにヤキモチ妬いちゃった……」

ドキッとする……今日の瞳さん……何か……違う

「ひとみー!!じゃあお母さんちょっと出るわねー!!」
階下からお母さんの声が聞こえる
「ハーイ!」
瞳さんの大声で叫ぶところ、初めて見たな

部屋の窓からお母さんを見送る瞳さん
お母さんが見えなくなったのかな?こちらに振り向く
「ちょっと待ってて、飲み物入れてくる。何が良い?」
どうしたんだろ?今日の瞳さんは……なんて言うか……普通だ。
昨日の瞳さんが……嘘のように
「あ、その、何でも良いよ。お構いなく」
「そっか、じゃあ紅茶で良いかな?」
「あ、うん」
ドアを開けて瞳さんが出て行く
トントントン……という階段をリズム良く降りる音が聞こえる

瞳さんの部屋に一人になり
部屋を見回す。
ここが……瞳さんの部屋か
ベッドに小さな本棚、小さなガラス製のテーブル……けっこうシンプルな部屋だ。
瞳さんの性格が出てるような気がする。
あと、机。
机の上に昨日俺が渡した指輪の箱が置いてある……

あれを渡したのは……失敗だったかな?

[ 2007/01/11 21:42 ] 第七章~回帰編~ | トラックバック(-) | コメント(-)

女の子 

考え込んでいるとドアが開いた
「お待たせ」
丸いお盆を持って瞳さんが戻ってきた。
お盆の上にはティーカップが2つと……小さなケーキ
「昨日、母さんと作ったんだ……仁に食べてもらいたくて
テーブルにお盆を置きながら瞳さんが言う。

「昨日……本当にごめんね」
瞳さんが俺に向かって言う。
「いや、こっちこそ……何もできなかったというか……」
昨日の夜の後悔が今頃になってまた襲ってくる。
瞳さんは首を大きく振る
「そんなことないよ!昨日の仁の『瞳!!!』って声で気が付いたんだよ?」

そういえば……叫んでしまったような気がする……

「あ、紅茶冷めちゃうね、どうぞ」
瞳さんはなんとか冷静を保とうとするように
俺にティーカップを差し出してきた。

今、なんか嬉しいぞ?
俺の叫びで気が付いたって言ってくれた……
なんか……俺……少しは力になれた?

瞳さんはケーキを切り分けている
「仁、大きい方が良い?」
そう言いながら大きいほうのケーキを皿に載せてくれている。
「ハイ、どーぞ」
やっぱり、感じが違うよな?
これって聞いてみてもいいのかな……?

「さ、食べてみて?味の保証は……できないけどね」

しまった……機を逃した

ケーキはなかなか美味かった。
なんつーか、素朴な味っていうか……とりあえず好きな味だ。
瞳さんはじーっと俺の方を見ている。
ケーキを半分くらい食べて紅茶に手を伸ばしたとき
「……どう?美味しい?」
真剣な表情で聞いてくる
「うん、美味いよ」
お世辞ではなく答えると
「あー!良かったぁ!」
胸の前で両手を組んで喜んでいる。
なんか、今日の瞳さんは『女の子』だな……

やっぱり気になるな……言ってみよう

[ 2007/01/11 21:39 ] 第七章~回帰編~ | トラックバック(-) | コメント(-)

戻る 

「今日、少し感じが……違うね?」
ストレートに聞いてしまった……
「ん?そう?」
そう……口調がまず違う……
無理は……してないよ
昨日のことを気にして……明るく振舞ってるのかな?

瞳さんが俺の横に座ってくる
ふわっと香るシャンプーの匂い
俺の手を掴む
そして……自分の太腿の上に俺の手を載せた
俺、当然の如く硬直

「少し……戻った……気がするの

「戻った……って……?」
瞳さんの顔を見る……俺をじっと見つめている
口をキュッと閉じた真剣な表情
「上手く言えないんだけど……前の……私
つまり……狂う前の瞳さん?
「記憶が戻ったっていうことなのかな?」
小さく頭を横に振る
「記憶っていうか、人格っていうのかな?……少しだけど」
つまり……前の『僕』が……消えたのか?
俺の中の『瞳』と同じように……
「俺が知り合う前の……瞳さんってことなのかな?」
手を口元に当てて考え込むポーズをとる瞳さん
俺の表現も的を射てはいないようだ
「仁のことは……ちゃんと分かってるし、
その……仁を好きって気持ちは変わってないから
何て言えばいいのか……私が混ざってきてるの

これは……?瞳さんが、本来の瞳さんが戻っているのか?

[ 2007/01/11 21:33 ] 第七章~回帰編~ | トラックバック(-) | コメント(-)

混ざる 

「それって、治ってきてるってこと……なのかな?」
瞳さんはまた首を横に振る
「それは……違うと思う。以前がどうだったのか、良く思い出せないけど
今の状態は……『僕』が女になりたがってて
その中に……『私』が混ざってきた
……そんな感じかな?」

……分裂が……進んでいるのか?
だったら俺は力になっているんじゃなく
瞳さんの邪魔になってしまっているんじゃないのか

「瞳さんは……それで……いいの?」

瞳さんが膝に置かれた俺の手を強く握る
「分からないよ……でも……」
フワッと……瞳さんが俺の首に抱きつく
「でも……仁と一緒にいたいって思うほど……『私』が出てくる……」

瞳さんは……再び狂おうとしている……その原因は……俺だ

[ 2007/01/11 21:30 ] 第七章~回帰編~ | トラックバック(-) | コメント(-)

抱く 

瞳さんと俺は裸でベッドで抱き合っている……

目の前に見えるのは……痛みに耐えている瞳さんの顔

あの後……抱きしめ合ったまま、瞳さんの方から俺にキスをしてきた
自分の胸に俺の手をもってくる
「ドキドキしてるでしょ?あはは……小さい胸でごめんね」
胸に俺の手を押し当てる……早い心臓の鼓動が伝わる
それと……ノーブラなのが分かった

「え?あの……瞳さん……?」
両手で俺の手を抱きしめ俺の顔をまた見つめる
「女の子に……これ以上言わすものじゃないよ、仁……」
へ?いつもの口調?

「瞳を……僕を……女の子にしてくれ」

瞳さんは立ち上がり、部屋のカーテンを閉めた

そのままベッドに腰掛る
「母は……知ってるから、夕方まで戻ってこないよ」
そう言って俺をベッドに手招きする。
「これは……僕も望んでるんだ……頼むよ」

これで……いいのか?
頭の片隅にそんな疑問を感じながら……俺は止まらない
瞳さんをベッドに横たえ……そっと胸を触る
「アッ……仁……脱がせて」
瞳さんに促されトレーナーを脱がす。
下には何も身につけておらず
瞳さんの肌が露わになる。
少し青白い肌に……小さいけど形の整った胸……
脱ぎやすい格好で正解だったね」
俺の知っている瞳さんの顔でそう言う
スカートに手をかけ……ゆっくり脱がす。
白い……ナイロン生地のパンティが見える
「バカ、恥ずかしいから……あんまり見るな」
瞳さんの顔が赤くなる
「本当に……いいの?」
俺の顔を見つめ……こくりと小さく頷く瞳さん

その時……俺の最後の理性は消えた

[ 2007/01/11 21:27 ] 第七章~回帰編~ | トラックバック(-) | コメント(-)

瞳の決意 

事が全て終わって並んでベッドに横たわる
「これで……良かったのかな?」
やるだけやっておいて……とは正にこのことだ
「私は……分からないな、痛かったし……でも、今は嬉しい」
そしてニコリと笑いながらこう言う
「しかし、やはり慣れているね、岩瀬くん」目が点になった。あえ?いや!ちょ?慣れてるって
「あはははは、昔の自分の真似をしてみた」
瞳さんは可笑しそうに笑う。
「だからね、『僕』の記憶はちゃんとあるんだよ
まるで俺の心配を見抜いたように瞳さんは笑っている
「変わってきたのか……また狂っていくのか……」
俺の横で上半身を起こし
下で横になっている俺を見ながら
「でもね、仁のために狂うなら……それでもいいんだよ♪」

僕たちは常に時限爆弾を抱えているのかも知れない
誰でも……いつ破裂してしまうか分からない時限爆弾

「仁がね……治してくれるような気もするんだよ」
瞳さんが唐突に言う。
へ?俺……が?
「レストランで見ちゃったよね?私が狂う理由」
うん、衝撃的だった……『お前は誰だ?』
自分に聞かれたら、何も答えられない質問だ……
「今は……大丈夫!『私は岩瀬 仁の恋人よ!』って答えてやる」
腰に両手をあてて威張るようなポーズ
乗り越えて……いかなきゃね……だから、傍に居て欲しいんだ……」

それは、不安に押しつぶされそうな瞳さんの精一杯の決意

[ 2007/01/11 21:24 ] 第七章~回帰編~ | トラックバック(-) | コメント(-)

約束 

夕方、お母さんが帰ってくる前に瞳さんの家を後にした。
「お母さんはね、私に女に早く戻って欲しいみたい
今日のことも……かなり賛成してくれたし。
仁くんを逃がしちゃダメよ!』だって……」

いや……さすがに顔を合わせられない

「さーて!私もこれから忙しいぞ!」
別れ際瞳さんがそう呟く
「なにか目標でもできた?」
そう聞いた俺に
「なーいしょっ♪仁もびっくりさせたいからね♪」

何も教えてくれなかったが
その時の瞳さんの表情は輝いていた。

俺も……勉強頑張らないとなぁ
今、やるべきことを……一緒にいるために

瞳さんと交わした……たった一つの約束

[ 2007/01/11 21:18 ] 第七章~回帰編~ | トラックバック(-) | コメント(-)

受験 

年末年始は慌しく過ぎ
あっと言う間にセンター試験だ。
瞳さんとは初詣のときに会ったきり

「私も用事があって……ごめんね♪」

相変わらず何の用事かは教えてくれないが
それでも元気な瞳さんの表情が見れるなら
それで良いかという気分でもある。

試験の会場は自宅からは
電車で30分ほど行った場所にある大学
余裕をもって試験会場に到着

さて、この試験を乗り越えれば
また瞳さんと会える機会も増える
頑張らなきゃな

センターの結果は上々、自己採点の結果もこれなら余裕だろう
といったところで瞳さんの電話
「ああ、仁。センターの結果どうだった?」
「うん、おかげさんで。全然余裕だったよ」
「そっか……仁の志望ってK大学だよね?」
瞳さんが俺の志望大学の名前を挙げる。
俺たちの地元では一番の国立大学
ここに合格すればトシの後輩となる。
「うん、そうだけど?」
何で瞳さんがそれを気にするんだろう?
少し大学の場所が遠いから会えなくなるのを寂しがってる……?
「んー、どうしよ……」
やっぱり何事か悩んでいる様子だ。
「どうしたのかな……?」
瞳さんに聞いてみるものの無言
「何か困ったことがあれば力になるよ?」
ダメ押しで聞いてみる、ハァ……と言うため息の後

「お願い!私に勉強教えて!」

え?瞳さんが勉強?
意表を付かれて返事ができない。

[ 2007/01/11 21:15 ] 第七章~回帰編~ | トラックバック(-) | コメント(-)

藁 

「隠してたけど……仁と同じ大学を受けたいんだ
話を聞けば、瞳さんも受験勉強を進めてたんだそうだ
それで最近は会う回数も減らしてたワケか……
全ては俺と同じ大学に通うため
少し感動
でも、さすがに独力では限界のようで
センターの結果もきわどいラインのようだ
こうなると知ってたら志望校のレベルを落としたんだが
なんとか力になってあげたいけど……

あ、頭の中に名案は浮かんだ……

でも……この世で一番信用のならない人だ……
でも『溺れるものは藁をも掴む』だ

俺は瞳さんに折り返すことを伝え
に電話した……

[ 2007/01/11 21:09 ] 第七章~回帰編~ | トラックバック(-) | コメント(-)

溺れる者が掴むモノ 

「いよおおおおお!!!やああああああああっとセンターの報告か?」

のっけから藁のテンションが高いな
「いや、センターは報告いらないでしょ。全然余裕」
「ん?そうか。まあ教える人間が優秀だからな」

確かにそうなんだけど、本人に言われると腹が立つ
コイツに瞳さんの勉強をみてもらうって……不安だ。
でも、今のところすがれる藁はこれしかない

「あのさ、トシ。お願いがあるんだけど……」

「ん?お願い?見返りは?」

頼む前からこの調子、ああ、不安だ。
でも後1ヶ月で瞳さんを合格レベルに引き上げられる人間なんて
この調子乗りの藁以外に思い浮かばない。

「見返りは……成功次第ってことで」
「難しい頼み事か……?」
トシの口調がマトモになる。
ダメ元で頼んでみよう……

「勉強を教えてあげて欲しい人がいるんだ」

[ 2007/01/11 20:57 ] 第七章~回帰編~ | トラックバック(-) | コメント(-)

引き合わせ 

トシに瞳さんの事を説明する。

「ほっほーう、やーーーーっと彼女を紹介してくれるってワケだ」
いや、そうには違いないんだけど
「その辺りは深くつっこまないで……教えてもらえないかな?」
トシに頼んでも無理なものは無理かもしれない
でも、瞳さんの願い……できる限りの事をしてあげたい。

「2人同時じゃ……無理だぜ?」
「分かってる……頼むよ」

ふぅ……なんとか成立だな。
後はどうやって瞳さんにトシを説明するか……とその時

「仁、彼女にさ、直接俺のトコに電話させて。細かい話つけるからさ」
え!?と思ったがトシが言葉を続ける方が早かった
「でないと……教えないぞ?」

一難去ってまた一難とは……本当にこの事だ

瞳さんに電話をする

「あ、仁。どうだった……?」
不安そうな声で瞳さんが出る
瞳さんには家庭教師をしてくれる人の当てがある
それだけ言って電話を切ってしまったので
とりあえず経過を説明する。

「受けてくれるんだ……良かったぁ……」
少し安心した声に変わった瞳さん

でも……安心するのは、早いよな……
「でね、瞳さん。少しお願いが……」
ああ、口にするのが重い

[ 2007/01/11 20:54 ] 第七章~回帰編~ | トラックバック(-) | コメント(-)

禁止事項 

トシの電話番号を伝えて
「とりあえず……気をつけて」
これだけしか言えずに電話を切った。

あれから1時間が経過……自分の勉強が手に付かない
あの人間性じゃなければ……一番信頼に値するんだけど

でも、瞳さんとトシを引き合わせるのは
瞳さんにとって何かが良い方向に行くかもしれない……

何気にそういう方面も詳しい人なワケだし……
悩むのは止めだ!

そう思ったとき、俺の携帯が鳴った

着信は……瞳さんから
トシに変なこと言われてなければいいんだけど……

「あ、仁?歳平さんに勉強教えてもらうことになった」
まあ、その辺は約束を破るタイプじゃないから
でも……1時間も電話してたことが気になる。

「その……どうだった?トシ……ヒラさん」

「え?うん。親切な人だね。家庭教師代もいらないって言ってくれたし。
これから1ヶ月つきっきりで勉強みてくれるって。
仁の家庭教師をしてた人なんだってね。
少し安心した。共通の話題が無い人だと話しづらいもんね。」

余計な事は……言ってないみたいだな。

「それでね……仁」
瞳さんの声のトーンが下がる
「さっき歳平さんとも電話で話したんだけど。
私の成績って……かなりギリギリみたいなんだ。
それで……試験まで……デートは禁止って」

え?マジ?
「え?……その……電話は?」
「その……私も寂しいんだけど……試験までは……って」
「え?え?……いや……それは……嫌だな」
俺がそう言うと瞳さんが一拍置いて

「いう事聞いてくれなかったら……分かるよな?」

その口調って……トシ !
「こう言えって……歳平さんから」
「あ……うん……分かった」
弱味を握られた以上……トシに逆らえない

「じゃあ、1ヶ月……頑張ろうね!」
そう言って瞳さんとの電話は終わった。

1ヶ月……長いなぁ

[ 2007/01/11 20:51 ] 第七章~回帰編~ | トラックバック(-) | コメント(-)

ダメ押し 

1ヶ月……長いなと絶望してるとダメ押しが
トシから電話

「くっくっくっ……まあそういうこった
何がそういうこっただぁああああああ!!!

「不満もあるだろうが、お前はお前で頑張れ
瞳ちゃんのことは俺に任せろ。
な?信じろよ?な?な?な!?」

……おい、卑怯じゃないかよ
……初めてじゃないか……信じろなんて

いつだって……信用してるさ
「頼むよ……」
それだけしか言えなくなった。

[ 2007/01/11 20:48 ] 第七章~回帰編~ | トラックバック(-) | コメント(-)

禁断症状 

1ヶ月ってこんなに長かったっけ?
瞳禁からはや1週間

電話は見事に鳴りません
メールも届きません

あ、たまにから電話があります。
瞳ちゃんと仲良くやってるぜ!」
だとぉおおおお!!!ゴルァ!!!!!!

そろそろ禁断症状が出そうです。

3週間、もはや禁断症状も限界に近いです!
部屋のバイタリティXXも40本の瓶が散乱しています!
受験が終わったら藁を殴る
ネットで噂になってるスッキリンが欲しいくらいです!

なんて物騒なことを考えていたら

一本のメールが……瞳さん!!

From:瞳さん
Subject:勉強がんばってる?

仁も勉強がんばってるかな?
私もなんとかなるかも……?
試験の日、一緒に試験会場に行こうね
歳平さんもオッケーだって。
今からすっごく楽しみだね。

PS:これ見て元気出してね?

添付画像は……セーターの首を下げて胸元チラ見せの瞳さん

下半身の元気が出たぞぉぉぉぉおおおおおおおおお!!!

ゴルァ!!!!瞳さんに何を教えてるんだ!!!
でも、試験当日がすんごく楽しみです。

[ 2007/01/11 20:45 ] 第七章~回帰編~ | トラックバック(-) | コメント(-)

夢 

試験前夜……夢を見た

俺と瞳さん……瞳?と誰かが話し合ってる
丸いテーブルを挟んで
会話の内容は分からない
真剣な話し方……何かの会議?

熱烈な会議の模様……

瞳?……が誰かに怒鳴ってる

なんだか付いて行けない空気だな……と思っていたら

顔をはたかれたショックで目が覚めた

[ 2007/01/11 20:42 ] 第七章~回帰編~ | トラックバック(-) | コメント(-)

待っていた時 

「いってぇ~~~」
周囲を見渡すが誰もいない

……また自分で殴ってしまったのか

便利なんだけど……もうちょっと手加減てものを……
と思いながら時計を見ると……ヤバイ!

忘れ物の無いようにチェック!
で、家をダッシュ!
待ち合わせにはギリギリだ!!!

瞳さんは絶対に15分前に来てる!

あ♪おはよ~!」
やっぱりすでに瞳さん来てました。
クリスマスに来てた赤いコートにGパン
それとトートバッグのいでたち。

「ごめん、遅くなって」
「んーん、全然待ってないよ」
と言ってから周囲を見回し
早朝で人がいないのを確認して俺に抱きついてきた

「会いたかったよぉ……」
ギューっと俺に抱きつく
「俺も……」
抱きしめ返す……
ん……」
口を少し尖らせてキスをせがむ仕草
チュ……

ん~これだ!これに飢えてたんだ

[ 2007/01/11 20:39 ] 第七章~回帰編~ | トラックバック(-) | コメント(-)

否めない 

試験会場に向かう電車の中でも
瞳さんは終始ごきげんだった。

「仁のぶんもお弁当作ってきたんだよ」
「少し痩せた?ちゃんとご飯食べてた?」
「もう会いたくって禁断症状一歩手前だったよ」

どうやら緊張はしてないようだ。
トシとの受験勉強が上手くいったのかな?
少し余裕も感じられる。

勉強が上手くいったかどうか、心配の一つだった。
もう一つの心配……精神的な安定

これを聞かなきゃ……俺が安心できない。
でも……下手に聞いたら瞳さんが受験に集中できないよな……

「トシ……ヒラさんとの勉強は上手くいった?」

とりあえず当たり障りの少ない質問。
人差し指を唇に当てて少し考えるポーズをしながら
「歳平さんは『なんとかなるだろ』って無責任だよね」

ハニカミながら答える瞳さん
トシがそう言うなら……多分大丈夫かな?

俺の方も問題はない。
こうやって瞳さんに会えて禁断症状が解消された今
受験なんぞモノの数でもない!

まあ……この1ヶ月不安定だったことは否めないが

[ 2007/01/11 20:36 ] 第七章~回帰編~ | トラックバック(-) | コメント(-)

兆候 

瞳さんの話が途切れ
会話が止まる。

2人で一緒だから無言でも苦痛じゃないんだけどね。

瞳さんの病状については……試験が終わるまで気にしないでおこう。
そう思いながら天井を見上げる。

電車の中は吊り広告がたくさん……
不動産広告にデパートのバーゲン……週刊誌の広告

そんな中……気になる見出しが

『メンデル製薬の闇! 回収騒ぎの裏には!?』

……え?俺が大量に飲んでたバイタリティXXって確か……
急に気分が悪くなってきた

[ 2007/01/11 20:33 ] 第七章~回帰編~ | トラックバック(-) | コメント(-)

崩す 

「歳平さんが2人とも合格したらプレゼント用意してるからなって」

瞳さんの一言で現実に戻された。
メンデル製薬のことは気になるが
回収されたって薬がバイタリティXXとは限らない
こんなことでコンディションを崩してられない。

「へ、へえ。何をプレゼントしてくれるんだろ?」
平静を装って答える
「楽しみにしてなって。合格できると……いいな」

少し不安そうな表情になる瞳さん
「大丈夫!頑張ろう!」

そうだ、今は受験に集中して瞳さんと一緒の大学に通うんだ!

[ 2007/01/11 20:30 ] 第七章~回帰編~ | トラックバック(-) | コメント(-)

指輪 

試験会場で驚いた。
瞳さんが隣の席だった。
受験番号は近いからもしかしてとは思ってたが。

なんか心強い。
いざとなれば俺の答案を見せて……
なんてことを考えてたら
「ズルはダメだからね?」
先に釘を刺されてしまった。

いよいよ試験開始だ……

そんな時に瞳さんの手に気が付いた

左手の薬指……見覚えのあるモノ
……!!クリスマスにあげた指輪!

治った?トシが何かしてくれた?
あ~!聞きたいけど試験が始まってるから聞けない!

でも、悪い知らせじゃない!
試験に集中!集中!

[ 2007/01/11 20:24 ] 第七章~回帰編~ | トラックバック(-) | コメント(-)
プロフィール

黒矢 一実

Author:黒矢 一実
主に短編小説を書いています。
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