僕は狂っていく~ぼくるい~

創作小説「僕は狂っていく」まとめブログです。 ジャンルは現代モノです。 基本的に「奇妙な話」です。

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序章 

大切な人が目の前から姿を消して
もう2年が経とうとしています。
誰にも理由も言わず
どんな苦しみを抱えていたのか理解できず

世界は少しの変化を遂げたのに
私の時計は……あの日から止まったままです

あの年、私たちは大学受験に成功。
2人で同じ大学に通うことが決まった……はずだった。
合格発表の前日、合格発表を一緒に見に行こうと約束。
当日の朝、メールで一言
ごめん、行けなくなった
そこから電話が繋がらなくなった。
体調でも悪いんだろうか?
そう思いながらも合格発表を見に行き
2人ともの合格を確認し
お見舞いがてら合格を伝えに彼の家に行った。

彼は……留守だった。
その時は違和感を感じながらもそう思ったのだ。
厄介事に巻き込まれやすい彼の性格
今回も何かに巻き込まれた?
無事ならいいけど、くらいにしか考えてなかった。

そしてその日の夜も、翌日も……1週間が経っても連絡はとれず
メールも、電話も返答は無かった。

1週間が経った日に
必ず戻る、心配しないでくれ

そのメールだけを残して……彼は消えた

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[ 2007/01/11 19:59 ] 第七章~ヒトミ~ | トラックバック(-) | コメント(-)

空虚な2年 

1ヶ月が過ぎ
大学の入学が差し迫っても、彼からの連絡は無かった。
彼のお母さんと話をしたところ
入学手続きはしてくれたそうだ。
「いつヒョッコリと戻ってくるか分からないしね」
こんな状況で初めて話をした彼のお母さんは
とても逞しい存在に見えた。
「みんなに心配かけて、本当にバカよね……」
その時に見せた表情が本音であろうことは
私には痛いほど良く分かった

大学に入学した。
彼と同じく、戻ってくるまで休学しようかと考えたのだが
知人の男性に
お前はお前の日常をちゃんとやっといたほうが良いんじゃねえか?」
という言葉もあり不本意ながらも大学に通っている。
彼と同じ大学に通いたいという思いだけで
志望した大学。
周囲から見ればレベルも高く
一種ステイタスのように見られるこの大学生活も
肝心な部分が欠けているため
何か抜け殻のような生活になっている。
2年……あっという間の空虚な時間
私の時間は止まったままだ……

……早く帰ってこいよ!バカ仁!!!

[ 2007/01/11 19:56 ] 第七章~ヒトミ~ | トラックバック(-) | コメント(-)

新習慣 

この2年間、週に1回か岩瀬家への訪問が習慣になってる。
別に何をするわけでもないが
一緒にご飯を食べたり、たまに泊まったり。
もともとお父さんが単身赴任
お姉さんは東京の大学へ行ってしまっているそうで
彼がいなくなってしまってからは
家にはお母さんが一人きり。
最初は仁の消息を掴む手がかりになればと思って
訪問を重ねるうちにお母さんと仲良くなってしまい
大学の都合もあって週に1回の訪問が習慣になってしまった。

……ま、未来のお母さんってことで、その方が都合も良い(汗)

そんな岩瀬家訪問中のこと
お姉さんが帰省してきた。

(うわ……仁を女にしたみたい
それが私の率直な感想。
スタイルも良くて美人で本気でうらやましい。
年は私と同じ年だそうで……素材の差が料理の差かっっっ!!!

すいません取り乱しました。
2年前の彼の失踪を機に知り合いになって
電話やメールのやりとりは何回もしてるものの
直に会うのはこれが初めてのこと

メールに良く出てくる単語
「コブラツイスト」「卍固め」「テキサスクローバーホールド」
などからは想像も出来ない容姿だった。

[ 2007/01/11 19:53 ] 第七章~ヒトミ~ | トラックバック(-) | コメント(-)

手がかり 

「何か進展はあった?」
早速話題は彼の消息について、である。
まあ、私としても一番気になってるトコだ。
「全然……お姉さんは何か連絡ありました?」
無駄と分かっても聞いてしまうのは人間の悲しい性だ。
せめて……ヒントが欲しい。
彼に……彼を取り戻すためのヒントが
2年かかって掴めないヒント
半ばあきらめが入っていた私に朗報があった。

「私の友達がね、似た人を見たって言うのよ」

彼を見かけたと言うのは
お姉さんと同棲してる友達。
伊藤さんという人だそうで
大学の近くで買い物をしてるときに
彼にそっくりな人を見かけた……らしい。
伝聞というものは本当にもどかしい。

でも……彼は東京にいる……!?

[ 2007/01/11 19:50 ] 第七章~ヒトミ~ | トラックバック(-) | コメント(-)

上京物語 

東京~、って以外と遠い……
旅費をケチって深夜バスにしたのが失敗だったか
歳平さんの言葉に甘えてお金を借りるべきだったかな?
いやいや、彼だけは自力で見つけてみせる!
それが私のこだわり
私を救って、恩返しができないままに勝手に消えた彼
大学の春休みを利用して東京に出てきたわけで
捜索にいくらかかるか分からないし
宿はお姉さんが貸してくれるって言ってるし!

仁!首を洗って恩返しされるのを待ってなさい

でも……
東京は広いなぁ……早くも絶望感を感じるとです……瞳です……

ああ、我ながら考えが浅かったなぁ
大体この辺りで彼を見かけたって言っても
それが本人なのか?
本人であったとしてもまだこの辺にいるのか?
この辺にいても土地勘の無い私がどうやって探すのか?

……まるっきり考えてなかった。
こうなれば……偶然に頼る!!
お姉さんは「ずっといても良いよ~♪」って言ってくれてるし!
伊藤さんも……たぶんオッケーだと思う

ああ……神様、なんとか仁にめぐり合わせて

[ 2007/01/11 19:47 ] 第七章~ヒトミ~ | トラックバック(-) | コメント(-)

尋問官 

今日の私は尋問官です。

彼を見かけた時の状況をさわりだけでなく
事細かに伊藤さんにキリキリ吐いていただこうと思います。

Q:彼を見かけた時間は?
「大学終わって帰りだったから……6時くらいかな?」
Q:どこで見かけましたか?
「近所の……ドラッグストアで」
Q:何を買ってましたか?
「えと……詳しくは見てないんだけど。カップラーメンと栄養剤……だったかな?」
Q:カップラーメンの銘柄は?
「憶えて……ません」

うーん、いまいち使えない情報ばかりだ

しかし!いざとなればこの拷問具(洗濯バサミ)が火を噴くぜ

引き続き尋問♪

Q:どんな服装でしたか?
「えと……Gパンに……黒のジャンパー……だったかな?」
Q:髪型は?
「ロン毛っていうか……長い髪を後ろで……こう束ねて」

歳平さんみたいな髪型かな?
Q:伊藤さんのタイプ?
「いや……あの……私は、みの……ゲフンゲフン。タイプからはズレてます!」

うん、一安心。最後の質問
Q:本当に……仁でした?
「写真しか見たことないけど……多分、仁くんだと思う」

ご協力ありがとうございました。
うーん、我ながらあんまり進展は無いなぁ

罰として拷問具(洗濯バサミ)は自分の鼻を挟むのに使いました……痛い

[ 2007/01/11 19:44 ] 第七章~ヒトミ~ | トラックバック(-) | コメント(-)

成果 

とりあえず今日から
伊藤さんが仁を見かけたっていうドラッグストアで張り込み。
ここで買い物してたっていうなら
この辺に住んでる可能性が高いと思うんだよね。
それで、ここに買い物に来る可能性も高いと思う。

というか……張り込みってツライ。
世の中の刑事さん、尊敬します。

朝からずっとってのが問題だよね。
明日からは時間を絞ろう。

本日の成果:ドラッグストアで売ってるピスタチオは意外と美味しい

[ 2007/01/11 19:41 ] 第七章~ヒトミ~ | トラックバック(-) | コメント(-)

お姉さんと一緒 

お姉さんに「一緒にお風呂入らない?」って誘われた。
ま、まあ女同士だし……抵抗はない。

裸になっても……抵抗は……抵抗は……すいません。強がりです。
何なのよ!このランクの差は!?
私みたいな青銅聖闘士黄金聖闘士に勝てるわけないじゃない!!
何を食べればそんな体になるの?

……また取り乱しました。

そんな私の感情とは関係なくお風呂ではしんみりしたお話に。

「ごめんね」
浴槽に差し向かいで座るお姉さんの第一声は謝罪だった。
「え?あの、私こそ長居して本当にスイマセン!」
謝り返してしまう。
いくら彼のお姉さんでも好意に甘えすぎてるのは事実だ。

「いいんだよ。ウチのバカのためにやってくれてるんだから」
「でも……その……ハイ」
上手く返事ができません。
「でもね、何か考えがあったと思うんだ。あのバカにも」
「ハイ……私もそうだと思います」
「待っててくれて……本当にありがとね」

ドキっとした。
姉弟だからってのもあるだろうけど
その言い方と言った時の顔が仁そっくりだった。

ああ……早く本人に会いたいよ

「ところでさ、ウチのバカとは……どこまでの関係で?」

ええ!?いきなりそんな質問ですか?
ああ……綺麗な顔が近所のオバサンの顔になってる
「ね?教えて?」
この押しは……アナタはもしや歳平さんの分身?
「その……一応……最後まで」
「おおおおおおお!!!アイツ童貞じゃなかったのか!」
ちょ、興奮しすぎですよ!
顔が真っ赤で何も話せない……
「今度会ったらマッスルミレニアムだね」

……もはやマニアックすぎてどんな技なのかも分かりません

かなり長風呂になってノボせそうっす
「私さきに上がりますね」
だけ言い残してお風呂を上がる

お姉さんはまだ入っておくみたい。
美貌の秘訣って長風呂にあるのかな……?
今度から長めでお風呂に入ろう。

私と入れ替わりに浴槽に伊藤さんが突入していきました
本当に仲が良い親友なんだな~。
私もあんな友達欲しかったよ。

とりあえず風呂上りのフルーツ牛乳を手を腰に当てて一気飲み!
~~~~~!!!この一杯の為に生きてるぜ!コンチクショウ!!

[ 2007/01/11 19:30 ] 第七章~ヒトミ~ | トラックバック(-) | コメント(-)

イワセ 

私の東京捜索隊は大失敗に終わった。
最初から無計画過ぎたのだろう。
春休みは終了し私は地元に帰ることになった。
今回の収穫は彼は東京にいるらしいということ。
それと……未来のお義姉さんと仲良くなれたこと

帰りはお金をケチらずに新幹線に乗った。
お金は歳平金融に借りた……後の利息が怖い。

新幹線の座席には前の乗客が忘れたのか
男性向けの週刊誌が座席ポケットに置いてあった。
ヒマなのでそれをペラペラめくる私。

雑誌の内容はお決まりの女の子の水着や下着の写真
それに芸能界のゴシップ記事
大して目に止まるような記事は無かった。

ただ一つを除いて……

私の目に止まった記事
『日本を覆いつくす『悪意』!!』 と題された記事……
内容はどこかの製薬会社が市販の薬の中に
中毒性の強い成分を混入させて
国内に潜在的にドラッグ中毒者が急増してる

そんな内容。
こんな陰謀説を喜ぶのは中学生くらいなもんでしょ

そう思いながら読んでいた……
最後の一文
記事:イワセ

この部分を読むまでは

[ 2007/01/11 19:27 ] 第七章~ヒトミ~ | トラックバック(-) | コメント(-)

フラッシュバック 

頭をよぎる光景

彼がいなくなり手がかりを求めて
彼の部屋に入れてもらった。
出ていった時の様子そのままの彼の部屋

そこで見たものは
部屋中に散乱した薬品の箱と瓶
それに開かれた雑誌……
記事は『メンデル製薬の闇を暴く!』と題されたゴシップ記事

確か……事件自体は誤報だったとすぐに覆されて
すぐに風化していった事件だった。

その時はまさか?……と思っていたが
本当に仁はこの事件に巻き込まれて……失踪したのだろうか?

[ 2007/01/11 19:21 ] 第七章~ヒトミ~ | トラックバック(-) | コメント(-)

雑誌社 

地元に戻ってすぐにしたことは
雑誌社へ電話。
これが彼とは限らないけど
いてもたってもいられない!

「はい、『主夫の友人社』です」
「ス!すいません!お宅の記事のことで……」
「ああクレームですね」
ちょ、いきなりクレームになるんですか?
そんなにクレームが多いのか、この雑誌社。

「いや、あのクレームじゃなくて」
「え?まさか定期購読の申し込み!?」

……違うし、っていうか定期購読を申し込む人も珍しいのかこの雑誌社。

「いや、それも違います!」
「ちっ!なんですかぁ?イタズラ?」

いたずらぢゃないし……アナタが話しを進めさせてくれないし……

「あのですね、雑誌の記事の内容で聞きたいことがあるんです」
「あ、なーんだそんな事?何の雑誌?」

なんだ……馴れ馴れしいな
「あの……『季刊 ズババーン 春号』の日本を覆いつくす悪意の記事で」
「ああ、それ担当に変わるわ、ちょっと待ってね」

ふう、やっと話が進んだ。
って言うか、雑誌の編集者ってみんなこんないい加減なの?

保留にされること10分……私、忘れられてない?
ざっきからひたすらリピートで「エリーゼのために」を聞かされてます。
あーイライラする!

ガチャ
あ、保留音が終わった!

「もしもし?あの担当って俺だったわ
さっきの人がまた出た……雑誌社って本当にいい加減だ(怒)

「で、聞きたいことって何?」
うん、こういう人なんだ……怒っちゃダメだ

「あの、あの記事を書いた人なんですけど……」
「ん?イワセのこと?」
「ハイ!できたら連絡とりたいんですけど」
「連絡ってなー、基本的に教えられないし……つーかアイツ連絡先不明だわ」
「ちょ、どうやって連絡してるんですか!?」
「イワセからの連絡待ちだな」
「そんなんで成り立つんですか?」
「当たり前じゃん。ところで……アンタ何でイワセに連絡とりたい訳?」

う……もっともな質問だ。
でも怯んでられない!
「あの……多分私の失踪した彼氏なんです!」

「へ?……イワセってだぜ?」

スイマセン……人違いのようです

[ 2007/01/11 19:18 ] 第七章~ヒトミ~ | トラックバック(-) | コメント(-)

すくーる水着 

雑誌社の電話を切ってから
大事なことを思い出した。

歳平金融に電話しなきゃ……
うう……今回の利息は何になるんだろ?
歳平さんの要求は精神的にキツいのが多いからなぁ

2年前の勉強教わった時は
「この問題解けなかったら一日メイドの格好な」
て言われて……解けなくて……あのコンビニ行かされて……orz

ああ……思い出しただけでも穴があったら入りたい気持ちに……

とりあえず電話する

「もしもし、瞳ですけど」
「いよおおおおおおおおおう!帰ってきたんか?」
「ハイ、お金は……」
「ああ、あるときでいいぜ?ただ……」

キタ!一体何を要求されるんでしょうか?私?
「ただ……?」
「スクール水着着て、部屋の掃除してくれたらチャラにしてもいいぜ?」

チャラになるのは魅力的なんだけど……誰か私にデスノートを下さい

「な?な?な!?」攻撃は来なかったので助かった。

「ところで……どうだった?」
仁について……だ。
ハッキリ言って進展は何も無かった
でもやっぱり歳平さんにはキチンと話しておいた方が良いだろう。
この2年間、歳平さんも一生懸命に彼を捜してくれてる。

「あの、明日直接話しに行っていいかな?」

今日はさすがに疲れた……

「よーーーし!いいぜ!スクール水着持参しなくても大丈夫だからな!」

誰か……『独裁者スイッチ』を私に下さい

さて、明日は大学行ってから歳平さんの家か……また忙しいな
お風呂入って寝よう……

んー、スクール水着……か
無駄毛の処理しとこ……お金惜しいし……

[ 2007/01/11 19:15 ] 第七章~ヒトミ~ | トラックバック(-) | コメント(-)

報告 

歳平さんが用意してたのは
私が通ってた高校のスクール水着で
胸の部分に『3-A 加賀美』と小さな布で名札が付けられているもの

……これってドコかで見覚えが……って正真正銘私のだよ!
どこで入手したぁああああああああ!?

「くっくっくっ……企業秘密だぜ?」
本当にどんなツテがあるんだろ?
この人と知り合って2年経つが
まだ犯されていない自分を全力で褒めてあげたい

とりあえずコスプレ掃除は置いておいて
仁についての話。
東京での収穫はなかったこと、
でも東京にいるらしいということ、

……そして例の雑誌の話。
これは私の完全な先走りだったワケだけど。

てっきり笑いとばされると思ってたんだけど……なんか歳平さん考え込んでるよ?

[ 2007/01/11 18:59 ] 第七章~ヒトミ~ | トラックバック(-) | コメント(-)

第一次珈琲紅茶大戦 

「いや、ご苦労さんだった。ま、コーヒー飲めや」
ひとしきり考え込んだ後、私の苦労を労う言葉をかけ
淹れたてのコーヒーを勧めてくる……私は紅茶のほうが好きなんだけどね。

「うん、でも何の進展もなかったね」
自分の考えの浅さの反省を込めてそう返す私。
「まぁとっかかりは出来たからな、きっと見つけられるさ。ま、コーヒー飲めや」
なんだか優しい言葉をかけながらコーヒーを進める……紅茶がいいな……

「でも東京は広すぎるよね、その辺りに住んでるかも微妙だし」
東京で張り込んでみた率直な感想だ。
住んでる可能性は高いとは思うけど……可能性に過ぎない。

「ま、俺も東京に行く機会も最近多いしな。捜してみるさ。ま、コーヒー飲めよ?」
へえ、東京に何の用事があるんだろ?
てっきり無職と思ってた。……なぜ、そこまでコーヒーを勧める?
私も持参のティーバッグを取り出して応戦する。

「東京に行く用事があるんですか?……紅茶がいいな」
素朴な疑問を口にしてみる。加えてささやかな願望も口にする。

「ああ、テレビに出るんだよ。コーヒーの方が美味いぞ?」
さらっととんでもない事を言いながらコーヒーをゴリ押ししてくる。
「ええ!?テレビ??……カップ貸してください」
素直に感歎しながらティーバッグを包みから取り出す。
「ほら、昼のバラエティショーの企画でよ『習字王』ってのに先生役で出るんだよ。黙って飲め」
へー、サングラスの司会者で愛称「グラさん」の名前で親しまれてる人が
長年やってる昼の番組「笑ったらいいと思うよ?」に歳平さんが出るんだ。
コーヒーは断固拒否する!
「へえ!グラさんのサイン貰ってきて?お湯は台所だったよね?」
グラさんのファンの私としてはこの要求は欠かせない。
勝手知ったる人の家、自分で紅茶を淹れた。

「そんなもんいるのか?……コーヒー美味いのに……」

こうして第1次コーヒーVS紅茶大戦は紅茶軍がかろうじて勝利を収めた。

[ 2007/01/11 18:57 ] 第七章~ヒトミ~ | トラックバック(-) | コメント(-)

基準 

「でも、東京で歳平さんも仁を探すの?難しいよ?」
私が直面した現実の壁だ。はあ、紅茶の良い香り。
「ま、向こうにもツテはあるしな。何とかするさ」
コーヒーを口にしながら少し鋭い目つきになってる歳平さん。
そんなにコーヒー飲まなかったのがくやしかったのかな?
「うん……私も大学休んで一緒に探すのは……ダメかな?」
「それは……ダメだ。ちゃんと普通の生活しとけ」
即答で却下された。
まあ、私が探しても役に立てないのは実証されてるんだけど。
でもここで引き下がっては女がすたる!

「週に1日とかでもいいからさ……お願い?」
あえてコーヒーを口にしながらお願いする。

「え?ああ、うんうん。ま、お前が必要な時は休めよ?な?」
コーヒー一杯飲むだけで態度が急変した!

……この男……何が基準で生きてるんだ?

[ 2007/01/11 18:55 ] 第七章~ヒトミ~ | トラックバック(-) | コメント(-)

急展開 

とりあえず学校を休むのはダメってことになった。
歳平さんが仁のことを調査して
見つかりそうになったら私が東京に行っていいということに。

まあ、滞在費とかも無いから
歳平さんの指示に従うしかないんだけどね。

とりあえず家に帰って情報を整理する。
・仁は東京にいるらしい
・失踪の原因はドラッグ中毒?
・雑誌の人は関係なさそう
・歳平さんはコーヒー党

分かってるのはこのくらい。
本当に見つけることってできるのか……?急に不安になってきた。

展開は思ったよりも早かった。
4月も終わりに近付き、ゴールデンウィーク手前
歳平さんからのメール。

From:歳平さん
Subject:良い知らせ

バカ捕獲。続報を待て

って、えええええええええええ???
捕獲って……とうとう見つけたの?
でも続報を待てって……ナマ殺し?

慌てて歳平さんに電話する。
「この電話は電波の届かない……」

チクショウ……肝心な時に捕まらないコーヒー党め……

[ 2007/01/11 18:53 ] 第七章~ヒトミ~ | トラックバック(-) | コメント(-)

捕獲……失敗 

コーヒー党からの連絡があったのは深夜になってからだった

「おう!寝てたか?」
寝れるわけないじゃんか。
気になってしょうがなくて携帯をずっと握り締めてた私。
「起きてたよ!で、捕獲したって?」
「おうよ、捕まえたけど逃げられた

……逃げられただとおおおおおお!?
ちょ、なんで逃げられるのよ!?
もう一回捕まえないとお前の家のコーヒーを全て紅茶に入れ替えるぞ?

「なんで逃げるのよ?」
もうこの位しか聞けない
「いや、捕まえて話聞いてたんだけどな、コーヒー買いに行ったスキに逃げられた

……テメエ……帰ってきたら家にコーヒーは無いものと思え

[ 2007/01/11 18:50 ] 第七章~ヒトミ~ | トラックバック(-) | コメント(-)

GW 

とりあえずコーヒー野郎から聞き出した話を総合すると

・仁はあの辺に住んでいる
・ちゃんと戻ってくるつもりがある
・携帯もメアドも変わっていない

らしい、私が心配で送っていたメールもちゃんと読んでいたそうだ。
こっちがどれだけ心配したと思ってるんだか……

とにかく無事が確認できただけでも良かった。
ちゃんと捜索の目処もたったし。

後は捕まえて首に縄つけてでも連れ戻す!
その前に……紅茶を大量に買ってこなくちゃね♪

待ちに待ったゴールデンウィーク。
早速東京へ向かう。
旅費は……全てコーヒー党に出してもらえることになった。

さすがに家のコーヒー豆が全て紅茶の葉に変わったのは堪えたらしい
ちゃんと美味しい紅茶をセレクトしてあげたのに……
まあ、私の家に保護されたコーヒー豆と引き換えに旅費を出してもらうことになった
結果よければ全て良しといったところだろう

今回は確実に会える……らしい。

前回の捕獲以来、仁は歳平さんからの連絡をちゃんと受けているようだ。
何でも私には知られたくないらしい。
理由は分からないけど、今回の件は知られたくない
そう言ってるそうだ。

甘い!甘いよ!仁!
私は何があっても絶対に離れてあげない

という訳で今回は私が来ることは仁には内緒にしてある。
だまし討ちみたいで気がひけるけど
そんな事は言ってられない。

とにかく!一刻も早く会いたかったんだから!

[ 2007/01/11 18:47 ] 第七章~ヒトミ~ | トラックバック(-) | コメント(-)

喫茶『珈琲館』 

今回のドッキリは歳平さんが仁を喫茶店に呼び出すそうだ。
連れ戻さないならっていう条件で仁も歳平さんに会うことを了承したみたい。
とりあえず指定された住所の場所に私も向かってる。

仁と歳平さんの待ち合わせ時間は10時
私は10時半に来いということだった。
警戒されて逃げられては元も子もないからね。
早く会いたいけど、ここは我慢だ。

でも、いざとなると何を話せばいいか分からない。
2年間の孤独をぶつける?
とりあえず引っ叩く?
……自分でもどうしたいかは分からない
でも……会いたいんだよ
あの笑顔が見たい。一緒に居たい。お話をしたい。

早く会いたい気持ちを抑えて10時半に住所の場所に到着。
店の名前は……『珈琲専門館』だった……あのコーヒー野郎!

店の前でコーヒー党の携帯にワンコール

「突然現れて逃げられても知らんぜ?」
そう前もって言われてたから仕方ない。
逃げられるのも会えないのもまっぴらだ。

待つこと1分。
店の前にコーヒー党が出てきた。
「よお!待ったか?」
テンションはそんなに高くないな

「待ってないけど……この隙に逃げられたってオチは無い?」
一番の心配はソコだ。
私が来たのを知ったなら……嫌だけど……逃げられることも考える

「それはねえな。あのな……」
口ごもるコーヒー党、何か言いづらい状況でもあるの?

[ 2007/01/11 18:40 ] 第七章~ヒトミ~ | トラックバック(-) | コメント(-)

誰? 

「あのな……今日来てるのは……仁だけど仁じゃない

へ?どういうこと?
本人が来てるんだよね?
アントニオ猪木を呼んだのに春一番が来たみたいな感じ?
……それじゃ本人が来てることにはならないか。
ワケが分からない。

「仁……来なかったの?」
ワケが分からないからうまく質問できない。
「ん……そういうワケじゃあないんだけどな。ま、入ろうや」
先に店の中に入ってしまったコーヒー党

店の奥に向かって歩く
植え込みの奥にある、周囲から見えにくい位置の席
そこで歳平さんが立ち止まる。

席に座ってる人に話しかける。
そのまま自分は向かいの席に座った。
私を手招きする。

仁……やっと、やっと会えるんだね

息を整え、気持ちを落ち着かせてテーブルに向かう私。

ドキドキするのが押さえられない。
喉がカラカラになってる。
口の中も乾燥してるのが分かる。

第一声、何て話しかけたらいいんだろ?
「元気だった?」
「心配したんだから!」
ああ、いい言葉が思い浮かばない……

テーブルに到着、座ろうとしたが……あれ?
これ……誰?

[ 2007/01/11 18:37 ] 第七章~ヒトミ~ | トラックバック(-) | コメント(-)

豆 

歳平さんの向かいに座ってるのは……綺麗な女の人
雰囲気は……みのりさん?そっくりだ。
でも違うな……スタイルは細身だけど
胸は……私が少し勝った!少し!すこ~しだけどね!
パンツスタイルの綺麗な人だけど……?

コーヒー党に視線を移す。
「おい、早く座れよ」
なんで何事もないかのようにそう言えるの?

仁は……?仁はドコ???
あの私のドキドキを返してよ!!!
とりあえず立ってるまんまだと目立つので座るけどさ。

「さっき話した例のコだ」
コーヒー豆野郎が女の人に私を紹介する。
「うん、知ってるよ☆」
あ、外見より話し方は軽い人だ。
「でも、はじめましてだね♪」
私の方に向かって笑顔で挨拶してくる
……どっかで見たことあるんだけどなぁ……?

……ってなんでこんな挨拶してんの?
仁は!?仁はどうなったの?

「あ、ああ、その……はじめまして……」
誰なんだ?この人……?
「あはは、緊張しないでね♪トシぃ~!私の事話してないんじゃん!」
女の人がを責めてる。
私だって豆を責めたい気分だ。
「だってよ、話にくいんだもんよ。オラ、自己紹介してやれ!」
無責任な豆が逆ギレした。
女の人は「まったく、しょうがないな~相変わらずなんだから」
なんて言いながら私の方を向きなおし
「私もね、『』っていいます♪イワセって言ったほうが分かりやすいかな?」

……?……イワセ……!!!!!
あ~~~~!あの記事の人かぁ!!!
豆の方を見るとニヤニヤ笑ってやがる!
え?でも、なんで仁を連れてくるって言ってて
あの雑誌の記者さんが来るの?
やっぱり仁の関係者なのかな?

似てるし……親戚?

[ 2007/01/11 18:34 ] 第七章~ヒトミ~ | トラックバック(-) | コメント(-)

豆専用コーヒー 

「あの……イワセさんって……仁と関係があるんですか?」
突然で失礼かもしんないけど
質問しなきゃ話が進まない!
イワセさんがもう一回豆の方を向いて
「トシぃ……全く話してないんじゃん!もう!」
うん、そこの豆は何も言ってないんですよ。
お前の家のコーヒー豆全部100均のティーバッグに変えてやるから覚悟しとけよ?
「ん?悪い悪い」
なんて言いながらコーヒーすすってやがるし……
そのコーヒー、貴様が飲む最後のコーヒーになるやも知れんぞ?

「んーとね、関係者だね。うん」
イワセさんは説明しにくいなって感じの表情で私に言う
んー、どんな関係なんだろ?
みのりさん以外にも兄弟がいたのかな?やっぱ親戚?
イワセさんはまだウンウン唸ってる。

「ちょっとだけ待ってね♪」
そう言って目を閉じて話さなくなった。

目を閉じること数分
私に睨まれても視線を逸らす豆のこともあり
テーブルは無言。

「ヨシ!」
いきなり叫んで目を開けたイワセさん。
「トシ?ちょっといい?」
立ち上がってトシに呼びかける。

そのまま2人でトイレの方向に消えました。
一人取り残された上に展開に付いていけない私。
んー、どうしたもんかなぁ?
どういう関係者か分からないから話の持っていきようが無い
それもこれもあの豆のせいだよな……

とりあえず待ってる間ヒマなので
豆のコーヒーカップにタバスコ仕込んでおきました♪

2人が席を立ってからもう15分が経過
ヒマです……とてつもなくヒマです。

豆のコーヒーの内容物は
コーヒー、砂糖、塩、タバスコ、爪楊枝
きっと美味しくなってることでしょう。

その位ヒマです。
あー、仁は今頃何してんだろ?
イワセさんは仁の居所知ってるのかな?
早く戻って来ないかな?

と思ってたら2人が戻ってきた!
何の内緒話をしてたんだ?

……イワセさんの雰囲気が何か違うような?

[ 2007/01/11 18:30 ] 第七章~ヒトミ~ | トラックバック(-) | コメント(-)

やっと…… 

服装はさっきと変わらない
変わってるのは……髪を後ろで束ねてるのと……お化粧落とした?
人前でスッピンになれるなんて、なんて度胸が……
私ですら薄く化粧してないと最近は不安だ。
スッピンで堂々としてた2年半前が実に懐かしい。

ゆっくりとこっちに向かってくる2人
テーブルに2人が近付くにつれて
私の胸の鼓動が早くなる……なんで?
間近に来て、やっぱりイワセさんは化粧を落としたようだ。
スッピンでも十分キレイだけどね。
って、すごいドキドキしてる……私は女にときめく趣味は無いぞ?

席に座らず、私の真横に立ったイワセさん
さっきとはうって変わって真剣な眼差しでこっちを見てる
「ア……おかえり……なさい
その視線にたじろぎながら戻ってきた2人に言う。
笑顔がひきつるのが自分でも分かる。
なんか……真剣な表情過ぎて……こっちが再度緊張する。

「ただいま……瞳さん」

何か……イワセさんの声のトーンが違う
この声は……聞き覚えのある声……
ずーっと待ってた声だ……

目の前に居るのは?
イワセさんだったはずだけど?
でも、この顔、この声……間違いない

「待たせて……ごめんね?」

その言葉を聞いて……理屈抜きで
私は……彼に抱きついた

「おかえり……仁……会いたかったよぉ……」

抱きつきながらそう言う私を仁が抱きしめ返す。
ここが喫茶店の中なんて……気にもならない。
「おかえり……おかえり……」
何度も呟くことしかできない
仁が私の頭を撫でてくれている……それだけで胸が一杯だった。

座席の方でコーヒーを噴出すような音が聞こえたが……気にしない

[ 2007/01/11 18:27 ] 第七章~ヒトミ~ | トラックバック(-) | コメント(-)

ワケ 

ひとまず気分を何とか落ち着けてテーブルにつく
席は移動して仁の隣に座る。
向かいで豆が睨んでるけど気にしない♪

仁が戻ってきたとはいえ……状況が全然分からない。

イワセさんが仁で……じゃあ『瞳』って自己紹介したのは何?
顔つきは男っぽくなったけど
化粧して服もレディースっぽいのを着てるのはなぜ?

とにかく聞かないと分からないことだらけだ。

「じゃあ……何から話せばいいかな?」
仁にそう言われても、何から聞けばいいんだろう?
「ま、なんで姿をくらましたかってトコからちゃんと話せばいいんじゃねえか?」
唇を真っ赤に腫らした豆粒がナイスアシストを送る。

私も頷く。
仁が途切れ途切れに説明を始めた。

「俺が失踪した理由は……ドラッグなんだ」

やっぱりか……・そう思ってはいたんだけど
本人の口から言われると印象は変わる。
例の製薬会社の話は……やはり本当なのだろうか?

「その……バカな話なんだけど。栄養剤が原因だと思うんだけど……」

原因で……どうしたの?
何かドラッグの影響があったの?中毒?
ここで仁の説明が詰まった

「その……なんというか……」

じれったいくらいに歯切れが悪い。
大丈夫!仁の話だったら何でも受け入れるから!
私を受け入れてくれた仁を……私も受け入れるよ!

「なんというのか……無性に女装がしたくなった……んだよな……」

へ?それが失踪の理由?

[ 2007/01/11 18:24 ] 第七章~ヒトミ~ | トラックバック(-) | コメント(-)

お仲間? 

「でもよ?治ったんじゃねえのか?」
豆粒が意見を挟む。
待て!豆粒!治ったって?……私にも分かるように説明しなさいよ!

「治ったって……?仁ってそういう性癖があったの……?」
聞いちゃいけないような気もするけど
聞かなきゃ話が分からない。
「その……さっき瞳さんも見たと思うんだけど……」

うん、みのりさんにソックリな『イワセさん』のことね
あれが仁と同一人物だってのは頭では理解できてる……つもりだ。
でも……雰囲気が違い過ぎるよね
声まで変わってるよね
一体どういうこと?

「あれが俺の……その……二重人格のもう一人……なんだよね」

……それって、私とお仲間ってことなのかな

でも……なんで失踪?
私の前で女装……ってのはさすがに無理としても
失踪には繋がらないんじゃないかな?

「でもよぉ、なんで姿をくらましたんだ?」
お!怪奇コーヒー男が良いこと言った!

「その……俺の部屋って……見た?」
私が頷く。
あの部屋……薬の瓶と箱が散乱していた。

「簡単に言えば、中毒になってたんだ。メンデル製薬の薬のね」
でも……中毒になったなら……なんで?
なんで、姿を消して2年も連絡もなかったの?
私の事信用できなかった?歳平さんも信用できなかった?
自分でも涙目になってるのが分かる。

「でも……中毒は治ったんでしょ?」
今の仁は……まともに見える。
でも……仁は首を横に振る。

まだ……薬が無いとダメなの?

「薬は……ほとんど飲まないんだけどね……気を抜くと」

仁の顔が暗くなる。
「気を抜くと……何だ?」
コーヒー博士の無神経さがこんな時はありがたい♪
仁が重い口を開く
狂うんだ。瞳か俺で抑えてないとね

狂う?前の私のように?
それとも、もっと違う狂い方?
失礼な言い方かもしれないけど
『イワセさん』が出てるのも十分に狂ってると思うんだけど……経験者としては

壊したくなるんだ、何もかも……ね

[ 2007/01/11 18:21 ] 第七章~ヒトミ~ | トラックバック(-) | コメント(-)

壊したいモノ 

壊したくなる……?
一体……何を壊したくなるのだろう?
仁の表情は真剣そのものだった。

「我慢ができなくなるんだ、簡単に言えば」
「……我慢……って?」
「例えばさ、身の回りにあるものをメチャクチャにしたくなる」
「……どういうこと?」
「自分が狂ってきてるって気が付いた時に俺が最初に思ったことはね……
『瞳さんを思うままに犯したい』だったんだ」
「それはただの欲求不満じゃねえのか?」
「違うんだ、ただ自分の欲望が抑えきれない。目的のためなら何の躊躇もないような
自分の中にある道徳心っていうのが無くなってるんだよ

話が抽象的で分かりにくい。
でも、仁本人は見えない何かと必死で戦っていたという事は分かる

「そうなる直前に俺は姿を消したんだ
せめて……自分の今までを壊したくなかったから」

……仁が姿を消した仁なりの理由っていうのは分かった。

でも……今は狂ってるの?

二重人格っていうのは分かるけど
姿を消さないといけないくらいの狂いなの?
『イワセさん』の人格が何もかも壊したくなるのに関係してるの?
ハッキリ言って疑問は尽きない。

[ 2007/01/11 18:18 ] 第七章~ヒトミ~ | トラックバック(-) | コメント(-)

私と瞳とイワセさん 

「瞳はさ、さっきも言ったかもしれないけど俺の中の『狂気』を抑えてるんだ」

私の質問にたいする仁の答えだ。
仁の二重人格は私のそれとは違って、自分の境界線が曖昧なものではなく
2人の人格が一つの体に同居しているらしい。

「瞳が2人目の人格だとしたら、『狂気』は3人目の人格みたいなんだ」

薬で無理矢理作られた人格……それが仁の『狂気』の正体。
そういう認識のようだ。
それを『イワセさん』と交代で抑えているらしい。
どちらかの人格が頭の中で『狂気』が出てくるのを抑えてるようなイメージだそうだ。

例えて言うならば、頭の中に部屋があり
その部屋の前で見張りをしているようなイメージらしい。

急に女装をしたくなったっていうのも
その狂気を抑えるために眠っていた『イワセさん』が起きたのが原因。

……『イワセさん』の呼び方を『』って呼ぶのは抵抗あるなぁ……

夕方になり仁が東京でのバイトに行かないといけないという事で解散。

まぁ、正確に言えばバイトに行くのは『イワセさん』らしい。
明日はバイトが休みなので一日中フリーということで
今日のところはひとまず引き下がることとなった。

で、今は豆博士と一緒に宿泊先のホテルにいる。
部屋は別々にとってあるが
今後の作戦会議のために豆博士の部屋で合流している。

「でも、まさか瞳が復活するとはなぁ」
豆博士がふいに言った。
ん?私?
自分を指差すと豆博士がニヤニヤ笑う。
「ハハハ、ちげーよ。仁の方の瞳

ああ、そっちか……紛らわしい
そもそもなんで瞳なのかが分からない!

その辺の経緯を聞いてみるかな?

[ 2007/01/11 18:15 ] 第七章~ヒトミ~ | トラックバック(-) | コメント(-)

恋敵 

一通りの説明を受けての感想。

ほとんどテメエが原因じゃねえかよ、この豆!!!

女装がきっかけで二重人格って
んー……仁って暗示にかかりやすいのかな?
私がやったヤツをやらせると一撃で狂いそうだ。

「でも、その……『イワセさん』は自分で引っ込んだわけよね」
「まあ、そういうこったな」
「じゃあ、仁って元から完治してなかったのよね?」
「どうだろな、瞳が消えてからは女装してなかったしな」
ああ……紛らわしい。
「ふむ。なんで『イワセさん』は自分で消えたんだろね?」
歳平さんが意味ありげに笑う。

「そりゃあよ、仁が大好きだったんだもん。アイツら、相思相愛ってヤツだぜ?」

……ナヌ!?初耳だぞ?そりゃあ
ちょっと二重人格で恋愛関係ってどういうことですか?
ナルシルト……とは呼べないよなぁ
人格変わってるときはまるっきり別人だったし。

「ちなみに俺は瞳が好きだからさ、お前ライバルな」
豆の絞りカスがとんでもないことほざきました。

「ちょ!え?うぇ??外見女だけど中身男よ!?」
「え?知らなかったのか?オレはバイだ!」

握りこぶし作って力説してるよ……気のせいか後ろに薔薇の花が見える

「しかぁし!オレは瞳をとして愛してる!!!
大学生の時に一目惚れした小学生の子に似てる!
だからオレは瞳も仁も大好きだぁぁああああああああああ!!!!!!!!」

えーと……とりあえず手近なところに鈍器があったら
力一杯この絞りカスを殴り倒したい気分で一杯です。

[ 2007/01/11 18:12 ] 第七章~ヒトミ~ | トラックバック(-) | コメント(-)

推論 

鈍器が無かったのでグーで殴ったら
アンッ!」って悦びやがったよ……

「ま、冗談はさておきだ」
いきなり真面目な顔になったマゾ豆
こうやって見るとマトモな人なんだけど

「今後のことなんだがな、オレに一つ仮説があるんだ」

仮説?何の?今の状況を打破するような?

「オレが4年間、仁のことを観察して感じた仮説だ」

真面目な時の歳平さんの話ならば聞いてみようじゃないの

「オレが思うにだ、仁は二重人格どころじゃない

うん、それは本人も言ってたね。
今はええと『狂気』だっけ?3人目がいるんだよね?

「そうだな、最低で3人だ」

ん?最低でって?

「だからさ、瞳が最初に現れた時点でもな、もう1人いたんじゃないかってことだ」

ええと……どういうことかな?

「あくまで仮説だからな、怒るなよ?」

うん、怒らない。約束するから。早く続き言って。

「仁も……今の仁も分裂で生まれた人格じゃねえか?ってことだ」

…………!!??
「ちょ、ちょっとそれは無理のある話なんじゃないかな?」
動揺を隠し切れないまま反論してみる。

「そうか?オレはありえなくないと思ってるんだがな?」
かなり真面目な顔。冗談ではないようだ。

「でも、でもだよ?じゃあ今の仁は……作りものってこと?」
少し歳平さんが不機嫌な顔になる
「その表現はどうかと思うぜ?大体だなそれならお前さんはどうなる?」
あ……そっか。
今の私は前の僕で、私が僕になって私になって……
自分で考えても分からないような存在だよなぁ、私も。

「ま、仁には隠れた本当の人格があるかも知れないってことなんだよ」

「以前感じたことなんだがな。『瞳』が生まれたときに統合を試みたんだ」

んーと、主人格に別人格の存在を教えて
分裂した人格を回収させて治療する方法だよね?
私もされたような覚えがある。

「結論から言えば失敗したんだがな。あいつらお互いの存在が分かった上で共存したんだ

そうみたいだよね。今もその状態だし。
実際見なければ信じられなかっただろうけど。

「ここでおかしいと思ってたんだ。なんで統合されないんだろう?ってな」

分裂した人は他の人格を認めないって原則から外れてるってこと?

「まあ、そういうこったな。だがここでさっきの仮説が生まれたんだ」

……というと?

「分裂した人格同士ならば……稀にお互いを認識するんだよ」

歳平さんの推論は続く
「そんでな、仁の言ってた3人目。あれが元の人格なんじゃねえかと思ってるんだ」

仮説なんだけど……説得力があるような無いような……
「じゃあ、仁の本質は『狂気』ってこと?」

バーカ、主人格が薬で壊されたのが今じゃねえかってことだ」
ああ、なるほど。
でも……バカって言われた……覚えてやがれ。
「じゃあさ、なんで仁みたいな人畜無害な人格が生まれたワケ?」

「それは分からんよ。仁が生まれてからいつ今の人格が生まれたのか分からんしな」
それはそうか……ああ、平凡って思ってた仁も苦労してるのかも知れない

私が仁に惹かれたのってその辺りにあったのかも知れない

「で、これからどうするかって話だがな」

とりあえず……どうするべきなんだろ?
早く連れ戻したいような……仁にも考えがあるんじゃないかと思うような……
「オレは仁のやりたいようにさせるのが一番と思ってる」

そうだよね、でもそれじゃ進展が無いんじゃないかな?
捕獲するのに2年もかかって現状維持じゃ私の精神が持たない。

「その上でだ、オレは仁の主人格を殺そうと思う

ええ?何を言ってるの?この人?

「オレの見たところだな、狂ってるのは仁の主人格だ、ソイツを殺せば仁は元通りだろ?
しかも統合すべき主人格さえいなくなればさ、仁も瞳も残るわけだ!
お前もオレもハッピー♪みんなで幸せになろうぜ?な?」

[ 2007/01/11 18:09 ] 第七章~ヒトミ~ | トラックバック(-) | コメント(-)

ピンクの紐パン 

し、幸せになろうぜ?って
第一殺すっていうのが穏やかじゃない。
いくら狂ってるって言っても仁の一部なワケでしょ?

声も出せないくらいに唖然となっている私に

「オレに任せろって?な?な?な?」

と妙にハイテンションになっているコーヒー魔人
ダメだ……こうなったらこっちが何を言っても何も聞かないぞ。

「その……殺すって……どうやって?」
一応聞いてみる。
ヤバイ話だったらぶん殴ってでも止めよう。

「まずは主人格を引っ張り出すのが先決だな……」

あれ?マジな顔になった。
この男……本気で人格を一つ殺す気だ……

とりあえず自分の部屋に戻ってベッドの中でゴロゴロしながら考える。

歳平さんのアイデアはまっとうだけどマトモじゃなかった。

それで本当に人格が一つ死ぬのかな?
そんな感じ。
少なくともこのゴールデンウィーク中には決着は付かないんじゃないかな?
それが私の率直な感想。

「ま、じきにお前にも手伝ってもらうからな?」

なんて言ってたけど……どこを手伝わされるんだ?
せっかく明日はまた仁に会えるっていうのに
余計な考え事をしなくちゃいけないせいで
嬉しさも半減だよね……
とりあえず寝よう!寝て明日に備えよう!

念のために……勝負下着を履いておこう(///)

[ 2007/01/11 17:59 ] 第七章~ヒトミ~ | トラックバック(-) | コメント(-)
プロフィール

黒矢 一実

Author:黒矢 一実
主に短編小説を書いています。
現在のところ更新は不定期です。
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